内定式の準備の成功の秘訣は、目的からブレない「王道」を守ること【コロナ時代の新卒採用】

内定を出した後に、初めて行われる大きな行事として、「内定式」は一般的です。

内定式を実施することによって、企業側も新入社員を本格的に受け入れる体制になりますし、内定者側も入社への具体的な意欲や準備を本格的にするスイッチになります。

  • 内定式の準備って一般的にどのようなことをやるのか?意味や意義は?
  • 内定式と内定者懇談会は同じ日にやるのか?同じ日に行うメリット・デメリット
  • 内定式の内容、標準的なプログラムは?
  • 内定式での社長、人事部長のお話ってどんな内容にすれば好ましい?
  • 内定式を成功させるに必要なことは何か?

以上のような「内定式の準備」の様々な疑問について、採用業務を経験されていた網野さんにお答えいただきます。

株式会社i-plug
網野 紗弓

新卒で、教育関連の企業に採用担当として勤務。
その後データ分析専門企業での人事担当を経て、2020年3月株式会社i-plugに入社。
現在は、総務チームにて法務関連業務及び、全社の業務効率向上のための施策について幅広く担当。

内定式の一般的なスケジュール:目的は「内定者同士が顔を合わせる」こと

人事ZINE編集部
ーー網野さん、今回は「内定式準備」というテーマです。どうぞよろしくお願いいたします。はじめに、網野さんは内定式の準備を行なった経験はありますか?

網野さん
はい。内定式の準備は行なったことはあります。やはり人事としては、戦略・効果を考えながら行なう余裕はあまり無く、必要な書類の準備や伝達事項を伝えるだけで頭がいっぱいになってしまうことも現実的にはあります。



ーーそれほど多くの事務作業をもれなく遂行するだけで大変なタスク量になると思います。内定式の準備にはどのような意味・意義があるのでしょうか?

網野さん
色々なパターンがあると思いますが、主に以下の3つの意味・意義があると思います。

  1. 内定者の顔合わせ
  2. 内定辞退の防止
  3. 入社までのスケジュールを具体的に提示して、実感を持って入社の準備をしてもらう

が最も大きな意味を持つと思います。

入社時にモチベーション高く入社をしていただくために、内定式で内定者同士のつながりを作っておくのは、「どのような人が同期になるのか?」という内定者の不安を解消し、具体的に入社後のお仕事をイメージしていただく上で有意義であり大切なことになります。

また、内定者同士につながりができることで入社後のイメージを共有でき、個々のモチベーションも上がり、「内定辞退の防止」にも非常に大きな力を発揮します。

また、入社までのスケジュールを具体的に内定者に提示することにより、より具体的に入社後の仕事をイメージしてもらい、入社前に必要な知識を得てもらうのに最適なタイミングといえます。



ーーそれでは、内定式の準備って、具体的のどのようなことに注意してするべきなのでしょうか?

網野さん                      
先程3つ挙げました内定式の意味・意義の1つに、

  • 入社までのスケジュールを具体的に提示して、実感を持って準備をしてもらう

というところがありましたが、その中でも、

  1. 内定者に事前に必要な知識をインプットしてもらう
  2. 入社に伴う転居などの段取りをしやすくする

という2点が、「入社のスケジュールを事前に提示して、準備をしてもらう」ことの主な中身になります。

内定式は概ね10/1に行われるので、内定者に事前に必要な知識をインプットしてもらう、という宿題を出すのに絶好のタイミングなんですよね。入社までに何ヶ月か時間がありますから、ある程度まとまった学習をしていただくことも可能です。

総合職系の配属であれば、マナー本やマーケット全般の本、専門職の配属であれば、職務に関連する専門的な本を読んでいただくことで、入社後にスムーズに業務を始められるように準備をしていきます。

ただし、こちらで与えるものを受動的に取り組むだけでなく、内容を実践に結びつけられるよう自分でキャッチアップするかどうかで入社後のスタートダッシュに差が付くと思いますね。

また、入社までのスケジュールを事前提示することにより、学生時代の住居地ではない所に赴任する予定の内定者が、住居を探し、生活を始める段取りをスムーズにする手助けにもなります。     

内定式の標準的なプログラム:内定者フォローの目的に即したプログラム設計を!今後オンライン化も?

人事ZINE編集部
ーー内定式の意味・意義はわかってきました。それでは、内定式と並び称される内定者フォローである「内定者懇親会」は同じ日にやる会社が多いように見受けられたのですが、同じ日にやってしまうのがセオリーなのでしょうか?

網野さん                               
そうですね。同じ日にやる会社さんも多いですし、基本的には同じ日にやるほうが私も良いと思います。理由としては以下です。

  • 内定式を行なう場合に一番かかる「交通費」を節約することができる
  • 社員や経営陣も含めて、予定を空けている日に懇親会も入れることが合理的

以上の2つのメリットが主に挙げられると思います。

同じ日に行うデメリットとすれば、

  • 内定式と懇親会を同日で行うとフォローの重複が起こり、入社まで段階的に内定者の入社意思を固めていく効果が期待しにくい

というところが挙げられます。ただしこの場合でも、他に内定者フォローの企画を段階的に計画していればこのデメリットは解消されます。

とはいえ、今年は新型コロナウイルスの影響で、入社式も新入社員研修もオンラインで実施した会社が多いので、今年の10月にウイルスが終息していなければ、内定式も内定者懇親会もオンラインで行なう会社が多くなることも予想され、「内定式」「内定者懇親会」という概念が大きく変わることが予想されますね。



ーー内定式の標準的なプログラムはどのようなものになるのでしょうか?

網野さん                               
そうですね、標準的な流れで言いますと、

  1. 集合
  2. 社長・経営陣の激励の挨拶・内定証書のお渡し
  3. 人事からの全体説明(スケジュールや提出物の説明、転居などを伴う場合はその説明)
  4. 内定者同士の自己紹介やワークショップなど
  5. 社員との内定者懇親会
  6. 解散

という順番かな、と思います。会社の体質によっては、社長や経営陣の激励の挨拶が非常に熱かったりと、さまざまなスタイルの違いが出るところですね。私の人事の部署としては、3番の「人事からの全体説明」でいかに内定者に必要な事務作業を滞りなくやっていただくか?ということに腐心していました。

内定者同士のワークショップは、ゆるすぎず堅すぎずの塩梅で計画するのが良いと思います。内定者同士の相互理解をリラックスして深めつつ、相互の特性や指向性がわかるワークを内定式時に組んであげると、働く仲間のイメージがよりしやすくなり、会社での業務のスムーズなスタートにつなげることができます。

内定者に「長い」「内容がない」と思われない社長・役職者の挨拶の工夫

人事ZINE編集部
ーー内定式のパブリックイメージといえば、社長をはじめ経営陣・役職者の挨拶が「長い」「内容が薄い」と内定者に思われるイメージがありますが、現代の新卒内定者に「刺さる」挨拶にするにはどのような工夫が必要でしょうか?

網野さん
「刺さる」キャッチ―なことを工夫して考える、というよりも、人事の立場としては、基本の基本として、社長や役職者には「ビジョンや社会人としての心構え」という系統の挨拶をしてほしいと思ってたりするんですよ。あまり内定者に媚びず、どっしりとした挨拶をしていただきたいんです。

なぜなら、この内定式を機に「学生モードから早く社会人モードに切り替えてほしい気持ち」が人事としては強いんですよ。入社まで良い意味での緊張感は内定者には持っておいてほしいんです。

加えて、内定者目線の満足度を追求ならば、挨拶も正論もしっかりと伝えつつも、大上段に構えすぎて自分語りにならないように気を付けつつ、

  • その会社が今取り組んでいること
  • 社員向けの経営課題

を、内定者だからといってお客様扱いせず社員と同じように扱い、社員と同じベースで理想を語っていただくと、内定者のやる気に火を付け、「自分ごと」にさせることができますね。そのような挨拶を経営層にしていただけるように、人事もガイドラインを作るなどアプローチをかけていくべきです。

最後に:今後、内定式の形式も大きく変わっていく中で大切なのは「基本に忠実な運営」

今回は、採用業務を経験されていた網野さんに、「内定式準備」についてお話をいただきました。

インタビューにより内定式には、

  • 人事が内定者への事務連絡や各種事務を滞りなく行い、入社準備を進める
  • 内定者が、入社後のイメージを明確にし、モチベーションを高めることができる
  • 内定者同士の連帯感を強め、入社後に活躍していただき、内定辞退を防ぐ

という大きな役割があることを確認できました。

今後コロナウイルスが終息しなければ、高確率で内定式は「オンライン開催」になる可能性は極めて高いですが、オフラインであってもオンラインであっても内定式の目的・役割をしっかり果たして行くことが大切なのではないでしょうか。

「内定者のフォロー」「新卒社員の戦力化」をしていく上で必要なのは、「学生」が選考を通過し「内定者」になり、内定式を経ることにより「社員」になる心構えを持つ、このステップに意識的になる必要があります。

内定式の、「内定者」から「社員」になる心構えを持つステップでは、内定者を「社員」扱いをして、会社のビジョンや経営課題を共有して、その課題にアプローチする戦力・仲間としてコミュニケーションをとっていくことが大切になります。

一つ一つの準備事項の中に、

  • 内定者を社員同様の存在として扱っている
  • 経営課題を共有できる内容になっている
  • 個々の入社後イメージとモチベーションを高められる

要素が含まれているかを考えながら、内定式の準備を行なっていくのはいかがでしょうか。

人事としては、内定式の一日は必要書類の準備や伝達・事務作業でてんやわんやかとは思いますが、上記の3つの「内定式の大きな役割」、3つの「内定式準備のための重要な要素」を意識して、かつ基本に忠実に内定式を準備して、成功させていきましょう。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部