特別有給休暇とは?正社員とパートの違いや給料取扱いなどを解説!

「特別有給休暇って?」「どのような種類があるの?」「同一労働同一賃金の扱いは?」など悩んでいる人事担当者もいるのではないでしょうか?

特別有給休暇は、法定休暇とは別に夏季休暇や慶弔休暇など企業が福利厚生として与える休暇ですが、なかにはアニバーサリー休暇やバースデー休暇など独自の特別有給休暇を導入している企業もあります。

ここでは、特別有給休暇とはどのようなものかをわかりやすく説明するとともに、給与上の取扱いや同一労働同一賃金における考え方、導入フローなどについて解説します。

なお、本記事中の労働基準法は、2020年4月1日の改正法施行時点の定めを指しますこと、ご留意ください。

特別有給休暇とは

特別有給休暇とは、労働基準法で定められている年次有給休暇とは別に、企業独自で定める夏季休暇や慶弔休暇などの福利厚生制度です。

ここでは、特別有給休暇の主な種類、給与上の取扱いを説明します。

特別有給休暇の主な種類

特別休暇の主な種類は、「夏季休暇」「冬季休暇」のほか、慶事、弔事の際に取得できる「慶弔休暇」、配偶者が出産したときの「出産休暇」などがあります。

そのほか、企業が独自に定める「裁判員休暇」「リフレッシュ休暇」「病気休暇」などを導入している企業もあります。

厚生労働省調査(厚生労働省「企業用アンケート調査結果(特別有給休暇)」)によると、このような独自の特別有給休暇を制度化している企業は「裁判員休暇」(62.4%)、「リフレッシュ休暇」(48.2%)、「病気休暇」(44.5%)であり、それ以外の独自休暇は15%未満に留まっています。

次に、各特別休暇の概要を表にしていますので、参考にしてください。

給与の取り扱い

夏季・冬季休暇、慶弔休暇、出産休暇などは、有給としている企業が多いですが、企業独自に導入している特別有給休暇については、特に「リフレッシュ休暇」(94.0%)、「裁判員休暇」(81.5%)、「記念日休暇」(80.3%)(厚生労働省「企業用アンケート調査結果(特別有給休暇)」)において、有給としている企業が多くなっています。

なお、裁判員休暇については、裁判員として支給される日当相当を差し引く取扱いは差し支えないとされていますので、参考にしてください。法務省:従業員の方が裁判員等に選ばれた場合のQ&A

社員区分毎の違いは

夏季・冬季休暇など季節毎に定められる特別有給休暇は、年間休日に組み込まれている場合は、社員区分に拘わらず一律に付与していることが一般的ですが、慶弔休暇などは正社員と比較して契約社員やパートタイマーなどの非正規社員の日数を少なくしているケースがあります。

また、長期雇用を前提としたアニバーサリー休暇などは、無期契約雇用である正社員等に限定していることが多いと考えられます。

なかには、給与上の取扱いについて、正規社員は有給としている一方、非正規社員は無給としているケースがありますが、のちにふれる同一労働同一賃金においては、この場合は是正する必要がある可能性があります。

年次有給休暇と特別有給休暇との違い

年次有給休暇は、労働基準法で定められている法定休暇であり、入社日から継続して6ヶ月間勤務し、その労働日のうち8割以上出勤した労働者に与えられる休暇です。

フルタイムの勤務者の場合、初年度は10日付与、以降1年ごとに付与日数が増えていき、勤続6年目以降は20日が付与されます。この年次有給休暇は従業員の権利であり、請求があった場合は取得させなければなりません。

特別有給休暇は、法定外の制度であるとから、与える日数や給与上の取り扱いについて企業が独自に設計可能であることに年次有給休暇との違いがあります。

同一労働同一賃金の検討事項

働き方改革関連法として、同一労働同一賃金が2021年4月1日より全面施行となりますが、同法は、正規社員と非正規社員との不合理な処遇格差をなくすことを目的としており、雇用形態を理由に不合理な格差を設けることは禁止しています。

特別有給休暇の処遇については、正規社員と非正規社員との間で定めが違うケースが多いと思われますので、不合理な格差がないか確認する必要があります。同法に関する最高裁の判決が2020年10月にでていますが、判例は個別の事例判決のため、弁護士等の専門家と相談のうえで自社の状況に合わせて是正の判断を行い、対応していくことをお勧めします。

次に、特別有給休暇の種類毎に概要を記しますが、単に最高裁の判例結果に合わせるということではなく、自社の特別有給休暇の付与目的や条件において不合理にあたるかなどを専門家と相談のうえで検討してください。

夏季休暇、年末年始休暇

年間休日に夏季休暇や年末年始休暇が一律に組み込まれている場合は、日給者や時給者において労働していない休暇の日が無給となることに問題はありません。

ただし、年間休日に組み込まれておらず、「夏季や冬季に◯日、それぞれ有給で休暇を付与する」という制度の場合、正規社員のみに与えているようなケースは不合理に当たる可能性があります。

なお、2020年10月の最高裁判決(日本郵便(佐賀)事件)では、正社員とは異なり有期契約社員に付与しないことは不合理と判断しています。

慶弔休暇

基本的には、給与上の取り扱いのほか付与日数などの処遇を合わせることが望まれます。ただし、同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省)によれば、勤務日数が少ない労働者の場合は、「勤務日の振替での対応を基本とし、振替が困難な場合に慶弔休暇を与える」という対応でも問題にならないとしています。

なお、給与上の取扱いが同一となっていない場合は、不合理となる可能性が高いと考えられます。

病気休暇

同一労働同一賃金ガイドライン(厚生労働省)では、「通常の労働者と同一の病気休職の取得を認めなければならない」としていますが、2020年10月に、病気休暇について二つの最高裁判決(大阪医科薬科大学事件、日本郵便(東京)事件)がだされています。

これらの事件は、相応に継続的な勤務が見込まれているか否か等によって、不合理であるか否かの判決が分かれた結果と考察されていますので、自社の病気休暇の付与目的などを改めて整理しておく必要があります。

コロナ渦における対応

コロナ渦において、休業を余儀なくされた企業は多々ありましたが、従業員への休業手当は平均賃金の6割以上(労働基準法第26条)となっています。

このため、休業が続くと従業員の給与手取り額が少なくなり、生活にも影響が大きくなりますが、企業によっては、休業日に年次有給休暇や特別有給休暇を認めていることもあります。

ここでは、年次有給休暇と特別有給休暇の取り扱いについて説明します。

年次有給休暇の取り扱い

休業することを企業が命じた場合、基本的には、労働義務がある日に対して労働義務を免除する行為であることから、労働義務がある日に休暇を取得する「年次有給休暇」を取得することはできないとされています。

しかしながら、会社が休業を命じる前に従業員が休業予定日に年次有給休暇を申請した場合は、年次有給休暇の取得を認める必要があります。

また、このように年次有給休暇を休業命令より先に申請していない場合であっても、休業日において、年次有給休暇の取得を認めることは企業の任意になります。

特別有給休暇の取り扱い

新入社員など入社歴の浅い社員は年次有給休暇の残日数が少ないことから、企業によっては、救済する目的で特別有給休暇を与える企業もあります。

例えば、

  • 勤続1年は5日
  • 勤続2年は4日
  • 勤続3年は3日
  • 勤続4年は2日
  • 勤続5年は1日

というように、段階的に特別有給休暇を付与することが考えられます。このような運用を取り決める場合は、労使協議のうえで協定を締結する等の必要があります。

特別有給休暇の導入方法

厚生労働省「企業用アンケート調査結果(特別有給休暇)」によると、企業独自の特別有給休暇の導入により効果が上がると考えられているのは、「社員の勤労意欲の向上」(64.0%)が最も高く、次いで「企業の社会的責任」(46.1%)とのことであり、特別有給休暇は従業員の定着率向上に期待ができる制度といえます。

ここでは、特別有給休暇の制度導入フローや留意点について説明します。

導入フロー

特別有給休暇を新たに導入するにあたって、導入フローを次のとおり説明します。

1.制度目的の決定

どのような特別有給休暇を導入すれば企業にとって効果があるか、従業員がどのようなものを求めているかなどを検討します。従業員の定着率向上を目的とするならば、アンケートを実施することも有効です。

2.特別有給休暇の条件や申請手続き方法の決定

特別有給休暇をどのような条件で付与するかなどを決める必要があります。

例えば、「誰を対象とするか」「いつ取得できるか」「何日取得できるか」「給与は有給か無給か」などです。同一労働同一賃金を念頭におき、正規社員と非正規社員との間で不合理な格差が生じないように設計してください。

3.労使協議

制度案を作成後、労使協議を行い可能な限り意見を吸い上げます。

就業規則の改定手続きにおいては、「同意」ではなく「意見」を聴取することで足りますが、労働条件は労使対等な立場で決定することが原則ですので可能な限り聴取した意見は尊重してください。

4.就業規則の改定

取り決めた制度の内容に基づき、就業規則を改定します。就業規則案を作成し、自社で機関決定のうえで、従業員代表の意見書を添付して労働基準監督署へ届出します。

就業規則改定の手続きの詳細については、就業規則とは?制定ルールや不利益変更対応など具体的な実務を解説!を参考にしてください。

5.制度の周知、推進

手続きを一通り終えたら、就業規則の周知とともに制度の内容を周知します。

制度を利用してもらいやすくするため、「特別有給休暇の取得強化月間を推進」「取得者に対するアンケートの実施」「取得状況の結果報告」など周知することも利用促進の手段として有効です。

導入上の留意点

特別有給休暇を導入する場合、例えば製造業では生産数量に直接影響が生じるなど経営面での影響があるなど経営層の理解が必須となりますので、経営面等を鑑みて自社で導入可能な特別有給休暇をしっかりと設計し、経営層から理解を得ることが必要です。

また、導入した特別有給休暇の制度を利用促進するためには、毎年、効果測定を行い、特別有給休暇の取得がしづらい環境があるならば、利用しやすい環境づくりを促進することがポイントとなります。

特別有給休暇の概要を理解し、自社にあった特別有給休暇を運用/導入しましょう!

特別有給休暇の種類や給与上の取扱い、同一労働同一賃金の考え方や導入フロー等について解説しました。

特別有給休暇は、福利厚生を目的として労使協議の下で定められるものですが、同一労働同一賃金の観点では、正規社員と非正規社員の間で不合理な格差が生じないように留意すべき事項が多くあります。

本記事を参考に、自社にあった特別有給休暇を運用・導入しましょう!

人事ZINE 編集部

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