OJT導入の進め方 | 手順とポイントを解説!具体的な導入事例も紹介

「OJT制度を導入したいけど、注意しておきたいポイントや進め方、具体例などが知りたい…」と新入社員の育成方法を改善したいと考えている人事担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

厚生労働省が発表した「平成30年度 能力開発基本調査」によると、正社員に対する教育訓練について「OJTを重視する」または「OJTを重視するに近い」と回答した企業が、73.6%となっており、多くの企業では、効率的・効果的に社員を育成する手法としてOJTが導入されています。

とはいえ、実際にOJTを導入する際に気を付けたい点や進め方がわかりにくいですよね。

では、実際にOJTを導入する際には、どのように進めたらよいのでしょうか。そこで、この記事ではOJTの手順やポイント、具体的な導入事例などを紹介します。

「いきなりOJTを導入するのはハードルが高い」と感じるかもしれませんが、進め方や具体例を知るだけなら難しくありません。

まずはOJTの目的やメリット・デメリットについて解説していきます。

OJTの目的やメリット・デメリット

まず最初に、OJTの目的やメリット・デメリットについておさらいしてみましょう。

OJTとは?OJTの目的と重要性

OJTとは、職務現場で実際に業務をしながら、上司や先輩社員が指導担当者となり教育を行う教育訓練です。主に新人教育や業務未経験者に対して行われ、実務を体験しながら仕事を覚えてもらいます。

OJTは実際に業務を行いながら学ぶことで、即戦力となる社員を育成することが期待できます。また、業務の習得を促すことの他に、コミュニケーションによって職場や仕事への不安を解消し、モチベーションをアップさせ、職場への定着や能力の発揮を図ることも重要な役割です。

OJTを導入するメリット・デメリット

OJTは効果的に教育訓練を行える手法ですが、デメリットもあります。導入する際には、メリットとデメリット両方について理解しておくようにしましょう。

OJTのメリット

OJTは教育を受ける側だけでなく、教育担当の上司や先輩社員、そして企業にもさまざまなメリットがあります。

  • 教育を受ける側の特性に合わせたペースや内容で実務経験を積める
  • 実務に携わる人から指導を受けられるため、職場の人間関係を築くことができる
  • 実務を通じて教育訓練を行うため、終了後はスムーズに業務に入ることができる
  • 教える側の社員もスキルアップできる
  • 職場外で教育訓練を行うOFF-JTに比べるとコストや人事部門の手間を抑えることができる

以上のように、OJTはコストや手間を抑えながら、実践に即した教育訓練ができるといったメリットがあります。

OJTのデメリット

OJTには大きなメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。

  • 教育担当となる先輩社員の時間的な負担が大きい
  • 教育担当者の能力やOJTに関われる時間によって、教育の質や量にばらつきがでる
  • 教育の進捗が業務の忙しさに影響される
  • 教育計画や報告書の作成などに手間や時間がかかる
  • 教育が現場任せになってしまい、会社としての管理が疎かになりがち

OJTは、以上のように教育担当となる社員の負担が大きく、その社員の能力やOJTに関われる時間によって教育の質にばらつきが出るのがデメリットです。

OJTを導入する際の進め方と手順

OJTを導入する際には人事担当者や教育担当者が、進め方や手順、注意すべきポイントについて理解しておくことが大切です。

OJTの進め方

OJTを効果的に進めるには、OJTの実施前と実施後の取り組みも重要です。

実施前:OJT研修の目的を設定、教育する現場の現状を把握する。教育を担当する社員の選出、OJT計画の立案。

実施後:目標の達成度を把握して、教育される社員にフィードバック。現状で何ができていて、何が足りないのかを伝える。

また、OJT研修の中間では、教育を受ける社員と教育する社員の双方と面談を行う。必要があれば計画の変更や修正を行うことも大切。

OJTの4つの手順

OJTでは、以下4つの手順で進めていきましょう。

Show(やってみせる)

実際に業務をやってみせることで、業務の流れや全体像を理解してもらいます。言葉で説明するだけでは、伝わらないことも多いからです。自らお手本を見せることで、業務内容を具体的にイメージさせられます。

Tell(説明・解説する)

次に、より細かく業務の内容を説明します。ただ単に作業を覚えてもらうだけでなく、目的やゴールを理解してもらうように説明しましょう。また、疑問点やわからない点は、随時質問してもらうようにすると、理解度が高まるはずです。

Do(やらせてみる)

実際に業務をさせてみます。慣れるまではしっかりと見てあげて、間違いやミスがあれば、その度にアドバイスを行いましょう。特に新入社員の場合には、できなくて当たり前と思うことが大切です。失敗があっても責めることなく、丁寧に指導しましょう。

Check(評価・指導をする) 

業務をさせた後は、できていなかったこと、できていたことのそれぞれについてフィードバックします。フィードバックは具体的に伝えることが重要です。

できていなかった点については、なぜできなかったのか、どのようにしたらよいのか、など改善点も含めてアドバイスしましょう。できていたことは、しっかりと言葉にして褒めることで、OJTを受ける側のモチベーションアップにつながります。

OJTの目標は実務を通じて実践的な力を習得することです。そのため、まずは簡単な業務からスタートし、徐々に難易度の高い業務ができるように、ステップを作って進めていくとよいでしょう。

OJTの質を高める3つのポイント

以下3つのポイントを抑えることで、OJTの質を高められます。

  • 意図的:どのような目的でそのトレーニングを行うのかを理解しましょう。教育を受ける側と指導する側の双方にOJTの目的と目標を、しっかりと伝えることが大切です。
  • 計画的:効果的に育成させるには計画に基づいたトレーニングであるかどうかが大切です。OJTの期間や具体的な業務内容をしっかりと計画に落とし込みます。
  • 継続的:内容によっては1度のOJTで習得できるものもありますが、何度も継続的に訓練しないと身につかない業務もあります。そのような業務では、単発ではなく、反復的、段階的なトレーニングであることが大切です。

OJTを導入する際に注意すべきポイント

OJTには教育を担当する先輩社員の意識や能力によって、教育の質にばらつきがでるというデメリットがあります。OJTを導入する際には、教育担当者にも研修を行って、OJTの目的や進め方、目標などをしっかりと理解してもらうことが重要です。

また、OJTには体系的に育成することが難しいといった課題もあります。OJTとOFF-JTをうまく組み合わせて、人材育成の計画を組むことも必要です。

OJT導入時のチェックリスト例

これまで解説してきました進め方や手順、ポイントを、自社で確認するためのチェックリストの例を紹介します。自社に合わせて項目を修正して活用ください。

自社のOJTチェックリスト(例)

  チェック項目チェック
実施前OJT期間における成長目標が設定されているか
2OJT実施計画が作成されているか
3OJTの教育担当者が選出されていて、人選は適切か
4OJT実施計画が、教育担当者と所属する部署の上司の間で共有されているか
5教育担当者と上司は、OJTの前に実施したOFF-JT研修の実施状況や内容を把握しているか
6実施教育担当者に、指導方法に関するマニュアルや学ぶ機会が与えられているか
7教育担当者の間で、進め方や内容にバラつきがないか
8教育担当者の間で、育成や指導に関する情報が共有されているか
9教育担当者と受講者との定期的なコミュニケーション機会が確保されているか
10中間チェック上司はOJTの実施状況を把握しているか
11上司はOJTの重要性を認識しているか
12状況に応じて、実 計画が修正・更新されているか
13OJT実施期間中に、教育担当者、受講者、上司の間で定期的な振返りの機会があるか
14実施後実施計画に基づいて、OJTの成果が「見える化」され情報が教育担当者や上司に共有されているか
15目標に対する達成度を把握して、現状で何ができていて、何が足りないのかを受講者にフィードバックしたか
16実施結果に基づいて、以降の教育計画が立案されているか

OJT導入の具体的事例

厚生労働省のホームページに人材育成事例として、企業の具体的な取り組みと課題が紹介されていますので参考にしてください。

OJTとOFF-JTを絡めた人材育成

【企業概要】
大手小売り流通チェーンにおける物流システムの一翼を担うトラック運送業者「 M社」

【具体的な取組み】
中途採用を含めた新規採用時にOJTとOFF-JTを実施。また入社後も継続的にOFF-JTを実施。

【採用時教育】
中堅社員(ドライバー)を車に同乗させることによって、OJTを通じた教育を行いながら、社内講師によるOFF-JTを並行して実施している。全カリキュラムを終えた後に社内試験を行って、合格することで新入社員教育が終わる仕組み。

引用:厚生労働省人材育成事例138

新人教育

【企業概要】
山口県に本社を置く、住宅や商業施設、工場などの電気設備工事を行う山一電設株式会社。

【具体的な取組み】
入社後、経験に応じて5日~50日の初期教育(主に座学・実技体験)を行い、20日程度の現場体験を経て配属となる。その後は、チームリーダーのOJTを中心に「資格取得マニュアル」に沿った受験指導や、勤務経験に応じた社外教育機関の受講などを行っている。

OJTの推進については、毎月1の付く日を強化日として、作業チーム内で、先生役と生徒役になり、各人の得意分野について水平展開を行っている。

引用:厚生労働省人材育成事例206

OJTは目的と計画をしっかりと抑えて継続的に実施しよう

OJTをうまく進めるポイントは、目標や計画をしっかりと立案して、計画に基づいて継続的に実施することです。OJTの導入で失敗するケースでは、この計画がしっかりと立てられずに現場任せにしているケースが多く見られます。

今回紹介した4つの手順と3つのポイントを意識して、OJTで効果的に社員の育成を行いましょう。

人事ZINE 編集部

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