採用担当必見!新卒採用は採用マーケティングが鍵。学生に選んでもらう手法とは

「採用マーケティングって最近よく聞くけど実際何をするの?」
「採用マーケティングに関心があるけども何から始めていいかわからない」

求職者との接点が多様化し、なかなか採用に成果が結びつきにくい背景もあり、現在『採用マーケティング』が注目されています。

しかし実際の採用マーケティングとはどのような考え方があり、どのような活用をしていけば良いか実際の採用業務で考えてみると、ピンとこない人事担当の方も中にはいらっしゃると思います。

今回は、新卒採用成功の鍵を握る「採用マーケティング」により、優秀な新卒者等を採用するための考え方や実践する方法についてご説明します。

採用マーケティングで新卒採用を成功させる!

採用マーケティングは、人材採用に消費者向けマーケティングの手法を採り入れ、実行することを指します。

マーケティングはそもそも市場の創造を狙った企業の活動で、もっと平易にいうと、市場競争に勝てるエリア・ポジションを作る活動のこと。「ここなら他社に優位に立ち、商品・サービスが売れる」というところを作らないと、商品・サービスは売れないのです。

このエリア・ポジションづくりの活動を採用の世界に持ち込み、他社に対して競争優位に立とうとする一連の活動を採用マーケティングといいます。

市場でのエリア・ポジションの確保には、市場への働きかけと同時に、商品の改善・サービスの改善をしなければなりません。採用マーケティングも同様で、職場を働きやすく優良な環境にする努力と、外部に働きかける活動を同時並行して行うこととなります。

売り手市場?新卒採用市場の現状を知ろう

新卒採用市場は、売り手市場の傾向が強まり、2020年卒の大卒・大学院卒業者(以下、新卒者等)は求人倍率が1.83倍、300人未満の中小企業では8.62倍と、新卒者等が会社を選ぶ時代になっていることが鮮明になっています(リクルートワークス調べ)。

加えて、経団連が新卒者等の現行の就活ルールを廃止することを発表し、政府も見直しを検討しています。

そのため、インターンを含めた就職活動の長期化が見込まれ、企業側は2〜3年かけて優秀な学生に接触する機会を持つことが増えてくるでしょう。今後の新卒採用は、今まで以上に他社よりも優位に立てるようなポジショニングの確立が求められるようになります。

採用手法の多様化も近年の特徴です。ナビサイトや合同説明会だけではなく、SNSやイベントを通じて求職者にアプローチする方法や新卒専門のダイレクトリクルーティングサイトも使われるようになっています。

採用マーケティングの全体像

入社前の採用ステージは、以下の5段階に分けられます。

  1. 認知…「潜在的ターゲット」である学生に認知してもらう。広く潜在的ターゲットの学生に企業をアピールします。
  2. 興味…ここでのターゲットは就活中の学生です。SNS・オウンドメディア・大規模会社説明会など有効なメディア・イベントを使って徐々に学生を応募に誘導していきます。
  3. 応募…学生の中でも、自社に興味を持ってくれた学生をターゲットにして、応募へと誘導します。キャリアを具体的にイメージできるコンテンツをホームページでアピールする・問い合わせ窓口に誘導するなど「マス」としての学生対応から、個別対応に移行していくことがポイントになります。
  4. 選考・内定…選考・内定までは、入社の意思を固めてもらうための時期です。選考は公正に・事務的に正確に行う活動ですが、選考とは別にコミュニケーションの機会を設けます。他社に対する優位性をアピールする機会でもあります。
  5. 入社…ここでのターゲットは内定者です。「内定辞退」がないよう、対策を入念に行います。内定後に「ここに入社しても大丈夫だろうか」と考える内定者も多いため、不安に寄り添える対応が必要です。

コトラーの「5A」理論における消費者行動の5つのステップとは?

入社前の採用ステージは、コトラーが提唱する「5A理論」の消費者行動ステップに相当します。「5A理論」とは、ネットやSNS時代を反映させた購買プロセスを、以下5つのフレームワークで定義したものです。

AWARE(認識する、知る)、APPEARL(記憶や印象に残る)、ASK(調べる)、ACT(購入する)、ADVOCATE(周りにすすめる)

もうお気付きかもしれませんが、売り手市場における学生は「顧客」として捉えます。これが就活マーケティングの本質を表しているのです。

採用マーケティングを行うメリットとは

採用マーケティングを行うメリットは主に次の点です。

1.マッチ度の高い人材を、比較的に低コストで採用できる

採用マーケティングは、応募までの間に、3ステップでアプローチすべき学生の絞り込みを行います。ステップを踏むだけで学生と企業のマッチ度を高めることができます。

その上、マッチ度を高める活動は、コンテンツであったり、手法であったりと、ナレッジが蓄積しやすく、繰り返し使える特徴があるものです。運用改善する中で結果として、比較的に低コストでマッチ度の高い人材を獲得できるのが採用マーケティングのメリットです。

2.長期的に安定して自社に必要な人材を調達できる

採用活動は、毎年繰り返されることから、何度も繰り返し同じ採用マーケティング手法を改善し、チャネルを変えて行う特徴があります。

それに加えて、中長期的に蓄積した調査結果を活かします。アプローチする潜在層から計画的に絞り込みもできるようになれば、自社が「この人なら」と思うような人材を獲得できるはずです。

その結果、長期的に安定して自社に必要な人材を調達できるようになります。

具体的には何をやればいい?採用マーケティングの手法

採用マーケティングの手法は、「結果からの逆算」が大切。

具体的には、以下の3つのステップに分けて取り組みます。

1.ターゲットを決める(誰に)

自社の現状だけではなく、企業活動の将来的な展望も考慮したうえで、必要な人材を明確にしましょう。業務の拡大を目指すなら、適切な採用人数の算出も必要です。

即戦力になる人材を採用したい場合は、コンピテンシーを基準にしたり、スキルデータを分析したりするとターゲットが明確になります。

求める人物像は具体的であるほど採用プロセスがスムーズに進むため、丁寧に設定することが大切です。

要件定義も重要

どういった人材が必要で、どういった人材なら活躍できるか、明確にします。さらに現場要望に合わせることも重要です。新卒を育成する余裕があるかなど、社内各部署を理解する必要もあります。

例)人材ヒアリングシートを作って、各部門にヒアリング、どういう人材が必要か定義をし、各部門の共通点と差異を分析、採用人物像を確定する。

2,訴求したいことを決める(何を)

求職者が求めている情報を提供できなければ、自社の魅力を伝えることはできません。ターゲットのニーズを把握したうえで、ニーズに応えられる情報を確実に提供するようにしましょう。

自社分析

採用に繋げるためには、求める人材の条件を一方的に発信するだけではなく、ターゲットのニーズに合わせて自社の強みをアピールしなければいけません。

自社の強みを把握するには「SWOT分析」を使うといいでしょう。SWOT分析は、内部要因「強み(Strength)・弱み(Weakness)」と、外部要因「機会(Opportunity)・脅威(Threat)」から事業や現状を分析するフレームワークです。

具体的な例を見てみます。

強み(Strength)

  • 高いシェアを誇る独自技術がある
  • 10期連続で黒字経営達成
  • 大手企業との取引多数

弱み(Weakness)

  • ブランドの認知度が低い
  • 企画力が弱い
  • 幹部層の育成は進んでいない

機会(Opportunity)

  • 自社の高い技術力が求められている
  • 海外市場が成長している

脅威(Threat)

  • 海外企業の参入で価格競争が激化
  • 海外からのヘッドハンティング増加

上記は一例ですが、SWOT分析を行えば、打ち出すべきポイントや自社の立ち位置が明確になり、訴求内容も明確になるでしょう。

3,どんな採用手法を選択するか(どのように)

ターゲットと訴求したい内容が決まったら、採用手法を検討します。漠然と手法を決めるのではなく、SNSで興味や関心を抱いてもらい、採用サイトで比較検討してもらうなど、認知から入社までの各フェーズに合った手法を選択することが重要です。

5A理論でフェーズにあったアピールを

先ほどご紹介した、コトラーの「5A」理論における消費者行動の5つのステップを就活に当てはめて各ステップで何ができるのかを検討しましょう。

  1. AWARE(認識する、知る)…学生が、HPなどで会社に出会う
  2. APPEARL(記憶や印象に残る)…学生が、会社に興味を持つ
  3. ASK(調べる)…応募する
  4. ACT(購入する)…選考・内定を獲得する
  5. ADVOCATE(周りにすすめる)…ご家族にも納得してもらって入社、入社したら周りにも会社への入社をすすめる。

入社前の不安にどのように寄り添うか、自社のスタイル・学生へのフォロー、顧客への経験や、人材紹介会社のアドバイス・就活メディア・他社情報も参考にしながらそれぞれのフェーズに合わせた行動をデザインしてみてください。

なお、採用マーケティングをわかりやすくまとめた資料と、社内で使えるテンプレートを、こちらから無料でダウンロードすることができます。

【テンプレート】採用マーケティングフレームワークシート
【テンプレート】採用マーケティングフレームワークシート
採用マーケティングフレームワークシートは、「採用マーケティング」の理解から実行までをわかりやすくまとめ直したお役立ち資料です。

採用マーケティングを成功させるためのポイント

採用マーケティングを成功させるためには、データやツールの活用が欠かせません。近年では求職者の興味や志向が多様化しているため、各求職者に合わせた情報を提供する必要があります。

下図のように、求職者のスキルや希望職種、経験の有無などによって提供すべき情報は全く異なります。

求職者が少なければ人事担当者が個別にメールや対面でのコミュニケーションを行えますが、人的なアプローチに限界がある企業も少なくないでしょう。そのような場合には、ツールを活用した効率的なアプローチが有効です。

採用マーケティングに役立つツール

ここからは、採用マーケティングに役立つ主なツールを4つご紹介します。

採用業務を一元化する「ATS」

ATS(Applicant Tracking System)は、採用に関する業務を一元化できる「採用管理システム」です。ATSには以下のような機能が搭載されています。

  • スケジュール管理
  • 選考状況の可視化
  • 各種求人媒体との連携
  • 媒体ごとの効果測定
  • 内定者の管理

ATSを導入すれば採用業務の効率化が実現するだけではなく、情報の共有不足による機会損失も防げます。

マーケティングプロセスを自動化・効率化する「MA」

MA(Marketing Automation)は、認知から内定に至る採用マーケティングプロセスを効率化・自動化するツールです。採用のプロセスの設計後、施策のテストを繰り返し最適解を出すために活用できます。

ユーザーニーズの理解に役立つ「Google Analytics」

Google Analyticsを活用すればページごとのアクセス数や滞在時間、離脱率などをチェックできるので、応募を検討している学生がどのような内容に興味や関心持っているのかがわかります。

年齢や性別、地域を確認すれば、採用ページの改善に役立てることも可能です。ターゲットとしている年齢や地域と閲覧者の属性が大きく乖離している場合には、戦略そのものの見直しを検討する必要もあります。

簡単にWebサイトの作成ができるCMS

CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)は、Webサイトの作成や管理できるツールです。WordPress(ワードプレス)やJoomla!(ジュームラ)、Jimdo (ジンドゥー)などが知られています。

ホームページの作成にはHTMLやCSSなどの知識が必要でしたが、CMSを使えば初心者でもパズル感覚で本格的なコンテンツを作成できます。コストをかけずに情報の発進や認知向上をしたい時に役立つでしょう。

まとめ

採用マーケティングという考え方の紹介・手順・具体的な手法についてご紹介しました。

コスト面・ナレッジの蓄積・繰り返し手法を改良して使える点など、この新卒採用の転換期にも強い戦略的な考え方です。ぜひ、御社でもご活用いただくことをおすすめします。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部