株式会社すららネットが取り入れた採用マーケティングの手法とは

昨今、「いまの市場は売り手市場」「母集団の形成が年々難しくなっている」など話題になることは尽きません。そんな中、他社はどうやって採用活動をしているのか?と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。今回は、採用したい学生にターゲットを絞った採用活動を行なっている株式会社すららネットさんの新卒採用についてお話を伺いました。

すららネット社が新卒採用にかける想い


人事ZINE 編集部:
新卒採用にかける想いを聞かせてください。


すららネットさん:
弊社では一緒に働く仲間に、理念に共感し入社してもらいたいと思っています。人数が少ない会社のため、少数精鋭のメンバーで突き進んでいく必要があるためです。

それに加えて、社長も新卒採用に強い想いを持っています。若者を1から育てて、1人前にすることも我々が社会に貢献にできることの一つと考えています。


素敵な考えですね。そういう想いで育てられた新卒が活躍している姿がイメージできます。


はい、すごく活躍してくれていますね。

弊社では一つの仕事をしていればいいという訳ではなく、入社後は様々な業務に携わってもらいます。その中で、色々な業務に携わることでマーケティングに興味を持つ方もいますし、プログラミングが好きになって実際に起業した方とかもいますよ!


すごく多岐にわたりますね。会社全体で教育していることが伝わってきます。


そうですね、若者を一人前にして社会に還元するという考え方が社長をはじめ、会社全体にしっかり浸透していると思います。弊社が教育事業をやっているというのもありますが、『人を育てる』ということは、小さな子どもに対してだけではなく、新卒入社の社員に対しても重視されていることだと思っています。

応募窓口を意図的に小さく絞った2020年卒の採用設計


人事ZINE 編集部:
2020年卒でホームページから18名の応募があり、3名採用できたとお聞きしています。貴社が求める人材に応募してもらえているからこその結果だと思います。一体どうやって自社の求めている学生の応募をホームページから集めることができたのでしょうか。


すららネットさん:
二段階に分けて設計しました。

まず第一段階としては、ホームページをどれだけ見に来てもらえるかが大事だと思います。

弊社は知名度も高くないため、元から知っていて「すららネット」と検索して応募する学生は少ないだろうと考えています。そのため、「教育ベンチャー」「教育×IT」「EdTech」などインターネットで検索した際に、弊社のホームページが発見しすいような工夫を施しています。SNSも活用して、情報が学生に届くようにしたりと、自社に興味を持ちそうな学生に認知してもらうための工夫をしています。

第二段階では、応募して欲しい人に応募してもらえるように窓口を意図的に小さくする工夫をしました。弊社では応募してもらう学生に対してレポートの提出を義務付けています。

レポートの課題で「これからの時代を考えて、新しい小学校の科目を一つ作るとしたら?」というなかなかヘビーな内容です。これを提出してくれるということは、そもそもの教育業界への思いや、考えることが楽しかったり苦にならなかったりする学生だと判断できます。

レポートを学生に案内したあと、提出しない方はあえて時間をかけて追うことをしませんでした。レポートにチャレンジしてくれた、意欲の高い学生は当社への志望度も高いと判断できますので、そういった学生のステップアップ率を上げることに注力しました。

むやみに応募数を上げるよりも、入社意欲が高い人としっかりと向き合って時間を割きたいと考えています。


応募して欲しい学生に対して、自社のことを知ってもらう門戸を広げる。それから応募するまでのハードルを上げてフィルターをかけるということですね。ハードルを上げすぎると応募が少なくなると思いますが、何か工夫されていましたか?


はい、志望度を上げてもらうためにメールマガジンの配信を行いました。

ホームページから応募する際に、とりあえずメルマガに登録してみてくださいというアナウンスをしています。すぐに応募することをためらってしまう方も少なからずいると思うので、そういう人たちにもメールマガジンを通じて、弊社の良さを知って欲しいなと思っています。

※2019年10月時点の新卒採用ページ


2020年卒では、メルマガは合計50人ぐらい登録してくれました。送る内容は最近の会社のトピックや、少人数座談会のイベント案内ですね。

頻度は週一でつかず離れずで送っていましたね。送りすぎてもしつこいですから(笑)週一がちょうど良いかなあと思います。

実際、選考に参加してくれた学生が、説明会や懇親会の際に「メルマガ見ました!」と言ってくれたこともありました。また最初はエントリーするほどの興味はなかったのに、メルマガを見て志望度が上がり、説明会開催時期が終わってから応募したいと言ってきてくださる学生さんもいらっしゃいました。

私たちは説明会にさえ来てくれれば、会社の良さを伝えられる自信があるので、まずは気軽に説明会に来てもらうために、メルマガでフォローするというイメージですね。

ただ、驚いたのは、説明会に来ていないのに、いきなり選考レポートを出してくれる学生が何名もいらっしゃったことですね。ホームページにレポートのお題を掲載していたところ、「新しい小学校の科目を考える」というレポート内容がおもしろいから、やってみたくて、という感じで(笑)

結局、応募してきてくださった学生のうち、全体の3分の1は、説明会に参加せずにレポートを提出して応募してくれた学生となりました。これは想定外で非常に嬉しかったです。


それは嬉しいですね。さきほど、「説明会では良さを伝えられる自信がある」とおっしゃっていました。説明会のコンテンツの内容をお聞きしてもよろしいでしょうか。


自社のサービスや向かっている方向性を丁寧に説明することにつきるんです。最初の20分ぐらいは、自社だけでなく教育業界全体の話をしています。現状とこれからの展望をお話させていただき、その中で教育×ITの分野がどのように伸びていくか、という話を紹介しています。

そこから同業他社との違いを説明し、自社がどのような戦略で伸びていこうとしているかを伝えています。その次の会社説明が20分か30分くらいです。

ここが結構キモで、今EdTechのサービスは乱立していますので、弊社が競合優位性が高いということに納得していただけるように伝えていますね!

その後、内定者や若手から自社の話をするのですが、ここではネガティブに聞こえうることも含め、何でも包み隠さず伝えていますね。残業あるよ!とか、そこそこ忙しいよ!など、入社後の働き方に関する部分もそうですし、人事評価制度の話もします。


ネガティブなこともしっかり伝えられているんですね!


もちろん、入社後のギャップを防ぐためにはそうします。

あと、説明会の後に、学生と社員の懇親会を開くのもユニークだと思います。説明会の中では聞きづらいような質問にも答え、反対に学生の将来の希望や普段頑張っていることに耳を傾けて、相互理解を深めます。連れていく社員は参加する学生さんのタイプを考えて、都度変えていますね。

学生の刺激にもなるので、新卒で活躍している若手社員は必ずアサインしています。

これも、現場社員が採用に協力的だからこそできることですね。

内定者フォローは内定後ではなく、会ったときから始まっている


人事ZINE 編集部:
貴社では内定承諾率100%という驚異的な数字を残していますね。
その秘訣について教えてください。


すららネットさん:
秘訣というほどのものではないですが(笑)
ただ、人事は学生との間に、選考期間中に信頼関係を築くよう心がけています。

弊社の選考フローでは、一次面接は希望している部署の部門長(※1)、二次面接は社長となっており、人事は面接を行いません。ですから説明会の段階から「私たち人事は学生の味方だよ!」と伝え、学生側に寄り添うスタンスを貫いていて、関係性を構築できるようにしています。

そうすることで、学生は人事に対して、フラットでリアルなことを相談できるようになると思います。

※1.すららネット社は職種別採用を取り入れている


そうなんですね。リアルな相談とはどういったものですか??


ベンチャー企業に就職することを心配するご家族に対して、どうやって説得したらいいかを相談してくれたり、も内定承諾前に、自分から不安に思う点や懸念点を私に聞いてくれたりですね。

大事な意思決定を前に、一人で悩まずに人事に相談してもらえるというのは、出会ったときから築いてきた信頼関係があってこそだと思います。


学生に味方と信じてもらっている証拠ですね。


そうですね。『内定者フォロー』という言葉がありますけど、内定者フォローは内定を出してから始めていては遅いと思っています。学生との最初のコンタクトが始まったときから、安心して、信頼してもらえるように関係を構築していく必要があると思います。それが内定辞退の防止に繋がるのかなと思っています。


内定を出してから、フォローを頑張ろうではなく、最初から関係構築をしていくことが大事なんですね。人事と学生との関係構築以外にも、内定承諾率を上げるためにされたことがあれば教えてください。


早期に同期が顔を合わせる機会をつくったことだと思います。


詳しく教えてもらえますか?


内定者研修を人数が揃わない早い段階からやっていました。そういう場にまだ正式には内定を承諾していない学生も呼んで、同期になる人たちのレベルや魅力を肌で感じてもらいました。

そうすることで、レベルの高い、同じ熱い想いを持った同期がいるという安心感を持ってもらえたのではと思っています。この会社では自分の能力を上げることができると選考のなかで伝えていますが、それは本当だと、同期になる人たちから感じ取ってもらえたのでしょうね。

内定者研修はコンテンツの内容も洗練していて、座学や一人で黙々とこなす研修ではなくて、内定者同士で協力しながら年間を通じて、各部門の仕事を入社前に体験していく内容にしています。

すららネット社の採用プロセスの設計方法


人事ZINE 編集部:
採用の話に戻りますが、選考レポートを含めた採用プロセスは、他社を参考されて設計したのか、それとも自社で設計されたのでしょうか?


すららネットさん:
全て自社で考えた結果ですね。新しいことを試してみて、学生の反応を見て、また変えて、ということの連続で設計していきました。

すららネット社の採用プロセス(人事ZINE 編集部がインタビューを元に作成)


レポート選考を取り入れた理由は、新卒社員の入社後のミスマッチが続いていたことが大きな原因です。今まで通り説明会して面接して採用するだけでは、ミスマッチは防げないのではないかと思いました。


何か変えなければいけないと?


そうですね。

まず、新卒学生に求めるものとして、高いレベルの論理的思考力や主体性、教育への課題意識がある、という要件定義をしました。ただ、それを面接だけでそれを見極めるのはなかなか難しいなとも思いました。

そういった背景があって、優秀な学生を見極めるために、レポート選考を取り入れてはどうか、という提案をしたんです。

選考レポートで、かなり頭と時間を使わないといけない内容のものを提出してくれるということは、そもそもの教育に対する課題意識が強く、答えのないことに対して自分なりの解を考えることができる学生だと判断できます。

また、面接で口下手な学生はどうしても評価が低くなってしまいがちですが、口下手だというだけで、優秀な方を見落としてしまうのは非常にもったいないことです。口下手でも、教育に対して想いがあり、答えのない問いに対して考えることができる学生を見極めることができることは、レポート選考のいいところだなと思います。


ミスマッチが生まれると、ツールを変えたらいいんじゃないか?と考えてしまいがちですが、まず自社を見直し、プロセスや要件定義を見直すことがとても大事だなと感じました。


そうですね。ツールはあくまで手段なので、なぜミスマッチが起きているのか、本当に採用したい学生はどういう学生で、それをどうすれば見極められるのかは自社で見直す必要があると思いますね。

こうして「絶対入社後に活躍できる」と確信をもった学生に対して、一生懸命アプローチさせていただいたことが、「内定承諾率100%」を実現できた要因かなと思います。


おっしゃるとおりですね。

自社の課題を把握し、それに対しての改善・打ち手を考え、実行に移していくことが大事ですよね。

本日はお忙しい中ありがとうございました。