【2021年卒】新卒採用スケジュール戦略の考え方|もう早期化だけでは勝てません!

経団連の採用ルールや採用時期、新手の採用手法、と毎年何かが変わる新卒採用市場。採用スケジュールはしっかりとした戦略の下で組んでいますか?

直近の傾向では夏のインターンシップを含む採用活動の早期化が見られましたが、ただ採用スケジュールを早期化するだけでは競合に勝てる状況ではなくなってきています。

本記事では、これからの新卒採用スケジュール戦略の考え方について、現在の新卒採用市場の動向や成功事例と合わせて解説します。

【2021年度の採用スケジュール戦略】新卒採用市場の動向・変化を観察する

「採用スケジュールは早い方が母集団形成しやすく、後発になるほど優秀な学生が減っていく」

これまでも現在もこの認識は共通していますが、「早い方がいい」という言葉のとらえ方には、従来までと現在とで違いがあります。

Web上のコミュニケーション手法と質の変化、テクノロジーを活用した新しいサービスや事業、働き方改革への注目の高まりなど、ここ数年を見ても新卒採用市場を取り巻く外部環境(社会や個々のライフスタイル)は大きく変容しており、こういった背景が新卒採用のあり方にも影響を与えているためです。

「開始時期」にフォーカスしていた従来の新卒採用スケジュール

これまでは、採用活動期間よりも「採用活動の開始時期をどこに持ってくるか」にフォーカスして、採用スケジュールが決定されていました。

【説明会→募集→ES→面接→内定】という画一的な採用方式が大半を占めていたため、採用期間や選考内容には毎年それほど変化がなかったのです。

端的に言うと、開始時期を早めれば、採用のピークも早まり、終了時期も早まるということです。

大手企業は優秀な人材を我先に!と選考を進め、中小企業は大手と時期をズラして同業・同分野で競合する、という傾向が一般的でした。

戦略型の採用が影響し「早期化と長期化」傾向にある現在の新卒採用市場

一方、ここ数年で新卒採用市場は大きな変動を続けており、従来に比べて下記の傾向が強くなってきています。

  • 既卒、第二新卒、第0新卒、留学生など、新卒採用対象の拡大
  • インターンやSNSでの広報活動など、学生との接触機会の増強
  • リファラル、ダイレクトリクルーティング、スクラム採用、など採用方式の多様化

人材不足の深刻化と労働力不足の解消に向けた仕事のオートメーション化を見越し、採用すべきターゲット像を見直し、慎重な人材選定に踏み込む企業が増えてきました。

選考時期より前もって学生との接点を持つためにインターンシップの導入が普及し、実施する企業が増え始めたことで、実施時期も冬から夏へと早まってきています。

このように、学生と接触する機会を増やすために早めに動き出すことで、採用活動期間が拡大するため、採用スケジュールは早期化&長期化している傾向にあります。

ただ「早い・長い」だけでは埋もれてしまう2021年度の採用スケジュール設計

現状、新卒採用のスケジュールには早期化と長期化のトレンドが見えます。

しかし、これは将来的な競合優位性を見据えた人材の確保に向け、画一的な採用手法からの脱却や早い段階での個別学生へのアプローチといった企業の取り組みが生み出している結果に過ぎません。

このような学生に歩み寄る採用戦略に取り組む企業が増えてくると、必然的に学生側の企業選びの軸や意欲も変化するため、競合よりも早い採用スケジュールで募集をかけるだけでは人材を勝ち取れる状況ではなくなってきています。

自社が求める人材に対し、どの時期にどのように情報発信をするか、どのくらいの頻度でどんな方法のコミュニケーションを取るかといった「企業独自の採用戦略を軸にして、採用スケジュールを組み立てる」ことが重要です。

新卒採用スケジュールの戦略の立て方【ターゲット像の明確化が全て】

「採用戦略を軸にしたスケジュール設定」とは具体的にどう進めていけばいいのでしょうか。

まず採用戦略は企業独自のものです。他社が成功した戦略はあくまで他社の戦略であり、全く同じ手法が自社でも通用するわけではないことを理解しておきましょう。

どんな業界や職種でも最大の効果が現れる最強の採用戦略というものは存在しません。

では自社独自の採用戦略を組み立てるには?

それは自社が求めるターゲット学生像を徹底的に明確化することです。そのターゲットが企業に何を求め、どんな就職先を選ぶのかを分析して採用戦略を設計します。

採用スケジュールは、ターゲット学生へのアプロ―チ方法や頻度、企業PR、選考フローなど、その採用戦略に落とし込む設定要素によって変化するものです。

つまり採用戦略を立てることそのものが採用スケジュールの決定に繋がります。

参考:TMPフレームワークで採用戦略を練って成功した例

ターゲット設定をベースにした採用戦略の組み方の1つにTMPという考え方があります。

TMPとは、下記の頭文字を取ったものです。

  • Targeting:ターゲットの設定(どんな学生を採用したいか、かなり細かく設定)
  • Messaging:ターゲットに刺さるメッセージやストーリーの作成(どんなメッセージを送れば自社に近づいてくれるか)
  • Processing:ターゲットに最適な採用フローの設計(どのようなプロセスを踏めば採用まで至るか)

以下は中途採用ですが、TMPフレームワークの徹底活用によって人材獲得した成功例です。

求人の背景・課題

  • 募集職種:名古屋勤務 × 分析計測機器営業職
  • 応募要項:分析計測機器の営業経験×理系卒×一定水準以上の大学×男性
  • 結果:応募無し
  • 課題:要項に完全一致する登録者がいない、名古屋希望の求職者は自動車業界への転職を望むことが多い

ターゲット設定(T)

まず、その会社の同職種(名古屋勤務の分析計測機器営業)での活躍が十分に見込める人材はどんな人であるかを徹底的に調査します。

営業先のほとんどが自動車関連メーカーであり、中途入社者向けの分析計測機器の勉強会研修もあったことから、「自動車関連メーカー向けの営業経験さえあれば、他業界・理系でなくても活躍の可能性は見込める」と判断し、ターゲットを再設定しました。

ターゲットへのアプローチ(MとP)

新たに設定したターゲット像を対象にどうアプローチすればいいかの戦略を立てます。

具体的には、自動車関連メーカー向けの営業を行っている人は、どんな理由で転職を決めたのか、企業に何を求めているのか、懸念していることは何か、など細かくヒアリングを行い、ターゲットに刺さるメッセージ(求人文)を作成します。

また再設定したターゲットは同業界経験者ではないため、会社の事業や他業界の経験も活かせることを知ってもらえるように、会社説明のほかに社内見学、新卒入社の面接同席なども採用フローに含めてスケジューリングを行います。

採用戦略を修正した結果

以上の新しい採用戦略で稼働しはじめてすぐに、大手の自動車部品メーカーの営業をされていた方が応募し採用にまで至りました。

このようにターゲットを明確にして細かく分析し、そのターゲットを中心に綿密な採用スケジュールを組んでいる企業は、狙い通りの人材をとることに成功しています。

新卒採用スケジュールもターゲット設定が戦略の中心

前述した中途採用の例では、「採用できる × 活躍できる」ターゲット設計を元に、地域産業や業界特性、そこに適性のある職務経験を分析して、採用戦略を修正しました。

ターゲット設定が採用戦略の核になるという考え方は新卒採用でも同じです。

大きなカテゴライズにはなりますが、理系学生の採用スケジュールを組む場合、一般的に3年次の後期から徐々に授業数も減ってくる文系学生に対し、理系学生は3年次後期に研究室配属があり、そこから授業に並行して研究活動も始まることを考慮しなくてはなりません。

さらに分野や求めるターゲット像を細かく設定した上で、そのターゲットへのアプローチ方法を決定していきます。下記の調査例はほんの一部です。

  • どの時期に研究テーマが固まってくるのか
  • 企業PRの内容や手法(事業所見学や研究グループ紹介の機会は必要かなど)
  • 学生は企業に何を求め、何を懸念しているか
  • 研究活動を学生がアピールし、企業が理解するのにどのくらい時間がかかるか
  • 相互理解を深めるための採用ステップ
  • 学生と接触するタイミングと頻度

上記をしっかりと調査・分析し、ターゲット学生層のスケジュールを加味しながら採用戦略に落とし込んでいくと、おのずと採用スケジュールも決定されます。

まとめ:新卒採用のスケジュールは独自の採用戦略が

今回のポイントをまとめます。

  • 新卒採用スケジュールを早期化するだけでは競合に勝てない時代になっている
  • 採用スケジュールは企業独自の採用戦略を軸にして組み立てる
  • ターゲット像の明確化は採用戦略において最も重要
  • ターゲットを核とした採用戦略の構築そのものが採用スケジュールとなる

冒頭でお話しした通り、現在の新卒採用市場には確かに早期化と長期化のトレンドがあります。

しかしこのトレンドの本質は、企業の競合優位性をもたらす人材確保のために、企業から狙った学生にアプローチすることの重要性です。

短絡的に「競合よりも早く動いたほうがいい」「大手とタイミングをズラそう」、といった意図や戦略のないスケジューリングでは、ただの日程調整で終わってしまいます。

2021年卒の新卒採用スケジュールは、自社が求めるターゲット像と採用戦略の見直しから始めませんか。本記事が、自社独自の採用戦略と採用スケジュールを設計するヒントになりましたら幸いです。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部