介護時短勤務とは?就業規則の内容やいつまで認めるかなどを解説!

「介護時短勤務はいつまで?」「介護時短勤務の条件は?」「会社の具体的な対応は?」など、従業員から質問を受けてもどう説明すればよいか悩んでいる人事担当者もいるのではないでしょうか?

2025年には3人に1人が65歳以上という高齢化社会への進展に伴い、人口減少による採用難とともに要介護者が増えていくと見込まれており、人手不足感が強まるなか会社は介護離職を未然に防ぐ必要性が高まっています。

ここでは、介護離職防止手段である介護時短勤務について、いつまで認めるべきなのかなどの法律や制度、会社がとるべき対策などを説明します。

なお、本記事中の育児介護休業法は、2017年10月1日改正の法律に基づいて執筆しています。

介護短時間勤務とは

介護時短勤務はどのようなものか、法律上の定めのほか介護時短勤務の具体的な内容などを説明します。

育児介護休業法の定め

介護時短勤務は、介護をする人の仕事と家庭の両立を目的に育児・介護休業法で定められた制度です。

育児と介護は同じ法律で規定されているため、両者は似たような枠組みになっていますが、時短勤務については、介護は育児に比べて多様な制度を想定しています。

具体的には、所定労働時間の短縮等(以下、「介護時短勤務」)の措置として、会社は次のいずれかを設けることとされていますので、時短勤務制度以外の措置を選択することも可能です。(育児・介護休業法 第23条第3項、第24条第2項)

介護時短勤務の対象者

育児介護休業法では、介護時短勤務対象者は、要介護状態の家族を介護する日雇い労働者以外のすべての男女労働者と定めています。

ただし、労使協定がある場合には、勤続1年未満と週の所定労働日数が2日以下の労働者については対象となりません。

介護のための短時間勤務制度等の措置 (法第23条第3項)

介護時短勤務の内容

時短勤務制度は、育児時短勤務の制度もあることから、1日の所定労働時間を6時間とすることが一般的です。

ただし、一律的に1日の所定労働時間を6時間とするということではなく、従業員の家族の協力度合いや要介護レベルなどの状況を考慮し、従業員が介護をしやすいように配慮をすることが望まれます。

時短勤務のパターンは次のとおりです。

介護時短勤務はいつまで

介護時短勤務をいつまで認める必要があるか、法律上の義務や具体的な運用を説明します。

法律上の義務

介護時短勤務の利用期間は、法律上、対象家族1人につき取得した日から連続する3年以上の期間で2回以上と定めています。

「3年以上の期間で2回以上」とは、たとえば下図のように、介護休業や通常勤務などを組み合わせて、連続した介護時短勤務を2回以上取得させることをいいます。

ただし、「労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準ずる制度」については、2回以上利用できることを要しません。(育児介護休業法第23条第3項、施行規則第74条第3項)

育児・介護休業法が再度改正されます!

介護時短勤務の運用

介護時短勤務を運用するにあたり、就業規則に定めることやわかりにくい要介護の判定、介護時短勤務の実際の運用について説明します。

就業規則の定めること

就業規則に定める内容は、「所定労働時間の変更」「賃金や賞与等の取扱い」「労使協定による除外者」です。

所定労働時間の変更

短時間勤務を適用した場合、所定労働時間を6時間とするケースが一般的ですか、始業時間と終業時間に関する定めをする必要があります。

下記例では、始業時間と終業時間の時刻を指定している例となっていますが、従業員の介護事情に柔軟に対応できるように、6時間勤務を前提とした「始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ」ができるようにするような工夫も考えられます。

また、時差出勤やフレックス制度などの短時間勤務以外のパターンを選択した場合の就業規則記載例について、後述の「育児・介護休業等に関する規則の規定例」のリンクに説明されていますので参考にしてください。

賃金や賞与等の取扱い

賃金、退職金又は賞与の算定に当たり、休業等により労務を提供しなかった期間を働かなかったものとして取り扱うことは不利益な取扱いに該当しないため、介護時短勤務によって短縮された期間の賃金を支払う義務はありません。

大半の会社は、賃金や賞与を無給にしているケースが多いですが、就業規則に定める際は、必ず「賃金、賞与、昇給、退職金」等を定め、従業員に周知してください。

労使協定による除外者

介護時短勤務は、「日雇い労働者」は対象となりません。また、「1週間の所定労働日数が2日以下の労働者」「勤続1年未満の労働者」については、労使協定に定めた場合は、対象から除外することができます。

内容を周知する必要があるため、労使協定に定めた適用除外者を就業規則にも記載します。

記載方法は、(厚生労働省「育児・介護休業等に関する規則の規定例」) 引用・参考をご参考ください。

要介護状態の判断について

介護時短勤務の対象者は、前述したとおり要介護状態の家族を介護する日雇い労働者以外のすべての男女労働者となっていますが、「要介護状態」について介護保険の認定を受けている必要があると誤解するケースがあります。

育児介護休業法における「要介護状態」の判断基準を説明しますので、しっかりと理解してください。

育児介護休業法による「要介護状態」とは、負傷、疾病または身体上、もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいいます。

そのため、介護保険上の要介護認定を受けていなくても、要介護者状態になり得えますが、具体的な判断基準は、次のいずれかに該当する場合です。

ただし、企業はなるべく従業員が家庭と仕事の両立できるよう、厳密に要件にはまらないから対象外にするのではなく、柔軟に対応することが求められています。

厚生労働省のよくある質問のリンクも参考にしてください。

(厚生労働省「よくあるお問い合わせ(事業主の方へ)」)

介護時短勤務の運用

実際に従業員から介護時短勤務を請求されたときには、会社が定めた介護時短勤務をどのように付与するか、従業員の介護事情になるべく配慮して運用することが望まれます。

たとえば、時短勤務制度を導入している場合は、介護をどれくらいの頻度で行うのか、毎日なのか、隔日なのかなどを考慮し、所属部門のフォロー体制をふまえて、会社が定めた範囲で短時間勤務制度のパターンを決定する必要があります。

場合によっては、派遣人材等の人員増強やシフトを組むなども考えられますが、自社で適応可能な範囲で配慮するよう心がけてください。

ハラスメントの防止について

介護時短勤務を取得する従業員に対する不満からハラスメントに発展することもあります。ここでは、このようなハラスメント事例や対策について説明します。

介護に関するハラスメント

従業員が介護時短勤務を取得するにあたり、たとえば「もう帰るの?」「周りのの人は迷惑している」「帰れないように仕事を押し付ける」などのようなケアハラといわれるハラスメントです。

ハラスメントと暴力に関する実態調査によると、ケアハラの行為者は上司や先輩が55.1%、同僚が27.3%が上位を占めています。

加えて、ハラスメントの会社対応としては「相談は親身に受け止めてくれたが、具体的な対応は進まなかった」が48.0%、「相談を親身に受け止め、適切に対応してくれた」が36.5%、「相談しても解決しない」が18.2%となっており、ハラスメント防止体制が整っていないことがアンケートにも現れています。

加えて、高齢化が進展していくなか、共働き世帯の増加に伴う介護者の増加により、介護制度の利用に対するケアハラなどが社会問題化しています。

これを受け、介護休業等の利用を理由とするハラスメント行為を防止することを目的に、2017年の育児介護休業法の改正で、ハラスメントの防止体制等の構築義務を定めています。

具体的には「ハラスメントに関する教育」「相談体制の整備」「違反時の罰則化」の構築が必要です。

介護のハラスメント対策

ハラスメントに関する教育をどのように実施するか、ハラスメントの相談体制はどのようにすべきかを次に説明します。

ハラスメントに関する教育

ハラスメント行為は、ハラスメントの言動を発した本人はハラスメントが該当するとは思っていないケースが多くあります。

前記アンケートでは、上司や先輩からのハラスメントが上位を占めていましたが、どのような行為がハラスメントに該当するか、ハラスメントの事例、ハラスメントの定義などを社内研修で教育することが必要です。

とくに、どのような言動がハラスメントに該当するか、例を示すと効果的です。

なお、ケアハラは次の例にあるように、上司が制度利用の請求を1回でも却下するとケアハラに該当しますが、同僚は繰り返しまたは継続的であるように、行為者の違いにより相違があることをしっかりと周知してください。

厚生労働省では、社内研修資料をパワーポイント形式にて公開していますので、ぜひ活用してください。

職場におけるハラスメント対策マニュアル及び社内研修資料(厚生労働省)

相談体制の整備

自社でハラスメント事案が発生した場合には、「相談対応」「事実関係の確認」「とるべき措置の検討・実施」「行為者・相談者へのフォロー」「再発防止策の実施」の流れにそって対応していく必要があります。

そのためには相談窓口が必要となりますが、コンプライアンス相談窓口を設置している会社は新たに窓口を設置する必要はありません。

もし、コンプライアンス相談窓口がない場合は、人事部門や法務部門、外部窓口の設置が可能であれば、顧問弁護士などが考えられます。

従業員が安心して介護に取り組める体制を整えましょう

介護時短勤務の法律上の定めやいつまで取得できるかなどの制度説明とともに、介護離職の防止のために従業員の介護ニーズにあわせて介護時短勤務を柔軟に対応していく必要性をお伝えしました。

今後の高齢化の進展により介護世代が増えていくなか、いかに介護離職を防ぐかが人事にとって重要な課題になります。

ぜひ、従業員が安心して介護に取り組めるよう、利用しやすい介護時短勤務の制度やハラスメントの防止などの体制を整えましょう!

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部