新入社員研修の充実度を求める学生が増加傾向に!採用人事は研修結果を次の採用にどう結びつける?

新卒を対象とした社員研修は、時間軸で分類すると「入社前の内定者研修」「入社時の新入社員研修」「配属後のOJT研修」の3種類があり、それぞれの細かい研修内容やそれらを実施する目的は企業に異なります。

以前、人事ZINEでは「入社前の内定者研修」をテーマに、その目的や人事の役割、内定者との向き合い方について、新卒採用アドバイザーの谷間さんにインタビューさせて頂きました。
⇒内定者研修を通じて新卒採用人事が行なうべきこと|「入社してよかった」と思ってもらうために

今回は、その続編となる「入社時の新入社員研修」について、引き続き谷間さんにお話をお伺いしていきます。

基本的にほとんどの企業で実施される「新入社員研修」は、その実施目的として下記のようなのような点が重視される傾向があります。

  • 学生から社会人へのマインドチェンジ
  • 社内でのコミュニケーションを深める
  • ビジネスマナーや社会人としての基礎となるスキルの習得
  • 企業についての理解を深める
  • 会社への帰属意識の醸成

今回は、上記の真相を含めた新卒社員に対する入社前後での研修目的の違いやその関係性、また現在の新卒学生が新入社員研修をどのように捉えているかについてお話して頂きました。

新入社員研修のスタートラインは学生から社会人への意識変革

人事ZINE編集部
ーー前回は候補者が入社するまでの内定者研修についてのお伺いしました。今回は入社時の新入社員研修についていろいろお聞かせ頂きたいと思います。まずは入社前後での研修目的の違いについて教えてください。

谷間さん
内定者研修では、内定者の不安を取り除き、自社の理解を深めてもらって納得して気持ちよく入社してもらえるようにするための、「内定者フォロー」が主な目的でした。

一方で、入社後の新入社員研修は先に挙げて頂いた通り、教育したいことやその目的は様々です。企業によって細かい研修内容は異なるかと思いますが、新卒が入社直後に受ける新入社員研修において最も重要なのは最初の「学生から社会人へのマインドチェンジ」ではないかと思います。

社会人として働いた経験がない新卒の新入社員に教えるべき内容は多岐に渡り、社会人としての基礎力を網羅的に習得してもらわなければなりませんが、これらは「社会人になったという自覚」があってこそのものです。

「学生から社会人へとその立場を変えさせること」は、組織における自分の役割を把握し、配属後に実務をこなすための土台作りを、限られた研修期間の中で達成するための最初の一歩となります。

 


ーーまずはマインドを「学生」から「社会人」にスイッチすることを目的とした研修が必要とされるのですね。両者でガラッと切り替わるポイントはどういったところにありますか?

学生時代は、勉強やアルバイトも遊びも自分自身のことに集中して過ごせたかもしれませんが、社会人になると、相手の意思を汲み取った考え方や行動ができるようにならなければなりません。

商品やサービスの消費者から生産者になり、自分で選べる限定的なコミュニティから仕事を通じた利害関係のある人間関係になり、「責任感」「お金の感覚」「時間管理」「言葉遣いや身だしなみのマナー」など、変革のポイントは多々ありますが、自分の主張だけでなく相手の意思を汲み取った行動ができるかどうかという意識変革がそれらの根幹にあるかと思います。

この社会人としてのマインドセットの延長線上に「一般的なビジネススキル」「社会人に必要な基本スキル」「部門ごとに必要な専門性」の教育が来るという感じです。

ここからは会社の状況や方向性によって研修内容は変わってきますね。チームでワークショップやプレゼンテーションを行なったり、外部講師を招いてキャリアデザインやメンタルヘルスのセミナーを受けてもらったり、英語力やPCスキルのレッスンを準備したり。

研修にどんな目的があって何を身に付けてもらいたいか、研修にどのくらいの期間が使えるか、その中で目標を達成するために最適な手法が何か、過去の研修の目標達成度はどうだったか、などを踏まえて新入社員研修全体の設計をします。

新入社員研修のふり返り:次期研修と次期採用に繋げるフィードバックを

人事ZINE編集部
ーー新入社員研修のふり返りはどのように行ないますか?次回の新入社員研修の改善に活かすほか、どんなことに結果をフィードバックしますか?

谷間さん
まずは、研修でどのくらいスキルが身に付いたか、期待していた結果が得られているか、受講者からの評判はどうだったかという、新入社員研修そのもののふり返りを行ない次回以降の改善に活かします。

全体研修だけでなく、配属先でのOJTも加味されますが、業務を遂行するのに必要な心得・スキルが身についているか、現場で活躍できているか、能力は向上しているかが評価のポイントですね。

また、受講者に1日の終わりに研修での学びの記録を付けてもらったり、研修期間が終わるときに報告書やアンケートを提出してもらったりして、受講の手応えやまた受けたい研修を評価してもらいます。

次に、同じ研修を受けて、著しく成長した人材とそうでない人材の差は何か、活躍している人材の適性検査の結果はどうだったかという傾向を分析して、採用計画の自社の求める人物像を見直すといったこともします。

私は新卒の採用人事でしたので、何事においても次の採用にどう結びつけるかということを考えてることが多かったです。

企業選びの際に「新入社員研修」や「教育」の充実度を重要視する学生が増加傾向にある

人事ZINE編集部
ーー新卒で入社する学生は新入社員研修をどのように捉えていますか?入社前にどんな研修があるか気にする学生もいるのでしょうか?

谷間さん
「いつまで新入社員として扱われますか?」とか「独り立ちするまでしっかり研修期間が設けられていますか?」とか、不安を抱えたまま仕事を任されたり、1人で現場に出たりすることに抵抗があるという学生は結構多いですね。

最近は、「新人に対する研修や教育の充実度」も企業選びの1つの判断基準にしている学生が増加傾向にあります。

ですので、採用活動において「新入社員研修に重きをおいていること」は企業の1つのアピールポイントになりますし、その目的や1人前になるまでのカリキュラムを学生にしっかりと説明できるかどうかが、学生を惹きつける上でも重要になってきています。




ーーそれは、今はどちらかというと ”受け身タイプ” の学生が多いということなのでしょうか?

全員がそうではありません。もちろん「いろいろなことに挑戦させてくれる環境で仕事がしたい」「若いうちから大きい仕事を請け負いたい」という学生もいますし、企業側としてももともと成長意欲が高い学生の方が魅力的ではあります。

ただ、受け身タイプの学生の率が上がってきている傾向は確かにあると思います。そうである以上は、そこをちゃんと踏まえた採用活動をしていかないと、まず学生を集める事ができないですよね。

今の学生が考えていること、企業に求めているものをちゃんと汲み取って、それを求める人物像に組み込んでいく。さらに彼らをどう戦力化するかということを研究して研修内容や新人の教育カリキュラムを改善していくことが必要になります。

ーー採用基準を妥協するというわけではないんですね。

もちろんです。受け身タイプとは言っても、その裏には「失敗したくない」とか「与えられた職務をちゃんと遂行したい」という考えも含まれていることもありますよね。

それに受け身かどうかというだけが人物像の要素ではありません。企業としては将来的に活躍できる人材になってくれればその採用は成功ですし、その時の学生の傾向を観察しながら、どういう人材をどのように育成すれば成長するかを分析することが必要になります。

新人の育成に力を入れていますよということを学生に理解してもらえれば、それが企業のアピールポイントの1つとなる上に、安心して入社してもらえますよね。

かと言って、「何でもかんでも教えてもらえるのが当たり前」というスタンスで来てほしくはないわけです。ここの見極めが難しいところですが、自社の人材分析と教育プログラムの試行錯誤を繰り返して、互いにブラッシュアップさせていくしかありません。

例えば、新卒に対して以下のようなアプローチをしたとします。

  • とにかく場数を踏んでいくらでも失敗できる環境で成長できることをわかってもらう。
  • 自立心を育てるような、挑戦することに意欲を持ってもらえるようなメンタル面を強化する研修を実施する。

その後、何でも積極的に自ら手を挙げる、常に期待以上の結果を出そうと努力する、といった企業が求める活躍人材に育つ人もいれば、まだ「そんなの教えてもらってないんですけど。」という消極的な人材のままの人もいるかもしれません。

自社の活躍人材に成長した人は、どんな人材要素を兼ね備えているのか、また採用時と比べてどこがどう変わったのか、その変化にはどんな研修や教育が影響したのか、という分析結果を次の採用計画に向けてフィードバックする。これの繰り返しです。




ーー採用計画にまでフィードバックすることを考えると、入社前の内定者研修も入社後の新入社員研修も一本軸で繋がる部分がありそうですね。

人事部の中でも担当や役割が分担されますが、新卒採用担当だった私からすると、「安心して入社してもらいたい」「入社後に活躍して欲しい」そして「活躍できる人を採用する確度を上げたい」という一貫した目標があったので、新入社員研修も内定者研修も同じような感覚で見ていました。

接点が多ければ多いほど安心してもらえますし、常にアンテナを張って学生が考えていることと自社が求めていることの共通点を見出していくのが新卒採用人事の務めかなと思います。

最後に

今回は、新卒採用アドバイザーの谷間さんに、新卒の新入社員研修の目的や考え方、採用計画との関係性についてお話しいただきました。

新入社員研修は、学生から社会人へのマインドチェンジに始まり、配属後に実務をこなすための土台作りが特に重視される目的として実施されます。

前回の内定者研修のインタビューに引き続き、学生の傾向を読み、内定者をフォローし、入社後の成長や活躍にも立ち会い、時間軸は違えど常に人(新卒)に向き合うことの大切さが谷間さんのお話から伝わってきたと思います。

新卒社員は、これから様々な知識・経験を得て自社で活躍していく企業の大切な資産です。新入社員研修を通じて「新入社員のあるべき姿」を追求するとともに、採用と育成両方の観点で人材確保を最適化していきましょう。