新卒採用の時期はどうなるか!?

毎年のようにスケジュールが変わる新卒採用。通年化という言葉もよく聞くようになりましたが、経団連の発表では「新卒採用を通年化します」とは言っていないのを知っていましたか?本記事では、採用活動の時期ごとの特徴と対策を、データを基に考察していきます。

経団連の新卒採用ルール撤廃の真実

2018年夏、経団連の黒田会長による新卒採用のルール撤廃の発表により、新卒市場の変化はより一層拍車がかかってきたように感じます。実際にそうした動きを見越して準備を始める企業も増えてきました。

そんな中で、特に【早期化】というキーワードをよく耳にします。実際例年よりも企業・学生共に動き出しが早くなっていく傾向は見られますし、経団連の発表によってスケジュールを頑なに守ってきた企業においても早期化する動きが出てきています。

ただ、学生の就活ルールが完全に撤廃されるのかと言うと実はそういうわけではありません。

通年採用化するのは既卒のみ!!

 ※経団連の発表を元に作成

まず、経団連が大学側と合意したのは「一括採用を廃止して、通年化しよう。」と言うものではなく、「一括採用に加え、卒業後(既卒)の通年化や長期インターンからの採用」など、複線的で多様な採用形態に移行していこうというのが、大学側と合意された内容です。

つまり、「通年化」されるのは実は卒業してから就活をする場合の話であり、一括採用のスケジュールはそのまま残るというのが、現状の流れです。

ではその採用活動の時期についてはどう変化していくのでしょうか。新卒向けのダイレクトリクルーティングサービスであるOfferboxには企業や学生の活動データが蓄えられています。それを基に採用活動の時期について考察していきます。

新卒の採用活動時期と決定効率

OfferBoxでは3年生のタイミングでもオファーが送れるため、早期の時期での企業・学生の行動データが蓄積されています。そのデータから、実は決定効率の良い時期が算出されています。①オファーの送信数と、②その時期に送ったオファーからの採用決定数を基に、3年生3月の決定効率を1とした場合の「決定効率」の推移を表したのが上記の表となります。

大学3年生の10月~2月の広報解禁前数ヶ月の期間が、学生のオファー受信に対して決定に至る率が高くなっており、今後いかに新卒採用時期が早まるとはいえ、この期間より極端に早まっていくことはないだろうと考えられます。

では、それぞれの時期の特徴をOfferbox内の企業・学生の活動状況を見ていくことで明らかにし、時期に見合った戦略がどういうものか考えてみます。

Aの期間

・3年生の3月の決定効率を「1」とした時の、この時期の決定効率 0.65

 ※2020年卒が3年生の7月時の数字

大学3年生の9月以前の時期です。この時期はOfferBoxにおいて、オファーの承認率は高く早期接触は図りやすい反面、その後フォローすべき期間も長くなってしまうため、決定効率としては低くなる時期です。

ただ、企業側はまだ前年度の採用活動が収束していないところも多いため、次年度の採用のために動き出せている企業は少ないです。そのため、学生の承認率については高い傾向にあり、学生に会いやすい時期でもあります。

また、この時期から活動している学生数は、最も活動が活発な時期の活動している学生数の2割ほどですが、その分情報感度が高く、自分のキャリアを自分で考えられている自立した学生が多い傾向もあると言われています。決定効率が悪いからとこの時期の活動を疎かにすると、この時期だからこそ出会える学生を取りこぼすことに繋がります。

この期間にオファーを送った学生とは、内定を出すまでに関わる期間が長い分、早期に接点を持った後、定期的にかつ対象の学生に企業の志望度を上げてもらうための関わりや互いの求めているものが一致するよう相互理解を深めていく必要があります。

Bの期間

・3年生の3月の決定効率を「1」とした時の、この時期の決定効率 1.31

 ※2020年卒が3年生の10月時の数字

大学3年生の10月~2月で、採用効率が最も高い活動時期です。ただし秋冬のインターンなどに向けて、他の企業も動き出す時期になってくるため、採用における競合他社と比較されることも増えます。そのため、他社との差別化が必要になってきます。

またこれまでのようなインターンとは名ばかりの、会社説明会と遜色ない「1Dayインターン」などが見直されていく流れの中で、長期インターンが活発になっていくと、学生にとっては同時にいくつもインターンを受けることが難しくなります。

そうなると、学生も本当に興味のある企業などに絞ってインターンに行くなど取捨選択されるため、より一層学生を集めるのが難しくなってきます。

ただ、この時期は学生の動き出しの時期とも重なっています。既にOfferboxに登録していた学生の月間アクティブユーザー数もこの10月頃から上昇傾向で、登録数自体も増えていきます。

またOfferboxユーザーは、最初の志望業界とは違う業界に就職を決めることも多いため、

まずターゲット学生に自社の業界や会社のことを認知してもらうことが重要になりそうです。

Cの期間

・3年生の3月の決定効率を「1」とした時の、この時期の決定効率 0.85

 ※2020年卒が4年生の4月時の数字

大学3年生の3月以降、就活広報解禁前後から就活終了までの時期です。実際に内定出しや内定承諾をしていく時期になります。3月から就活のスタートを切る学生も動き出して、活動している学生数も3月でピークを迎えますが、反面早くスタートした学生が早々に就職先を決めて活動を終了しだしていく時期でもあります。

この時期の特徴は、学生と出会ってから内定・内定承諾までのスパンが短いこと。

そのためA,Bの期間と比較して長期に渡って学生をフォローし続ける必要は少なくなりますが、他社と競いながら短期間で自社で働く志望度を高める必要があります。

また、近年の傾向では、売り手市場の中で学生も内定を保持したままもっと自分にとっていいところはないかと水面下で就職活動を続ける学生も多く見られます。そうした中では、まだ活動を継続している学生にピンポイントでアプローチする手段も有効です。

時期に合わせた採用手法を選択しよう

時期によって、決定効率や学生の状態が違うこと、をここまで述べてきました。

Aの時期では、早期に就活に向けて動き出すような働く意欲の高い学生が動いており、そうした学生と出会うためにはこの時期に動く必要があります。その反面、内定までの期間が長くなるため、定期的に接点を持ちながら、関係を構築し、志望度を上げていく必要があります。実際に同期になる学生や社員との交流、内定者インターンなどで自社と継続的に関係を持つような施策をされている企業もあります。

Bの時期には、企業・学生共に動き出す時期になり、競争も高まってきます。ただ一方で、学生は志望業界を絞り込んでいくのはこれからという方がほとんどです。だからこそまずは自社のことを正確に知ってもらうことで、ターゲット学生に検討してもらうような働きかけが大事になってきます。

そして採用活動が本格化するCの時期では、実際に自社に入社する志望度を高める必要があります。一方で、就職活動を終わる学生もいれば、内定を保持しながらも納得できるまで就職活動を続ける学生も多くいます。そうした学生にピンポイントにアプローチする活動も効果的でしょう。

以上のように、時期によって学生とのコミュニケーションのとり方には工夫が必要です。そうなると人事の方のリソースが足りないという事に陥る可能性が高くなります。

だからこそ、今までのように兎に角数を集めると言う考え方から、本当に来て採用したい人にしっかり接触し、フォローをすると言う考え方に変えていくべきかも知れません。

ぜひ前例に囚われずに、採用時期に合わせた活動ができるよう本記事を活用頂けると嬉しいです。

小野 真

2018年10月から株式会社i-plugに入社。学生に向けたOfferBoxのマーケティングに携わった後、企業向けにOfferBoxの価値を伝えるインサイドセールスに従事。学生時代にキャリア支援のNPOに携わった経験から、より個々人が自分らしいキャリアを描き歩めるような社会を実現するため日々奮闘中。