採用における「ペルソナ」を徹底解説!ペルソナ設計の流れやポイントは?

採用活動を進めるにあたって、自社の求める人物像を定め、その人材像に近い人物を採用することは重要です。

しかし、実際には「どのような人材を採用したらいいのかわからない」、「採用したけど思っていたような人材でなかった」という悩みを持つ採用担当者の方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、採用活動におけるペルソナの設計方法について解説します。

採用活動におけるペルソナ

入社後のミスマッチを防ぐためには、自社が求める人材像、つまり「ペルソナ」をしっかりと設定することが重要です。

これは、早期離職を防ぐことにも繋がります。

ペルソナを設計することは、自社の求める人材像について具体的にイメージできるようになるため、多くの企業でも取り入れられています。

ペルソナとは?

そもそも「ペルソナ」とは、主にマーケティングで使われる概念で、商品やサービスを利用する典型的な顧客モデルのことを指します。

一方、採用活動における「ペルソナ」とは、自社が採用したい人物像のことを指します。

性別や年齢、居住地、家族構成、学校や前職での経験、趣味、ライフスタイルなどの情報を具体的に設計してペルソナを作り上げていきます。

近年では、少子高齢化による労働人口の減少などにより、新卒採用・中途採用ともに売り手市場が続いており、企業が優秀な人材を確保するのは非常に難しくなっています。

そのため、マーケティングの手法であるペルソナを採用活動にも導入することが注目されるようになってきました。

採用活動におけるペルソナ設定の重要性

入社3年以内の離職率は3割を超えています。また、初職の離職理由は、「仕事が自分に合わなかったため」が43.4%と、もっとも多い結果になりました。

※内閣府「平成30年版 子供・若者白書」特集 就労等に関する若者の意識

せっかく採用しても早期離職することになれば、これまで投じてきた採用・育成に関わる時間やコストが無駄になってしまいます。

そればかりか、他の社員のモチベーションが下がって生産性が低下したり、場合によっては人員計画や事業計画の見直しが必要になることもあります。

そのため採用ではミスマッチを防がなければなりません。

ペルソナを設定して自社のニーズを明確にすることは、経営層や現場が必要と考える人材像と採用部門が採りたい人材とのズレを少なくすると同時に、入社後のミスマッチによる早期離職を防ぐことができます。

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナと似ている言葉として「ターゲット」があり、どちらもマーケティングではよく使われています。

ペルソナとターゲットの違いは人物像を設定する際の細かさです。

ペルソナが、設定を絞り込んで一人の人物像を趣味や価値観、行動特性なども含めて詳細に想定するのに対して、ターゲットは年代や性別、居住地などのスペックを基本とした人物像を想定するイメージで、ペルソナほど細かく設定されていません。

そのため、「ターゲット」を決めたとしても、経営層や現場がイメージしていた人材像と採用部門でイメージする人材像に違いが出る可能性があります。

経営層や現場が求める人材と、採用部門がイメージする人材を同じにするために、「ターゲット」ではなく、より詳細に想像できる「ペルソナ」の設定が重要なのです。

採用活動においてペルソナを設計するメリット

採用活動において、ペルソナを設計するメリットは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

ペルソナを設定することにより、「自社に合う人材を採用できる」のはもちろん、「社内で自社に欲しい人材のイメージを共有できる」のも大きなメリットです。

ここでは、それぞれについて具体的に解説していきます。

自社に合う人材を採用できる

採用時にペルソナを設計する一番のメリットは、自社が求める人材を採用できることです。

応募が集まる求人の一つとして、「イメージしやすい」というものがあります。ペルソナをしっかりと設定していれば、求人票を見た応募者にも具体的なイメージが湧きます。

「一体どういう会社なんだろう」、「本当に自分に合う会社なのかな」といった不安が取り除かれるので応募しやすくなります。

「プライベートな時間を充実できる」、「自分のペースで働くことができる」などペルソナに合わせた自社の魅力を伝えれば応募効果も高くなります。

社内で自社に欲しい人材のイメージを共有できる

新しい人材を採用するにあたり、社内においてさまざまな部署の方が関わることとなります。

ペルソナを設計しておくことで、採用においてのコミュニケーションミスがなく、スムーズに採用活動を行うことが可能です。

明確な採用基準を設定していなければ、面接において合否の判断が難しくなります。個人の判断で合否を行った場合、会社が求めていた人材を採用できない可能性も少なくありません。

そのため、事前にペルソナを設計しておき、「こういった人材を採用する」と明確にしておけば業務効率もアップし、採用活動をスムーズに行うことが可能です。

ペルソナを設計する流れ

具体的に、ペルソナを設計する際の流れはどうすれば良いのでしょうか。ペルソナを設計する際のは以下の流れで行います。

  1. 経営者・現場にヒアリングし必要な人材を定義する
  2. 採用目的を明確にする
  3. イメージする人物像の条件を書き出す
  4. 仮のペルソナを現場のイメージとすり合わせる
  5. 現状の新卒・転職市場に合わせて要件を絞り込む
  6. 設計したペルソナに沿って募集と選考を行う
  7. ペルソナを見直し修正する

また、ペルソナを設計する際に重要なことは、「リアルなペルソナ」にすることです。ペルソナ設計で求める人物像ばかり追ってしまい、存在し得ないハイスペックすぎるペルソナが出来上がってしまっても現実的ではありません。

そのため、実際に社内で活躍している若手や昨年新卒などからのヒアリングを行うことも重要です。

ここでは、それぞれの項目について具体的に説明していきます。

1. 経営者・現場にヒアリングし必要な人材を定義する

「どの部署にどのような人材がどのくらい必要か」という人員計画は、自社の経営戦略を実現するためにとても重要です。入社後に配属させる部署や職種によって、必要とされる性格属性や能力、スキルが異なります。

ペルソナを設計するには、経営者や現場からヒアリングを行い、自社や各部署が求める人材の要件として考えられる項目を、思いつく限り書き出してみましょう。

しかし、どのような人材なら会社に定着して活躍してくれるのかを判断するのは、簡単ではありません。実際に自社で活躍している社員をモデルにすると、ペルソナを設定しやすくなります。

設定したペルソナと全く同じでなければ不採用、というわけではなく、書き出した要件に優先順位をつけて、自社が求めるペルソナを定義していくことが大切です。

【サンプル】採用基準策定のための現場ヒアリングシート(記入例付き)
【サンプル】採用基準策定のための現場ヒアリングシート(記入例付き)
採用基準策定のための現場ヒアリングシートで、仕事で成果を上げるために必要な能力(スキル)、性格(パーソナリティ)、志向・価値観(モチベーション)等は何であるかを現場社員へヒアリングし、採用時の求める人物像を抽出しましょう。

2. 採用目的を明確にする

必要な人材の要件と人数を定義したら、採用目的を明確にしましょう。重要な点は「なぜ人材が必要なのか」ということです。

欠員を補充する場合は、退職した人と同じスキルコミュニケーションを持つ人材を採用する方法、もしくは新しい人材に一から仕事教えてスキルアップさせるといった方法もあります。

その際は仕事を教える側の意見も踏まえて、採用しなければなりません。

新しいプロジェクトを立ち上げるのであれば、そのプロジェクトに必要な適正や能力の面からペルソナを組み立てることになります。

このように、ペルソナ設計において採用目的は重要です。採用目的を明確にした上で、欲しい人材をイメージし、ペルソナを組み立てていくことになります。

3. イメージする人物像の条件を書き出す

まずはペルソナを設定する際の土台が必要です。採用の目的が明確になれば、イメージする人物像の条件を全て書き出していきましょう。

そして、書き出した条件から連想できるストーリーを組み立てるように、人物像をまとめます。

書き出した条件が「経理」「経験者」「有資格者」であれば、求める人材像は「経理事務として3年以上の経験があり、経理に関する資格も取得しているが給与に反映されないため転職を検討している既婚男性」という具合です。

そこから「車を持ってるのか」「趣味や悩みがあるのか」など、その人物をイメージできる仮のペルソナを考えていきます。

4. 仮のペルソナを現場のイメージとすり合わせる

求める人物像の要件を絞り込み、仮のペルソナを設定することができたら、現場に確認してもらい、認識にズレがないかチェックしましょう。新卒採用においては応募者に近い、社内で活躍している若手や昨年新卒などからのヒアリングを行うことも必要です。

ただし、経営層が考えるペルソナと現場が考えるペルソナのイメージが異なり、どちらの要望も全て取り入れると、非現実的なペルソナになる可能性もあります。

経営層と現場の意見を取り入れながら、必須の条件、あると望ましい条件、不要な条件、のように優先順位を分けていくと、現実的なペルソナを設定していくことができます。

5.現状の新卒・転職市場に合わせて要件を絞り込む

設定した仮のペルソナを確実なものにするためには、 経営層や現場とすり合わせを行った後、現状の新卒や転職市場に合わせて要件を絞り込まなければなりません。

仮のペルソナが現場の新卒や転職市場に全く合ってないものだと、求人に対しての応募は見込めないでしょう。そのため、現場の新卒や転職市場を踏まえた上で、仮のペルソナの見直しを行いましょう。

例えば、転職市場において経験者が少なく応募が見込めないのであれば、仮のペルソナ設定から「経験者」という条件を外すのもありです。

自社からの要望を伝えるだけではなく、新卒や転職者の状況を見極めた上でペルソナ設定を行うことにより納得のいく採用に繋がりやすくなります。

6. 設計したペルソナに沿って募集と選考を行う

ペルソナを設定しても、ペルソナに合った人材からの募集が実際になければ意味がありません。ペルソナに近い人材が応募してくれるように、設定したペルソナに沿った要件と求職者へのメッセージを求人内容に記すのが良いでしょう。

また、ペルソナを設定することで面接での選考基準が明確になり、面接官による評価のズレが発生しにくくなります。そのため、ペルソナの要件に近いかどうかを確認するためのチェック項目を事前に決めておくスムーズな選考を実現することができます。

7. ペルソナを見直し修正する

その年によって必要な人材や人材の要件、人数は変わってきます。また、ペルソナを設定して募集しても、思ったような応募が集まらないこともあります。そのような場合には、状況に合わせてペルソナの設定基準を見直す必要性があります。

その際は、改めて経営者や現場から情報をヒアリングすることから始め、ペルソナを設定し直してみましょう。

人材要件の定義については、人事ZINEの資料に「人材の要件定義はなぜ必要?~社内での活用のために知っておきたい、メリットとその方法~」があります。ご活用ください。

ペルソナを設計する際に重要な3つの内容

ペルソナを設計する際に重要なことには、どのようなものがあるのでしょうか。ペルソナを設計する際に外していけない重要な項目があります。

ここでは、ペルソナを設計する際に重要な3つの内容を解説していきます。

1.年齢、男女、学歴、年収など

ペルソナ設計のポイントとして年齢・学歴・年収などがあります。経験や必要な知識などで、業務の遂行に支障が出るかしっかりと検討しなければなりません。

また、業務に対しての報酬設定や年収の設定も重要となります。

2.経験や資格

経験や資格を設計する場合は、具体的に行う必要があります。例えば、経理の業務に必要な資格はどんな資格があるのか、なぜその資格が必要なのか、場合によっては労務の仕事をお願いするかなど、自社の環境に適した人材のイメージを設定しなければなりません。

また、フレキシブルに動ける人材なのか、決められた範囲の中で能力を発揮する人材なのかどうかを見極めるためにも重要です。

3.価値観や人柄

条件が合致しているからといって、必ずしも自社が求める人材とは限りません。価値観や人柄が自社とマッチしていなければ、会社の意向に沿った業務を行うことは難しいです。

ベンチャー企業であれば、安定志向な人材とはミスマッチが起きてしまいうまくいかない場合が多いです。

そのため、どのような価値観を持っているのか、どのような人柄の人材が欲しいのかということも踏まえてペルソナ設計しましょう。

ペルソナ設定の例

ペルソナ設定の基本情報の一例をご紹介します。自社のニーズに合わせて、より彩りを加えた(趣味や行動の特徴などさまざまな情報)設定項目を検討ください。

氏名〇〇 〇〇
性別男性
年齢21歳
学校〇〇大学〇〇学部〇〇学科
部活やサークル硬式テニスサークル
家族構成両親、妹の4人家族(同居)
趣味週末にはキャンプや登山に出かけるアウトドア派。アウトドアは一人で出かけることもあるが、社交的で友人は多い。
性格明るくクヨクヨと悩まないタイプ。人見知りせず、初対面の人にも積極的に話しかける。常に周りに気を配れるタイプ。
応募企業に求めるもの雰囲気が良く働きやすい職場環境
仕事で身につけたいスキルマネジメント力とコミュニケーション力

ペルソナを設計するときの4つのポイント

自社に欲しい人材を何となく書き出してペルソナ設計をしても、納得のいく採用には繋がりにくいです。

ペルソナを設計する際のポイントとしてはどのようなものがあるのでしょう。ここでは、ペルソナを設計するときの4つのポイントを紹介していきます。

社内においてペルソナを共有する

ペルソナを設計する際に重要なポイントとしては、社内においてしっかりとペルソナを共有するということです。

採用担当者の頭の中でペルソナをイメージしても、本当に欲しい人物を選ぶことはできません。関係部署や経営層の意見を求め、社内においてペルソナを共有することにより、自社に必要な人物を洗い出すことができます。

「採用した人が現場が求めていた人物と違った」ということのないように、ペルソナを設計する際にはしっかりと社内でそのイメージを共有しておきましょう。

イメージする人材像を求人票に反映する

せっかくペルソナを設計しても、求人票に反映する際に魅力的な情報として反映されなければ意味はありません。ペルソナに近い人物が応募してくれるよう、求人票の内容に沿って募集要項を組み立てていきましょう。

求人票においてどのような人材が欲しいのか、入社することにより何を提供することができるのか、会社としてどのようなサポートを行うことが可能なのかなど、しっかりと伝えることができるように求人票の作成を行いましょう。

状況に応じてブラッシュアップする

ペルソナの想像が高すぎた場合、応募者が集まらなかったり、書類選考において思うような人材が見つからない場合もあります。面接の際に「ペルソナのイメージと会う人がなかなか見つからない」という場合も多いです。

そのような場合は、もう一度ペルソナの設計を見直しましょう。自社の理想に完璧にマッチする人材はなかなか見つかりません。

現実を受け入れて、柔軟に内容をブラッシュアップしていくというのも重要です。

ペルソナを細かく設計しすぎない

ペルソナを細かく設計しすぎた場合、該当する人が少なく思うような人材が見つからなかったり、どのような人を採用すればいいのかわからなくなったりします。

そのため、ペルソナを細かく設計しすぎないよう注意しましょう。細かすぎるペルソナ設計の例としては以下のようなものがあります。

  • iPhoneを使用している
  • 休日は○○をしている

iPhone使用や休日の過ごし方はあまり業務とは関係のない内容です。iPhoneの使用や休日の過ごし方により不採用にするのは効率的ではありません。

大切なのはどのような人物をイメージするかということであり、ペルソナ設計自体が目的となってしまってはいけません。

自社に必要な人物をイメージするにあたり、最低限どのような条件が必要なのかということを検討した上でペルソナ設計を行いましょう。

ペルソナ設定によって自社が求める人材の採用と定着を

採用活動で自社が求める人材像に沿ったペルソナを設定し、そのペルソナに近い人を採用することで、「採用したけど思ったような人材ではなかった」というような入社後のミスマッチを防ぐことができます。

今回は、そのようなペルソナをどう設定するのか、方法とポイントをご紹介しました。記事を参考に自社が採用したいペルソナを設定して、自社が求める人材の採用を目指してください。

【テンプレート】採用ペルソナフレームワークシート
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人事ZINE 編集部

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