【新卒採用計画】市場変化とトレンドを踏まえた立案方法とは?

これから新卒採用計画に関わる採用担当者の方で、自社の採用計画をよりよくしていきたい方も当然いらっしゃると思います。

今回は、昨今の採用市場変化によるトレンドを意識した採用計画を立案する方法をご紹介します。

自社の採用状況を検討し、採用計画立案のお役に立てると幸いです。

新卒採用市場の変化

【変化①】学生優位の市場

現在の新卒採用市場では、学生のエントリー数が減少しており、母集団形成が難しい状況です。

リクルートワークス研究所によれば、2019年度の新卒市場の有効求人倍率は、1.88倍とされています。学生1人に対して1.88件の求人があり、市場全体で見ると仕事が余っている状態です。

仕事が余っている採用市場では、学生のエントリー社数も減少します。キュリタスリサーチによれば、年度ごとのエントリー社数を調査した結果、2017年卒者は平均37.3社、2018年卒者は31.2社、2019年卒者は26.2社となり、学生の平均エントリー社数は年々減少傾向にあることが確認できます。

学生有利の売り手市場であり、調査結果から3年間で学生のエントリー社数が平均11.1社減少したことを考慮すると、新卒採用市場全体で見れば、母集団形成が難くなりました。

【変化②】情報の多角化

母集団形成が難しくなってきたことに加えて、新卒採用市場の情報の多角化が進んでいます。情報の多角化が進むことで、学生との接点を持つチャネルは増えましたが、同時に採用担当者のマンパワーだけでは、対応しきれなくなってきました。

例えば、学生と接点をもつ手段として、以下があります。

  • 就職サイト主催の合同説明会・セミナー
  • 大学主催の合同説明会・セミナー
  • 学生同士のコミュニティサイト
  • 個別の企業サイト
  • 就職情報サイト
  • 個別の企業SNS・社員SNS
  • OB・OG訪問
  • インターンシップ
  • リクルーター
  • 就職情報誌
  • etc…

以上の通り、学生との接点を持つ手段は多岐に渡ります。その他にも、最近ではweb説明会などオンラインコンテンツもあり、インターネットメインで初回接点を持つ企業もあります。

学生が採用に関わる情報の取得、企業が母集団形成するチャネルの取得が多角化され、従来のように、ナビサイトのみで学生を待ち続けるだけでは新卒採用を成功することは難しくなってきました。

新卒採用市場は、『学生優位』『情報源の多角化』の結果、つまり学生が集まりにくい上に散らばっているため、従来の手法のみで学生を待ち続けるだけでは、採用決定数を担保し、新卒採用を成功することは難しいでしょう。

仮に採用決定数を担保できたとしても、自社に合わないような人材を採用してしまうとミスマッチが起こり、企業と学生にとっても良い採用とは言いにくいですよね。

つまり、ミスマッチを防ぎ相思相愛になれそうな、自社にとって質の高い学生にアプローチしなければなりません。

新卒採用の『量』と『質』。

上記を担保することが新卒採用計画を立案する上で重要になります。

採用計画の立案方法

新卒採用計画を立案するにあたって、『新卒採用計画の概要』と『新卒採用計画の立て方』を説明します。

新卒採用計画の概要

採用計画とは、経営目標を達成するための人材戦略の1つです。

人材戦略の中で採用計画は、経営課題に対して求める人材像を明らかにし、採用人数や予算を決定します。方針を決定した上で、年間の採用活動計画を作成し、実行に移します。

新卒採用計画の立て方

新卒採用計画では、目標の1つである採用決定人数を達成するために、数字を意識して立案する必要があります。

上記のサンプルデータを例に挙げます。

採用フロー①〜⑤に対して、それぞれの人数・通過率を一覧化します。過去のデータが既にある場合は当然過去のデータを参考にしましょう。

次に自社の目標採用決定人数から逆算して試算します。

例えば、⑤内定承諾人数が1人必要であれば、④内定出し人数2人 → ③選考人数10人 → ②説明会参加人数20人 → ①エントリー100人が必要になります。

【ケース①】採用決定人数を増やすため、母集団を増やす

次年度の採用計画を立てるとき、内定承諾人数を1人→10人にする目標を立てたとします。

目標を達成する戦略1つめに、母集団を増やすことが有効でしょう。

『通過率』を定数として10人内定承諾するために、①エントリー人数を単純10倍すれば、結果が得られると判断したとします。この場合、現状のエントリー数を10倍し1000人の母集団形成を行います。母集団形成数を担保できた場合に、10人の内定承諾を獲得できる試算です。

具体的な母集団を増やす施策としては、以下が挙げられます。

  • マス広告を増やす
  • web媒体での露出機会を増やす
  • 自社サイトに採用ページを設置する
  • SNS活用する
  • ナビ媒体への露出を増やす
  • イベント積極参加
  • 合同企業説明会
  • 新手法の積極活用
  • OB・OGの紹介
  • 学内で合同企業説明会への参加
  • キャリアセンターに求人票の設置
  • etc…

母集団形成のみを強化する場合、当然費用とリソースが必要になってきます。

【ケース②】採用決定人数を増やすため、通過率を上げる

戦略2つめに、通過率を上げることが挙げられます。

ケース①と同様に、次年度の採用計画を立てるときに、内定承諾人数を1人→10人にする目標を設定したとします。

目標を達成する戦略2つめに、通過率を上げることが有効でしょう。

母集団形成時点のエントリーを100人の定数として、各採用フローの通過率を上げることにより、10人の内定承諾を得られる試算になります。

具体的な通過率を上げる施策としては、以下が挙げられます。

  • ①エントリー → ②説明会参加
    • 学生が参加したくなるような説明会コンテンツの充実
    • 参加しやすい場所の設定
    • エントリーしてくれた学生への説明会ドタキャン防止のリマインド
    • とにかく存在を忘れさせない、追いかけ続ける姿勢
  • ②説明会参加 → ③選考
    • 学生が柔軟に選択できるように複数の日程・曜日・時間を用意する
    • ワークの提出など、事前に参加ハードルを上げすぎないこと
    • 当日選考のドタキャンを防ぐためのリマインド
  • ③選考 → ④内定出し
    • 採用基準をしっかり決める
    • 学生の意向を高める。選考毎にフォローアップを入れる
  • ④内定出し → ⑤内定承諾
    • 採用したい学生確定なのでフォローアップを強化する
    • 内定承諾を迷う学生がいれば、理由を聞いたり親身に相談に乗る。オワハラに注意
  • ⑤内定承諾以降
    • 相互理解を進めるために面談を強化する
    • 社員との懇親会を設定する
    • 会社の広報情報を共有する
    • 社内外のイベント・研修参加

上記は、あくまでサンプルですが、数字を元に仮説を立て検証していくことが重要です。

採用計画を立案することに加えて、経営目標を作成する経営陣への報告のためにも、採用計画を数字で説明しましょう。

市場変化によるトレンドを加味した具体的な方法

採用市場のトレンドを踏まえて『量』と『質』を担保した新卒採用計画を立てるには、採用フローに加えて以下の3つステップが必要です。

  1. 採用人数を決める(量)
  2. 人材要件定義を作成する(質)
  3. 学生へのアプローチ方法を決める

【ステップ①】採用人数を決める(量)

採用人数を把握し、目標人数を決定しましょう。

部署ごとで採用人数をヒアリングして把握しましょう。

採用人数のトレンドとしては、近年では、理系人材の需要が高まり、理系人材の採用が難しい環境になっています。

社内で新卒理系人材の採用をリストアップする場合、厳しい戦いになることを考慮した上で、理系人材の目標数を達成するための戦略を練る必要があります。

採用担当自ら積極的に社内を動き回り、必要な採用人数を把握し、目標人数を決定しましょう。

【ステップ②】人材要件定義を作成する(質)

絶対に譲れないところをターゲット学生像を決めて人材要件定義しましょう。

採用人数を達成するだけの目標は昔の話。

重要な点は、採用人数がゴールではなく、自社に入社してから活躍し、定着できる人材を描くことです。そのために人材要件定義が必要になります。

人材要件定義では、採用したい人物像を言語化することからスタートします。

例えば自社で採用したい人物像の特徴を言語化した結果、チャレンジ精神、コニュニケーション能力、この2つの能力が高い学生を採用したいと考えたとします。

しかし、大手中小企業問わず、大多数の企業が思いつく『みんなが採用したい学生の理想像』を言語化したキーワードは、競争率が高いでしょう。人気キーワードが凝縮された人気学生に対して他社と競合すれば、困難な戦いになります。

対策として、『みんなが採用したい学生の理想像』よりも『自社にとって最適な人材』の要件定義をすれば、ブルーオーシャンである可能性が高いでしょう。

例えば、コミュニケーション能力でも、聞き上手なのか、伝え方がうまいのか、チャレンジ精神でも、本田圭佑タイプなのか、イチロータイプなのか、自社の環境や部署毎にヒアリングしながらイメージとすり合わせすることが重要です。

自社にとって絶対に譲れない人材要件をピックして、整理していきましょう。

【ステップ③】学生へのアプローチ方法を決める

学生へのアプローチ方法を決定します。

今回はトレンドである『量』と『質』を踏まえたアプローチをメインに紹介します。

①採用担当者が攻めの姿勢で積極的にアプローチする

新卒採用計画を成功させるトレンド1つ目として、採用担当者から積極的に学生にアプローチすることが重要です。

理由は、学生を待たずに採用担当者から会いに行けば、採用活動初期の母集団形成数の増加や、より自社が採用したい学生にアプローチできるからなどが挙げられます。

例えば、過去の採用活動の母集団形成において、待ちを前提としたナビサイト活用だけでは効果的でなかった場合、対策しない限り採用人数を担保することが難しいですよね。

待っているだけでは母集団形成が難しい場合、ダイレクトリクルーティングなどの採用担当自ら学生情報をリサーチし、声をかけれるような集客チャネルを設定しましょう。採用担当者から学生に声をかければ、自社認知をしてもらい、よりマッチング濃度の高い状態で選考に進んでもらうチャンスを自ら作ることが可能です。

また、ダイレクトリクルーティングなど攻めの手法の利点は、今まで手が届かなかった層の学生にも振り向いてもらえる点です。

OfferBox 2019年卒利用実績データによれば、学生が実際に就職した企業の業界と、もともと志望していた業界との一致度を調査をしたところ、『一致 23%』『不一致 77%』という結果になりました。過半数の学生は、もともと志望していた業界以外で就職したことになり、就職感に対して後天的な変化が見られることがわかりました。

つまり、採用担当者のアプローチ次第で今まで手が届かなかった層の学生にも、後天的に振り向いてもらえる可能性があります。

採用担当者が攻めの姿勢で採用活動をする事で、待っていても応募が少ない企業はエントリー学生数の増加や、そもそも採用したい学生にのみアプローチをするため各フローの『通過率』が改善する事が期待できます。

以上から、採用担当者から積極的に学生を待たずにアプローチすることで、チャンスを自ら作ることができます。

②双方向のコミュニケーション機会を設ける

新卒採用計画を成功させるトレンド2つ目として、企業と学生の双方向のコニュニケーション機会が重要です。集団での説明会やグループ面接を優先せず、できる限りまずは相互理解のための少人数(できれば1対1)の面談から始めましょう。

理由は、本当に採用したい学生に対して、情報や気持ちのすり合わせ不足による選考離脱や入社後のミスマッチを防ぐためです。

例えば、エントリーしてくれた学生に対して『数』として無下に扱うと、すり合わせができていて双方向のコニュニケーションを取れている状態とは言いにくいでしょう。選考通過の判断段階で企業はOKでも、学生に不安や迷いがある場合、数ではなく人間として学生の気持ちをくみ取らなければ、通過時点での選考離脱も考えられます。

対策として、面談や面接などで、「あなたの〇〇の経験の、〇〇な姿勢が、弊社の〇〇で活躍いただけるのではないかと思いました。」など個別フィードバックを伝えたりするなど、学生を個人として見る姿勢を意識して一手間加えましょう。

その結果、相互理解が促進し、すり合わせ不足による選考離脱や入社後ミスマッチを防げるでしょう。

他にも、双方向のコニュニケーション機会を設けることで、企業の事をより理解したいと言う能動的な学生からのエントリー数の増加、エントリー前から相互理解を深める事により各フローでの通過率の向上が期待できます。

また、相互理解が深まる事で内定後の辞退率の改善にも寄与する可能性が高いと考えられます。

採用のトレンドは、従来の母集団形成数の担保だけではなく、いかに自社が採用したい学生に会えるか、また相互理解を深めミスマッチを減らし各採用フローの通過率の向上や辞退率を改善するかが重要になってきています。

最後に

新卒採用を成功させるトレンドは、『人材要件定義』『採用担当者から積極的に学生にアプローチする姿勢』『採用担当者と学生の双方向のコニュニケーション』などが重要になります。

採用決定の『量』と『質』を担保する。

以上を念頭に置いて、新卒採用計画を立案してみてはいかがでしょうか。

横山 大将

株式会社i-plug 法人マーケティング部 『人事ZINE』の運営を担当。 フリーランスとしてオウンドメディアの企画運営、webサイト制作のUX設計など約3年間携わり、現在に至る。人事の方々のお役に立てるメディアを作っていきます。