新卒採用の市場動向を採用戦略に活かす方法

毎年ニュースにもなる、新卒採用・就職活動に関する市場動向の調査結果。

人事担当者の方であれば、人事向け媒体やメルマガなどでも速報が送られてきて、「今年は内定辞退が多いらしい」「早期化しているらしい」など、トレンドは把握されていることと思います。しかし、データを読み解いて自社の採用戦略に活用できているかと言うと、いかがでしょうか?

これほどまでに大々的な市場動向調査の結果も、無料で手に入る時代です。こうしたデータを活用できるか否かは、採用難の昨今における採用活動の成否を左右すると言っても過言ではないでしょう。

これから、新卒採用の市場動向レポートを採用戦略に落とし込む、具体的な方法についてお伝えします。

市場調査レポートを読む目的は、自社の「立ち位置」を知り、対策すること

市場動向の調査レポートには、企業の規模別、業種別、所在エリア別など、さまざまなセグメンテーションによる調査結果が並びます。

例えば、従業員数1,000名以上の大手企業における内定辞退率は何%で、一方100名以下の中小企業における率は何%、といった具合です。こうした調査結果から、自社と競合する企業の傾向を掴み、自社を差別化することで、競合に勝つ=学生に選ばれる企業となることができます。

市場調査レポートを読む目的は、自社がいまどんな位置(ポジション)にいて、学生から見て他のどんな企業と比較されていて、どこをどう変えれば他社から抜きん出て選ばれることができるのか、といった戦略を知ることです。

それダメ!市場調査レポートのダメダメな読みかた

自社の採用戦略に活かす目的で読むつもりだった市場調査レポートも、人間はつい自分の読みたいように読んでしまうことが、往々にしてあります。

そんな、誰もがついやってしまうダメな読み方の典型をご紹介します。

自社と同規模や同業種の平均値を見て、自社より悪いとホッとする

「うちの内定辞退率は、100人規模にしては平均以下だから悪くないな」と思っても、実際には内定辞退が数名出て、追加募集をしたり採用コストがかさんだりしていれば、解決すべき課題があることに変わりありません。

「もっと悪いところもあるから」と下を見ることで安心してしまい、「どうしたらもっと良くなるか」を考えなくなってしまうのはとても危険です。

自社が同規模や同業種の平均値より状況が悪いと知っても、「うちは特殊だから…」

先ほどの例とは逆に、「うちは◯◯業の中では内定辞退率が高いが、それは△△事業があったりして“特殊”だから、同業種の平均値とは単純比較できない」など、言い訳をしてデータを無視するパターンです。

人間には正常バイアスというものがあり、現状に対して「問題ないはずだ」と思い込む引力はかなり強いものです。

しかし、人が一人一人違っていて「全てが平均的な普通の人」なんていないように、「普通の会社」もありません。どの会社にも、特殊と言える部分があります。

新卒採用では、就活生の多くはまず業種や規模で企業を探し始めるため、こうしたセグメンテーションも安易に無視しないほうが良いでしょう。

どちらも、「データを自社に都合の良い部分しか見ない」という点が問題ですね。

調査項目別「立ち位置」を正しく知る読み解きかた

では、自社の「立ち位置(ポジション)」を知って新卒採用の戦略に落とし込むには、市場動向のどの項目をどう読めばいいかをお伝えしていきます。

基本的には「最近の動向」を知り、その「原因」つまり裏にある企業や学生や社会全体のニーズ・課題などを調べてから「戦略」を考えることになります。

<企業>の新卒採用に関する市場調査レポートの読み解きかた

まずは企業向けに実施された市場動向調査の項目について解説します。

(データは「新卒採用 市場」「新卒採用 動向」「◯◯年卒 新卒採用 調査」などで検索すると、大手採用サービス会社のデータがたくさん出てきます。)

有効求人倍率

※有効求人倍率…公共職業安定所(ハローワーク)に登録している求職者に対して企業の求人がどれだけあるかを表した経済指標。求職者数=求人数のとき1となり、1より大きいときは求職者<求人、つまり売り手市場で求人に対して求職者が足りていない状態を表す。日本では、2014年から1を上回る「売り手市場」になり、2019年8月現在まで、約1.6倍で高止まりを続けています。

最近の動向

ここ数年は有効求人倍率が高い、いわゆる「人手不足」「採用難」です。

採用を行う企業にとっては、大手企業や成長企業など、強力なライバル企業たちと人材の奪い合いになります。

求人広告を出しても人材が集まりにくく、同時に、求人広告媒体は需要が増えるため料金も高くなります。

高い掲載料を払っても人材が集まらない、つまり、求人広告の費用対効果が小さい状態になります。

原因

  •  少子化(新規大卒者の減少、団塊世代の引退)
  •  好景気による求人数の増加
  •  バブル崩壊後、採用を控えていた企業の人員構成の歪みからくる採用活動再開 など

有効求人倍率が高いときの戦略

  •  費用対効果の低い求人広告への投資を減らし、成功報酬型のダイレクト・リクルーティングや人材紹介を活用する
  •  自社に必要な人材は「誰もが欲しがる優秀人材(高学歴や好成績)」なのか、改めて、学歴や職歴に囚われずに求める人材の要件定義を見直す。

逆に、有効求人倍率が低いときは、求職者・学生にとっての「就職難」です。

優秀な人材を採用できる可能性もありますし、人材を集める以上に重要なのは、その応募者が自社に有益かどうか“見極める”部分になってくるでしょう。

面接の効率化や採用基準の明確化には、AI面接や適性検査などのHR-Tech活用もおすすめです。

新卒採用の活動時期

最近の動向

年々、早期化が進む新卒採用の活動時期。経団連による「採用選考に関する指針」(倫理憲章)により、新卒採用の広報解禁は大学3年生の3月1日・選考解禁は6月1日とされてきましたが、約9割(89.8%)の企業がそれよりも前に広報・選考を行っていたという調査結果が出ています(株式会社ディスコ「2020 年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査(2019 年 7 月調査)」による)。

つまり、「早い者勝ち」の競争が過熱しているということです。

原因

  • 売り手市場による人材の奪い合い(深刻な人材不足などにより倫理憲章が守られない)
  •   企業側:優秀な学生が就職活動を終えてしまう前に接触し、囲い込みたい
  •   学生側:企業が提示する選考スケジュールに乗らなければ応募の手段がない

採用活動が早期化しているときの戦略

  •  自社も優秀な人材の就職活動時期に遅れないように、活動時期を早める
  •  多くの企業の採用活動が落ち着く夏〜秋以降にあえてずらして採用活動を行う
  •  初めから2〜3クールに分けて採用活動を行い、内定辞退分を随時補充していく

早期化に合わせて早く内定を出しても、学生を長期間グリップすることの負担、内定を辞退されるリスクもあります。もし確実に採用人数を確保したいのであれば、遅い時期から開始するのも手です。夏以降は学生も「持ち駒」が減って早く内定先を決めたいと焦り出すため、内定承諾は得やすくなります。どちらかに極端に振りきらずに、複数クールに分けて採用活動を計画するのも良いでしょう。

インターンシップ実施状況

最近の動向

インターンシップを実施する企業は、ここ数年で非常に多くなりました。一方「1dayインターン」と呼ばれ、企業説明をしたあと簡単なグループワークをして終了、つまり実態はほぼ「企業説明会」であるものが増えていることも問題視されています。

原因

  • 採用/就職活動の早期化
    • 表向きは広報解禁日(大学3年生の3月1日)以降にしか採用活動ができない企業が、なるべく早く優秀な学生を囲い込むため、インターンの名目で学生に接触
  • 長期インターンを受け入れるには現場に負担がかかる
    • 就業体験をさせる本来のインターンを実施できる企業が少ないため、説明会と同内容で手軽に開催できる1dayインターンが増加
  • 学生は本選考前の「練習」としてインターンの選考を受けたり、業界研究のために本命企業と同業種のインターンに参加する

インターン実施企業が多いときの戦略

  • 学生にとって有益な経験ができるプログラム内容で他社と差別化する
    •  就業体験(身につくスキルを明確に、有給で)、グループ対抗の新規事業案コンペなど
  • 名ばかりインターン(実態は説明会など)ならば実施せずに、個別面談や社員との懇談会など企業理解が深まるイベントを開催する

1dayインターンなど「名ばかり」のインターンは学生満足も高くなく、参加者不足や直前キャンセルなどの問題も起こります。

また最近では、無給で過酷な労働をさせる「ブラックインターン」という言葉も出てきて、「インターンは就業体験であり、労働には対価が支払われるべき」という考えが浸透してきたため、安易にインターンの名を冠することにもリスクがあります。

反対に、学生満足の高い、本格的な就業体験やスキル獲得ができるような有給インターンなどが実施できれば、本選考への誘導や口コミによる集客効果も得られるでしょう。

また、インターン以外にも、個別面談や懇談会、事業所見学といったイベントにより早期接触することも可能です。

活用する採用支援サービス

最近の動向

大手求人広告(リクナビやマイナビなどのナビ媒体)への掲載はインフラ的な立ち位置になり、大半の企業が新卒採用をする際にはこうしたサイトを活用しています。

しかし、HR総研によると、学生のナビ離れが起きているとしており、その一方で、ダイレクト・ソーシングと呼ばれる、リファラル・リクルーティング(社員の紹介)やダイレクト・リクルーティング(企業が求職者をスカウトする「逆求人型」)が台頭してきています。

ダイレクト・リクルーティングには専門のサービスもあれば、求人広告の中に企業からのスカウト機能を搭載しているものも。

原因

  • 求人広告(ナビ媒体)の費用対効果の低下
    • 売り手市場のため、広告を出して待っているだけでは採用が難しくなっている
  • 学生世代の価値観の変化
    • 社員の生の声やネットの口コミを重視
    • 金銭的報酬よりも自己肯定感・承認欲求、働きがいや社会貢献、仲間を重視する傾向

戦略

同業他社の採用コスト・手法も参考にはなりますが、もう一点見ていただきたいのが、「いま伸びている業種・企業」です。

伸びている業種、つまり急成長中の企業は、事業の成長に人材確保が追いつくように、多少のコストをかけても絶対に採用しなければなりません。そして、仕事への意欲の高い学生は、完成された大企業よりも中小・ベンチャー企業でのチャレンジを希望するケースもあります。

もし自社が大手企業と競えるような待遇・福利厚生を用意できないのであれば、優秀な学生を採用するために「安定志向」よりも「チャレンジ志向」の学生を狙うという戦略があります。そこで、急成長中の企業の動きが指標となるのです。

例えば、スタートアップベンチャーなどが多く利用する求人広告媒体(例:Wantedly、PassionNaviなど)に掲載すれば、そうした企業に目を向けている学生にアプローチできます。

また、新しい採用手法として注目されるダイレクトリクルーティング(例:OfferBox、irootsなど)、変わり種イベント(例:豪華客船での懇親会、脱出ゲームなど)といった手法もあります。

優秀な学生を採用するには、大手企業や同業他社などの競争相手と「土俵ずらし」をしながらも、欲しい学生が見ていそうな媒体・サービスを通じてPRすると良いでしょう。

<学生>の就職活動に関する市場調査レポートの読み解きかた

次は学生向けに実施された市場動向調査の項目について解説します。データは「就活 調査」「就職活動 動向」「◯◯年卒 就活 調査」などで検索すると出てきます。

就職内定率・内定保有数・内定時期

最近の動向

全体の内定保有率が増え、学生一人当たりの内定保有数も増え、結果として内定辞退率が非常に高くなっています。就職みらい研究所によれば、19卒では学生の7割近くが内定辞退を経験したという調査結果も出ています。

原因

  • 就活時期の早期化(内定出し時期が企業によりバラバラ)
  • 採用売り手市場(「滑り止め」に複数内定を得てから、どこに決めるか選ぶ)
  • 日本の新卒採用は大学を卒業した春の4月1日入社しか原則認められないため 
    •  最も就職に有利なこの1回きりのチャンスは「新卒カード」とも言われ、これを逃すと、中途採用扱いになり、一気に就職が難しくなります(新卒で就職活動をやり直すために大学を留年する「就職浪人」という言葉も)。

学生は、内定を複数保有してでも「滑り止め」を持っていなければならない、というプレッシャーに駆られています。

戦略

  • 内定辞退は必ず発生するものとして、多めに内定を出す。
  • 「第2クール」「第3クール」をあらかじめ準備しておく。
    • 多くの企業が内定出しをする時期に自社でも内定辞退の波がくると想定し、その都度、追加で募集できるように企画。

こうした戦略は、内定辞退が発生して焦って準備するよりも、初めから計画に組み込んでおきましょう。

例えば、5月であればまだ学生がアクティブなのでナビ媒体サイトで説明会の告知をするのか、あるいは最小限の人数だけ選考に呼び込むダイレクトリクルーティング等を利用するのか、もしくは、コストがかかっても人材紹介を依頼するのか、などを決めておき、業者の選定とスケジュール策定まで済ませておくと非常に安心です。

ちなみに、学生が内定辞退をしないようにあの手この手で拘束したりプレッシャーをかける行為は「オワハラ」と呼ばれ炎上のネタになりかねませんので、気をつけましょう。

志望する業種・職種

最近の動向

業種や職種には、学生に人気の高いものとそうでないものがあり、毎年の調査でランキングは多少入れ替わりつつも、大きなところではそんなに変わっていません。

ただ、一方で、人気の高い業種は、不人気の業種としてもランクインすることがよくあります。「強く志望する人もいれば、絶対に行きたくないと思う人もいる」ということです。

なお、株式会社ディスコによれば、2020年卒学生の志望業界で上がった大きなトピックとしては、前年1位だった「銀行」が8位に順位を落としたことです。ニュースにもなったAI導入など業務効率化によって仕事を奪われる危機感から、志望者が減ったと見られています。

戦略

  • 「業界」イメージと自社の実態は違うことを伝える
    • 自社の業種・職種が人気の高いものである場合、なんとなく「人気だから」と応募する学生がどうしても混ざってきます。「あなたが思っているような仕事ではありませんよ」と釘を刺してミスマッチを防ぐことができます。
    • 自社の業種・職種が不人気のものである場合は、「それでも来たいと言ってくれる学生」を狙うほうが、長期的に見て損失の少ない、マッチング度の高い採用に。
  • 不人気のイメージだけが先行しているときには、求人の内容を工夫
    • 例えば長時間労働のイメージを持たれている業種なら、「◯◯業界なのに残業は月たったの5時間!」と目立つようにコピーを謳ったり、「くるみんマーク」や「ワークライフバランス」といった単語で検索に引っかかるようにするなども良いでしょう。
    • ニッチな業種・職種の場合は、業種名・職種名で検索してたどり着いてもらう工夫が必要です。

例えば、そのニッチな業務をもっと広く言い換えると何なのか、「コンサルティング」なのか「営業」なのか、「軽作業」なのか「事務」なのかなど、「この業種・職種で検索する学生は多そうだな」と思われる名称に言い換えて求人を掲載すると良いでしょう(もちろん嘘のない範囲で)。

学生の志望度を下げ応募数を減らすことは、一見リスキーで勇気が要ります。

しかし、内定承諾後や入社後に「なんか思ってたのと違う…」と去って行かれては、会社としても損失です。正直に実態を伝えて、それでも来たいと言ってくれた学生の方が、マッチングする可能性は高く、採用は成功するでしょう。

方法としては、ナビ媒体などの「全国どこでも誰でも」にアプローチする手法よりも、ターゲットに向けて特化した自社採用サイトや、ダイレクトリクルーティングなどがおすすめです。

企業選びで重視すること

戦略

  • 学生が重視するものの中で、自社の特徴を打ち出す

こちらは単純ながら、学生が「ワークライフバランスを重視する」という調査結果が出れば自社の働きやすさとして制度の充実や残業時間の実績をアピールできます。

また、「一緒に働く仲間を重視する」という調査結果が出れば、内定者懇親会などを頻繁に開催する・適性検査の結果などを踏まえて相性の良い者どうしを組み合わせる、などの戦略があります。

ただ、志望業種・職種の項でもお伝えしたように、いくらか嘘をついて実態以上に良く見せて学生を採用しても、ギャップから内定辞退や早期離職が起きてしまい、結果としては損失に繋がります。

あくまでも正直に伝えられる範囲で、学生が重視するところを抑えたアピールをしましょう。また、どんなことを重視する人材に来て欲しいのかを考えて、アピール内容を決めることが重要です。

活用する就活関連サイト

戦略

  • 学生が活用するサイトを使用する。重要なのは登録数よりも「MAU」

多くの学生・企業が使っているサイトには、それなりの理由と実績があります。

「とりあえず無料で試してみてください」といった営業を受けることもあるかと思いますが、安い・無料といった理由だけで利用するのはおすすめできません。

「安物買いの銭失い」という言葉があるように、安いものを買うときには、ある意味、高いもの以上に慎重になる必要があります(安いと言っても人材サービスは数十万円単位のお話ですので、会社の貴重な経費を使うならなおさらです)。

そして、「MAU」(月間アクティブユーザー数、つまり今月何人のユーザーがログインしてアクセスしたか)の考え方をぜひ抑えておきましょう。

WEBサービスは、ユーザー(学生)にログインしてもらわなければ意味がありません。学生登録数がどれだけ多くても、学生が実際にログインしていなければ、そのサイトを使ってアピールしても見てもらえないからです。

「いいね」や「口コミ」もお金で買えるいま、登録ユーザー数も、広告などに投資すれば増やすことができます。しかし、MAU、つまりアクティブ率はお金で買えません。良いサービスをつくり価値を提供しているサイトだけが、ユーザーの意思によるログインを得られるからです。

ナビサイトや、ダイレクトリクルーティング、人材紹介など、どんな新卒採用支援サービスを検討するときでも、この「MAU」や「アクティブ率」、すなわち「本当に学生が見てくれるのか」を意識することが大切です。

市場調査レポートを実際の採用活動に活かしましょう

以上のような市場調査項目に着目して、自社が人材獲得競争に勝つための戦略を立てましょう。

有名なマーケティングのフレームワーク「STP分析」を使って、自社の立ち位置、他社との差別化を考えてみることをお勧めします。

マーケティングの定番「STP分析」

STP分析に関しては書籍やインターネット上でも説明が多くあるため詳細は割愛しますが、新卒採用においてどのように分析すればよいかのヒントを簡単にお伝えします。

Segmentation(市場細分化)

市場(=大学新卒の就活生 約40万人)を、細かく区切って、自社が狙う人材の要件定義に用います。

この場合、漏れやダブりがないよう(MECE)な区切り方にする必要があります。

例えば、

  • 高学歴/体育会/理系

といったセグメンテーションをすると、漏れやダブりが出てしまいます。

  • 旧帝大・早慶/MARCH/その他
  • 体育会部活/体育会サークル/文化系部活/文化系サークル/未所属
  • 大手志向/中小老舗志向/メガベンチャー志向/スタートアップベンチャー志向
  • 出身地や居住地
  • 第一志望業界

などの区切り方であれば、漏れ・ダブりなくセグメンテーションできています。

Targeting(ターゲット設定)

上のセグメンテーションの中で、自社が狙う人材はどの部分かを考えます。

  • 学歴は本当に高ければ高いほど良い(自社で活躍する)のか?
  • 漠然と、どんな理不尽にも耐えそうなイメージで「体育会系」を求めていないか?
  • 自社に必要なのは大手志向か?ベンチャー志向か?
  • 自社の業界を第一志望としていなければならない理由は何か?
  • 自社で定着・活躍している人材の共通項は何か?

など、これまでの採用選考で基準としてきたことも含めて、今一度、本当に必要な切り口でのターゲット像を見直しましょう。

Positioning(ポジショニング設定)

セグメンテーションとターゲティングができたら、そのターゲット学生を採用するために、他社と自社をどのように差別化してアプローチするかを考えます。

例えば、同業種の大手企業といつも応募学生がバッティングして「大手の〇〇社に決まったので辞退します」と人材を奪われてしまうのであれば、その企業との差別化と競争優位性が必要かもしれません。

大手・人気企業では、待遇や福利厚生、安定感、親や友人の認知度など、さまざまな要素で優秀な学生に魅力づけができます。一方、そうした要素で大手に勝てない企業の場合は、別の魅力を打ち出す必要があります。

学生が就職先を決めた理由で上位に上がる要素として、「人(社員)の魅力」「入社後のイメージが持てた」といったものがあります。若手社員と個別面談をさせて社風や仕事内容を知ってもらったり、会社の歴史を紹介して地域の人々からの支持をアピールしたり、自社の良いところを打ち出した採用活動を行いましょう。

以上、STP分析について簡単にご紹介しました。ぜひ一度、本格的に「採用マーケティング」を考えてみることをお勧めします。きっと、本当に必要な人材に的を絞ってアプローチすることで、より良い採用ができることと思います。

市場調査レポートを活用し、他社と差別化して新卒採用を成功させましょう

「戦略」とは、「戦いを略する」つまり戦わずして勝つ方法を見出すことです。

採用戦略には、まずターゲットの明確化が必須です。高学歴など誰もがイメージする「紋切り型の優秀人材」を、他の誰もがとる同じ方法で狙いに行っては、お互い身を削り合いリスクを負う消耗戦になってしまいます。

そうではなく、自社にとって本当に必要な人材の定義と、そうした人材を確実に採用するアプローチ法で、有効な「戦略」を立てましょう。

ときどき、「うちにはそんな優秀な学生でなくても、普通の子で十分だから…」と、ターゲティングに消極的な人事の方もいらっしゃいますが、それは少し危険だと思います。「普通」を目標にした場合、たいてい「普通より下」の結果になるからです。「普通より上」を目指してやっと「普通」に落ち着けるのが、競争社会です。

新卒採用は会社の今後20〜30年の経営を大きく左右する人材の採用ですので、高く目標を持って良い採用を行うのは、人事の最重要とも言える仕事です。

採用が困難になっていく中で、他社との差別化や「土俵ずらし」をして、新卒採用を成功させましょう。

米田 彩香

新卒で入社した前職の老舗中小企業にて人事・採用を5年間担当。紋切り型の就活スタイルに疑問を持ち、OfferBoxの理念に共感したため2019年3月に株式会社i-plug入社、インサイドセールスチームに所属。夢は子供が独立したあとに学生街で食堂を開くこと。