入社意欲を高め、内定辞退を防ぐ内定者懇親会の内容とは?

新卒採用・中途採用のどちらにおいても、内定を出してから入社までの期間に定期的な連絡や懇親会、研修などを実施する「内定者フォロー」の重要性が高まっています。

ここでは、主に新卒採用のように内定から入社までの期間が長く、同時期入社の多い場合によく実施される「内定者懇親会」について、内定辞退を防ぐための効果的な実施内容をご紹介します。

採用売り手市場における「内定者フォロー」の重要性

近年のような採用売り手市場では、新卒・中途ともに内定者の内定辞退の多さが深刻な問題となっています。学生や求職者は、自分にとってベストな就職先を見つけられるまで、企業からの内定を一旦は承諾しつつ就職活動を継続するというケースが多くなるからです。

内定者フォローはここ数年で非常に重要性が増してきているとされ、新卒採用実施企業への調査でも、内定後のフォローは「必要」とする回答が97.2%に上っています。

また、学生が経験した内定者フォローの上位3つは

1位 内定式 (78.5%)
2位 社員との懇親会 (61.0%)
3位 人事からの定期連絡 (42.8%)

経験したの中で「入社意欲が高まった」内定者フォローの上位3つは

1位 内定式 (50.4%)
2位 社員との懇親会 (48.4%)
3位 人事担当者との懇親会 (23.8%)

となっており、内定式や懇親会など、他の内定者や既存社員と対面する機会が入社意欲の向上に寄与していることがわかります。

※参考:キャリタスリサーチ『調査データで⾒る「入社に向けた内定者フォロー」 』

内定者フォローにおいて効果的なのは、既存社員も含めての「内定者懇親会」

前述の調査結果にもあるように、内定者の入社意欲を高める内定者フォローの方法は、社員や人事担当者など既存社員を交えての「内定者懇親会」が非常に有効です。

内定者懇親会だからといって内定者だけを集めるのではなく、既存社員にも参加してもらうことが重要です。

年齢・ポジションの近い社員から入社後数年の実際の仕事について話を聞いたり、あるいは子育てをしながら働いている社員にワークライフバランスについて聞いたり、長期的なキャリアの相談をしたりと、内定者だけでは知り得ない情報によって「入社後の働くイメージ」を具体的に持つことができるからです。

一方、内定辞退の理由では「他の内定者と雰囲気があわなかった」が上位に

注意したい点としては、内定辞退の理由として「他の内定者と雰囲気があわなかった」が上位に挙げられることです。

新卒採用におけるキャリタスリサーチの調べでは、内定承諾後に辞退した理由として、「より志望度の高い企業から内定が出た」を除くと「その企業のマイナス面に気付いた」が1位(12.8%)、「他の内定者と雰囲気が合わなかった」が2位(10.6%)です。

内定者懇親会などで内定者同士が話す機会を設けたばかりに、「ノリが合わない」「うまくやっていけるか心配だ」と、たった数人との相性でもって企業そのものとの相性に不安を抱かれてしまうケースもあるということです。

実際に入社後に仕事上で接するメンバーはごく一部なのに、内定者懇親会では「さあ、これから仲間として頑張ってもらいます!」と言われているような雰囲気でプレッシャーがかかります。

「全員とうまくやっていけなければ…」「ここで浮いてしまったら入社後に気まずそう…」と焦ってしまうと、たまたま席の近かった数人と気が合わなかっただけでも、入社後の新生活が不安に思えてきてしまうものです。

そうならないためには、内定者同士であっても既存社員であっても、初めは相性の良さそうなメンバーでグルーピングして座席を分けるなどしておき、初対面でのコミュニケーションに不安を感じさせないようにすることが大切です。

内定者懇親会の基本的な内容

内定者懇親会は、主に次のパターンに分類されます。それぞれ独立して実施することもあれば、1日に複数または全てを実施することもあるでしょう。

食事会(飲み会)

主に夜の飲み会などでざっくばらんに雑談をして、内定者同士や既存社員との相互理解を深める。終業後の時間帯であれば既存社員も参加しやすくなる。内定者懇親会として最も一般的にイメージされる内容と言える。休日にバーベキューを行うなど、お互いの素が見えやすくなる形式もお勧め。

グループワーク

主に内定者同士で、相互理解や企業理解が深まるようなテーマでグループワークを行う。

ワークの内容を既存社員や役員に発表することで、社内に内定者がどのようなメンバーかを知ってもらうこともできる。

テーマは、新規事業の提案を考えさせる内容や、既存事業の課題と解決案を考えさせる内容などを用意すると企業理解が深められる。

交流会

内定者の相互理解が深まるよう、簡単なゲームをしたり、テーマを決めて座談会を行うなど、内容そのものは自由。既存社員に参加させると、そこで深まった関係性が入社後も活かせる。

また、就業時間内であれば夜に行われる飲み会と違って、アルコールが苦手なメンバーや育児をしているメンバーも参加しやすいというメリットがある。

特にゲーム性のある遊び(フットサルやテレビゲーム、カードゲームなど)をすると個性や人物面が表れ、一気に交流が深まりやすい。

コロナ禍の今、オンラインでも内定者懇親会の実施は可能

上記の内容は、オンラインでも実施可能です。

コロナ禍によって、ZoomなどのWEB会議システムを使えば、グループワークや簡単なゲーム、そして「リモート飲み」も当たり前にできる社会になりました。

遠方に住んでいる内定者にはるばる来社してもらう必要もなく、今後も気軽にお互いの顔を見ながらできるコミュニケーション方法として、ぜひWEB会議などのツールを活用していきたいですね。

効果的な内定者懇親会を行うためのポイント

入社意欲を高め、内定辞退を防ぐための内定者懇親会について、ポイントをまとめました。

①内定者と人事だけではなく、既存社員にも幅広く参加してもらう

内定者の入社意欲が高まるフォロー内容は、配属先の社員や人事担当者など既存社員との懇親会です。内定者同士だけの懇親会では、「実際はどうなのだろう?」と不安に思っていることの解消や、長期的に働く自分の将来像のイメージができません。

様々な立場の既存社員に幅広く参加してもらうことで、内定者が抱えている不安や疑問を解消することができます。また、「この人を見習っていきたい」とロールモデルとするような先輩社員との出会いも生まれるかもしれません。

既存社員の側も、内定者を新しいメンバーとして受け入れる意識が早い段階からできて、入社後にスムーズに関係を築いていくことができます。人事以外の社員にとって「採用」が他人事にならないようにするためにも、内定者懇親会に既存社員の協力を得ることは非常に重要です。

②最初は相性の良いメンバーでグルーピングする

内定者懇親会では、飲み会であってもグループワーク等であっても、席の近いメンバーや同じグループになるメンバーとの相性を考えて、予め人事担当者の方でコントロールしましょう。

相性の良いメンバーを固めておくことで初対面でも話しやすく、その後の懇親会やイベント、入社後にも自然とそのグループで会話が弾むようになります。

もちろん組織には、多様な人材が必要です。そのため、同じ性質の人材ばかり採用するわけにはいきません。とは言っても、人間は自分とあまりにも違うタイプの人とは、必ずしも最初から上手くやっていけない場合があります。

タイプの異なる人材同士が「あの人はどういう人なんだろう?」ということをよく見極めないままに近づいてしまい、「自分と違いすぎて一緒に働ける自信がない…!」と、内定辞退に繋がるような事故を起こしてしまわないように、ゆっくりとコミュニケーションを開始できるようにしましょう。

実際に、適性検査による人材タイプのグルーピングを参考にして「近いタイプ」や「相性の良いタイプ」ごとに飲み会の座席を分けたり、「衝突しそうなタイプ」同士を少し遠ざけておくだけで、参加者の満足度が向上すると言われています。

③1回の実施で終わらず、適度に間隔をあけて継続的に実施する

内定者懇親会は、なるべく継続的に複数回実施できると良いでしょう。内定から入社までの期間が長い新卒採用においては特に、「内定者懇親会は内々定後に1回だけ実施して、その後は秋に内定式、その次は入社式まで特に何もしない」という例が聞かれます。

これでは、その1回において入社意欲を高められなかった内定者からの辞退が起きてしまったり、あるいは、その後別の企業から内定をもらって心が揺れた内定者が辞退してしまうというリスクがあります。

内定者懇親会を複数回実施すれば、内定者に引き合わせることのできる既存社員の人数も増え、多様な社員と話す中で相互理解が深まります。また、継続的に内定者懇親会で接点を持ち続けることで、内定者が「実はまだ就職活動を続けていて…」といった相談を持ちかけてくれる可能性もあります。

一度きりの内定者懇親会だけで、その後はたまにメールでの近況確認や社内報などの書類が送られてくるだけ…というフォロー方法では、内定者の心が離れかけていることにも気づけなくなってしまいます。

予期せぬ内定辞退に慌てなくて良いように、内定者とのコミュニケーションは常に多方面から持ち続けたほうが良いと思います。

堅苦しく考えすぎずに、無理なく自社らしい内定者懇親会を

内定者懇親会は、インターンシップ(就業体験)などと比べれば比較的少ないリソースで実施でき、かつ内定辞退の防止にも効果の高い内定者フォロー方法です。

内容は、ただの飲み会でもよし、スポーツ大会でもよし、トランプや人生ゲームでもよしと、とても自由です。自社らしさを出せる内定者懇親会を自由に企画するほうが、参加する内定者も既存社員も楽しめるものになるでしょう。

内定者懇親会は、ざっくばらんに内定者と既存社員が話せる場です。本音を話せる場を用意することで、内定辞退は一定程度防ぐことができ、または辞退が発生するとしてもそれを予見しやすくなるのではないでしょうか。

少なからず自分から志望してその企業の選考を受けたはずなのに内定承諾の歩留まりや内定辞退が起こるのは、「わからない」部分があり、それが解決されなくて不安だからだと思います。

ぜひ、内定者懇親会を通じて内定者との相互理解を深め、入社に向けて内定者のモチベーションがさらに上がるような、楽しい取り組みにしてください。

米田 彩香

米田 彩香

新卒で入社した前職の老舗中小企業にて人事・採用を5年間担当。紋切り型の就活スタイルに疑問を持ち、OfferBoxの理念に共感したため2019年3月に株式会社i-plug入社、インサイドセールスチームに所属。夢は子供が独立したあとに学生街で食堂を開くこと。