OJTとは?OJTの目的と効果、研修の進め方や具体的な手法を解説

「OJT」とは、多くの企業で取り入れられている社員を育成するための研修方法です。しかし、「実際に導入してみたけど、なかなかうまくいかない…」といったケースも多いのではないでしょうか。

「OJT」で効率的に社員を育成するためには、OJTの目的や必要性、効果はもちろんのこと、具体的な進め方や課題についてしっかりと理解しなければなりません。

そこで、この記事では「OJT」の基本的な概要や研修のやり方、「OFF-JT」との違い、OJTのメリット・課題などを解説していきます。

OJTとは?

OJTとは、「On the Job Training」の略で、職場で実際の業務を通して研修を行う企業内教育手法のことです。また、現任訓練と呼ばれることもあります。

厚生労働省がまとめた「人材育成の現状と課題」によると、OJTを重視する、またはそれに近いと回答した企業は73.5%となっており、多くの企業で社員の育成にOJTを活用していることがわかりました。

参考:厚生労働省「平成26年版労働経済の分析 第3節人材育成の現状と課題

OJTによる研修のやり方

OJTによる研修は、上司や先輩社員が教育係(トレーナー)となって、実際の業務を通じ、教えられる側(トレーニー)に実践的な知識やスキルが身につくように訓練が行われます。

一般的には、仕事の全体像を理解させることを目的として、

  1. Show(やってみせる)
  2. Tell(説明する)
  3. Do(やらせてみる)
  4. Check(評価・追加指導する)

の「4段階職業指導法」というステップで実施されます。

ステップ1|Show(やってみせる)

まず、トレーナーが仕事をやって見せて、仕事の全体像を理解してもらいます。言葉の説明のみで終わらせることも多いですが、実際にやって見せることで具体的なイメージを持ってもらうことが大切です。

ステップ2|Tell(説明する)

次に、仕事の意味や背景も含めて具体的な業務の内容を説明しましょう。質問を受けるようにすることで、OJTの効果も上がります。この場合に重要なことは、キーポイントを強調して説明することと、覚えきれないほど一度に教えすぎないことです。

ステップ3|Do(やらせてみる)

そして、トレーニーに実際に業務を行ってもらいます。さらに、説明しながら業務をしてもらうことで、より理解度が深まるはずです。

ステップ4|Check(評価・追加指導する)

最後に、ステップ3「Do(やらせてみる)」で上手くできなかったことや、ステップ2「Tell(説明する)」では、まだ教えていない細かいことなどの説明を加えます。また、トレーニーの評価も行って、その評価にもとづいて次の訓練計画を立てましょう。

OJTとOFF-JTの違い

「OFF-JT」とは、OJTと合わせて実施される社員研修の手法です。

OJTは実際に業務を行いながら学んでいくアウトプット型の研修ですが、OFF-JTは、テキストやマニュアルなどを使用するインプット型の研修です。

OJTとOFF-JTの違いは、以下表のとおりです。

OJTを実施する前に、OFF-JTを実施して必要な知識を事前にインプットするなど、OJTとOFF-JTを組み合わせて研修を行うと、より高い効果が得られます。

OJTに向いている業務と向いていない業務

OJTには向いている業務と、向いていない業務があるので、導入する際には注意が必要です。

OJTに向いている業務は、ある程度業務の内容が決まっていて、イレギュラーな対応が少ないものです。一方、プロジェクトごとに仕事の進め方が変わったり、その場の状況で対応を変えたりしなければならない業務には、あまり向いていません。

OJTのメリット

OJTは教えられる社員だけでなく、企業や教える側の社員にもメリットがあります。主なメリットは次のとおりです。

  1. 社員の個性や特性に合わせた、内容やスピードで教えられる
  2. 実務を通じて研修を行うので、すぐ必要となるスキルや知識が身につく
  3. 教える側の社員もスキルアップになる
  4. OJTを通じて職場の人間関係を築ける
  5. 外部講師を招くOFF-JTと比較すると教育コストを抑えられる

OJTの課題と解決方法

OJTを導入すると、上記のように多くのメリットがあります。

ただし、デメリットや課題もあるため、事前に理解しておかなければ、実際にOJTを導入しても期待するような効果が得られない可能性も。

そこで次に、OJTがうまく行かないケースとその解決方法について解説していきます。

OJTがうまく行かないケースと解決方法

OJTがうまく行かない企業では、以下のケースが当てはまります。それぞれの解決法について解説するので、参考にしてください。

1.教える社員のスキルによって、効果にバラツキ

OJTは教える社員によって、教育の効果にバラツキが出ることがあります。そのため、OJTを実施する前には、トレーナーとなる社員の教育を行わなければなりません。

特に、初めてOJTのトレーナーをする社員には、OJTの目的や必要性、効果、進め方などについて、しっかりと理解してもらうことが大切です。

2.体系的な教育が難しい

OJTは業務を通じた研修であるため、知識や能力を幅広く学ぶことはできません。

中長期的視点で社員を育成するためには、OJTとOFF-JTを組み合わせて体系的な教育を行うことが重要です。

3.教える社員の時間的、精神的負荷が大きい

OJTは外部講師を招くことが可能なOFF-JTよりコストが抑えられるといったメリットがある反面、教える社員には負担がかかります。

教える側の社員は、通常の業務を行いながらOJTの時間を作らなければなりません。また、業務を習得するまでの時間は個人差があるため、個人のペースに合わせて進める必要があり、教える側の業務が滞ってしまう可能性も。

教える側の社員がOJTと実務を両立できるように、サポートする体制を整えておきましょう。

4.現場に任せたままにすると放置されてしまうことも

上記のように、OJTは教える側の社員に負担があります。そのため、現場に任せたままでは、自身の業務を優先するあまり、教えられる社員が放置されてしまうことも少なくありません。

現場に任せたままではなく、本部の教育担当が定期的にチェックやフォローを行い、必要な場合にはサポートすることが大切です。

OJT実施後のポイント

OJTを現場任せにしてしまうと、何となく実施して終わることになるでしょう。しかし、継続的な教育を行って人材を育成するためにも、OJTを実施した後には、習熟度やスキルの定着を確認して、トレーニーができた点、できなかった点について、フィードバックを行うとよいでしょう。

それにより、トレーニーは自身ができなかったことを把握し、次の目標を定められます。また、本部の教育担当者や上司は習熟度に応じて、以降の教育計画の立案もできるでしょう。

【Tips】OJTに活用できる助成金制度

人材育成の大きな課題は、教育に必要となるコストや手間ではないでしょうか。

厚生労働省では労働者のキャリア形成を目的として、職業訓練などを実施する企業に、訓練の経費や訓練期間中における賃金の一部などを助成しています。

助成メニューは7類型があり、そのうち「人材開発支援助成金(特定訓練コース)」は、企業内で行うOJTと、教育訓練機関などでの座学(OFF-JT)を組み合わせた実践的な雇用型訓練に対して助成が行われます。詳しくは、厚生労働省のホームページを参考にしてください。

参考:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金

OJTは現場任せにしないことが重要

この記事ではOJTの基本的な概要や、研修の進め方、課題について解説しました。

OJTにはさまざまなメリットがありますが、教育をする側の社員には、時間や精神的負担が多くかかるというデメリットもあります。

教育担当の部署は現場任せにせずに、定期的にチェックやフォローを行って、現場をしっかりとサポートできる体制を整えましょう。

人事ZINE 編集部

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