女性活躍推進法とは?法改正内容や行動計画表について解説!

「女性活躍推進法って?」「何をしなければならないの?」「法改正の内容は?」など悩んでいる人事担当者もいるのではないでしょうか?

少子高齢化により労働力人口が減少していくなか、国内の労働人口は女性と高齢者の割合が5割を超えているように、女性活躍推進法改正の下、女性活躍のさらなる加速化が重要課題となっています。

ここでは、女性活躍推進法をわかりやすく説明するとともに、法改正の内容や自社が対応していくべき事項について解説します。

女性活躍推進法とは

女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)は、2015年9月に10年間の時限立法として制定されました。その後、対象範囲の拡大等を目的として2019年5月に改正法が成立し、2020年4月より順次施行しています。

ここでは、法律の概要や法律の目的を解説します。

法律の概要

常時雇用する労働者の数が301人以上の企業に、次の対応が義務付けられていましたが、法改正により、101人以上の企業に義務化の対象が拡大されています。なお、100人以下の企業は努力義務です。

【企業の対応義務】

  1. 自社の女性の活躍に関する状況把握、課題分析
  2. 状況把握、課題分析を踏まえた行動計画の策定、社内周知、公表
  3. 行動計画を策定した旨の都道府県労働局への提出
  4. 女性の活躍に関する状況の情報の公表

企業による女性活躍を促進させるため、自社の課題分析のうえ、行動計画の策定、周知、公表を企業に義務付けすることで、女性活躍推進の環境整備を行っているのです。

法律の目的

女性活躍推進法の目的は、男女の人権が尊重され、かつ、急速な少子高齢化の進展、国民の需要の多様化、その他の社会情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することです。

この実現に向けて、女性が仕事をするうえで、十分に能力を発揮し活躍できる環境を整備するため、法整備を行っているのです。

法律制定の背景

女性の活躍が求められる日本社会の背景等として、次のようなことがあげられています。

  1. 日本の生産年齢人口の減少
  2. 生産性向上の要請と少子化への歯止め
  3. 女性の活躍の効果
  4. 諸外国の実情から得られる示唆等

日本の働く女性の現状は、雇用者の43.3%が女性でその半数が非正規雇用であり、加えて、出産・育児期(30代)に就業率が低下する、いわゆる「M字カーブ」がいまだに顕著となっています。

また、管理職層以上に占める女性の割合は、7.5%と国際的にみても特に低い水準です。建議概要(労働政策審議会建議(女性の活躍推進に向けた新たな法的枠組みについて))

この背景から、女性活躍推進法が成立されたのです。

法改正のポイント

女性活躍推進の加速化に向けて2019年5月に改正法が成立し、行動計画の策定義務対象の拡大、女性活躍に関する情報公開の強化、特定認定制度の創設がされています。

それぞれの改正概要を解説しますが、具体的な内容は後述する「企業の対応」にて説明します。女性活躍推進法 改正(厚生労働省)より引用・参考

行動計画の策定義務の対象拡大

行動計画の策定・届出義務及び自社の女性活躍に関する情報公表の義務の対象が、常時雇用者301人以上から101人以上の企業に拡大されます(2022年4月1日より施行)。

これにより、従来、努力義務とされていた常時雇用者101~300名の企業は、2022年4月1日より義務化の対象となります。

女性活躍に関する情報公表の強化

常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、情報公表項目について、次の各区分から1項目以上公表する必要があります(2020年6月1日施行)。

  1. 職業生活に関する機会の提供に関する実績
  2. 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績

従来は、1と2のすべての項目から1つを公表項目として選定すれば足りましたが、改正によって、各々から1項目以上公表しなければならないように、情報公表の開示事項が拡大されています。

特例認定制度(プラチナえるぼし)の創設

「プラチナえるぼし認定」とは、女性活躍推進の実施状況が優良な企業を対象に認定される「えるぼし認定」のち、特に優良な企業を対象に認定されるものです。

ここでは、「えるぼし認定」と法改正によって追加された「プラチナえるぼし認定」について説明します。なお、それぞれの認定基準の詳細については、女性活躍推進法に基づく えるぼし認定 プラチナえるぼし認定の ご案内をご確認ください。

えるぼし認定について

えるぼし認定マーク(3段階)

えるぼし認定とは、行動計画を策定のうえで届出を行った企業のうち、女性活躍の取り組みの実施状況等が優良な企業は、申し出のうえ、一定の基準を満たしていれば認定を受けることが可能な制度です。

認定企業は、認定マークを商品や広告、求人票などに使用するなど、女性活躍推進企業であることをアピールすることができます。取り組み度合いによって3段階評価がなされ、認定マークもその評価に応じた認定マークを使用することができます。

プラチナえるぼし認定について

プラチナえるぼし認定マーク

プラチナえるぼし認定とは、えるぼし認定を受けた企業のうち、取り組み状況が特に優良な企業は、申し出のうえ、えるぼし認定よりさらに上回る一定基準を満たした企業が認定を受けることが可能な制度です。

認定企業は、プラチナえるぼしの認定マークを商品や広告、求人票などに使用することができるほか、行動計画の策定・届出免除のメリットがあります。

企業の対応

女性活躍推進法における企業の対応としては、法改正によって新たに対応が要される企業や、開示項目の強化等によって対応を要される企業がありますが、ここでは、新たに対応をする場合について、一通り説明します。

対象事業者の責務

一般事業主行動計画の策定や情報公表の取組みが必要となっており、具体的には次の対応を行う必要があります。

  1. 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析
  2. 一般事業主行動計画の策定・社内周知・公表
  3. 一般事業主行動計画を策定した旨の届出
  4. 取組の実施・効果の測定

次に、具体的な進め方を厚生労働省資料「女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!」に沿って説明しますので、参考にしてください。

具体的な進め方

具体的な進め方をステップに分けて解説します。

【STEP1】自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析

行動計画策定の前段階として、女性活躍に関する次の「基礎項目」について状況把握、課題分析を行います。

なお、基礎項目に加えて、自社の実情に応じて分析することが望ましい「選択項目」については、厚生労働省資料「女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!」を参照してください。

【基礎項目】

  1. 採用した労働者に占める女性労働者の割合(女性の割合がどの程度か)
  2. 男女の平均継続勤務年数の差異(女性の勤続年数がどの程度か)
  3. 平均残業時間数等の労働時間の状況(労働時間が長くなっていないか)
  4. 管理職に占める女性労働者の割合(女性管理職の割合はどの程度か)

課題分析の結果、企業にとって課題であると判断された事項については、選択項目を活用し、自社の現状や課題を把握したうえで、分析を深める必要があります。

参考までに、考えられる分析内容と課題・取組例を例示します。

【STEP2】一般事業主行動計画の策定・社内周知・公表

STEP1の状況把握、課題分析の結果を勘案し、⾏動計画を策定します。⾏動計画には、計画期間、数値目標、取組内容、取組の実施時期を盛り込むことが求められています。

常時雇用人数が301名以上の場合は、次の数値目標に関する項目のうち、①と②のそれぞれの区分から1つ以上選択し、数値目標を定めます。なお、常時雇用人数が300名以下の場合は、次の数値目標に関する項目のうち、①か②のいずれかから1つ以上数値目標を定めれば足ります。

【数値目標に関する項目】

①職業生活に関する機会の提供に関する実績
(採用、配置転換・育成・訓練、評価・登用、職場風⼟・性別役割分担意識、再チャレンジ、取組の結果を図るための指標)

②職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績
(継続就業・働き⽅改革)

目標設定にあたっては、分析した課題に優先順位をつけ、計画期間を決めます。その上で、分析した内容から目標設定をしますが、目標は可能な限り定量的な数値目標としてください。(例:女性管理職比率を〇年までに〇%にする)

目標策定例は、厚生労働省資料「女性活躍推進法に基づく 一般事業主行動計画を 策定しましょう!」を参考にしてください。

策定・変更した⾏動計画は、非正社員を含めるよう社員区分問わず、全ての労働者に周知が必要です。「事業所の掲示板など見やすい場所に掲示する」「書面を配布する」「電子メールや社内イントラネットで周知する」などの方法によって、効果的に広く周知してください。

「えるぼし」または「プラチナえるぼし」の認定を予定している場合は、従業員に周知した日付がわかる書類が必要になっていますので、メール発信やイントラネット掲載の日付がわかるものを保存しておいてください。

【STEP3】一般事業主行動計画を策定した旨の届出

⾏動計画を策定・変更したら、行動計画を策定した日から概ね3カ月以内に、電子申請、郵送又は持参により管轄の都道府県労働局 雇用環境均等部(室)に届け出をします。

 「一般事業主⾏動計画策定・変更届」「一般事業主⾏動計画策定・変更届 次世代法・⼥性活躍推進法一体型」は電子申請システム(e-Govポータル)による届出も可能です。

【STEP4】取組の実施・効果の測定

定期的に、数値目標の達成状況や、⾏動計画に基づく取組の実施状況を点検・評価します。

その結果をその後の取組や計画に反映させ、計画(Plan)、実⾏(Do)、評価(Check)、改善(Action)のPDCAサイクルを確⽴させることが重要です。

効果的に推進するためには

効果的に進めるには、推進体制を構築し、会社全体で取り組んでいくことが肝要です。ここでは、本質的に対応していくためのポイントや好事例の紹介をします。

効果的に対応していくためのポイント

女性活躍推進を進めていくには、法律をクリアするだけの行動計画策定に終わらせず、経営トップの方針の下、全社的な推進体制で取り組むことがポイントです。

例えば、「ワークバランス推進委員会」のような明確な推進体制をとり、分析段階から策定、評価の一連を実施することで、PDCAサイクルを回していくことが可能です。

分析した課題に対する取組を検討する際には、トップダウンではなくボトムアップで取組案を吸い上げることによって、各職場は、やらされ感なく取り組むことができます。そのため、各職場での課題や取組案をアンケート調査することも効果的です。

また、この推進体制においては、行動計画の承認のほか、行動計画策定後の実施・評価段階でも、定期的に各職場から進捗状況を報告させる、進捗が進まない職場に対するリマインドなどを組織的に行うことで、実効性を持たせて女性活躍を推進させることが可能ですので、ぜひ、推進体制を構築して取り組んでください。

好事例の紹介

ここでは、女性活躍推進の好事例を紹介しますが、この好事例ように解決していくには、会社全体の意識改革が必要ですので、推進体制を整えるとともに事例を参考に取り組んでください。

(1)人手不足の中、「女性が一生涯働ける職場」を目指す

朝倉染布株式会社
同社は、明治25年創業以来、一貫して染色整理加工業を祖業として営んでいる繊維製造業で、女性が一生涯働ける職場を目指すために取り組んだ事例です。

【課題】

  • 女性の職域が検査部門などに多く職域に隔たりがあり、生産現場(二交替)に配属される女性が少ない。
  • 女性が課長以上の管理職に躊躇することが多い。

【取り組み】
「多能工化を図り、キャリアアップにつなげる」こととし、次の取り組みを実施した。

  • 担当部門以外を手伝うことによる多能工化による職域拡大。
  • 女性の体力格差を補う補助具の導入。
  • 女性リーダーのためのキャリアアップ研修の実施。

【取り組みの効果】

  • 男性主体の職場に女性を登用したことによる意識改革を図ることができた。
  • 職域拡大によって、女性初の営業職が活躍している。

製造業では、この事例企業のように男女の体力格差から女性の職域が限定され、女性のキャリアアップを図ることが難しいケースが多々あります。

製造業の企業にとって大いに参考になる事例ですので、参考にしてください。

(2)女性社員が様々なライフイベントを迎えても仕事を続けられる職場に!

シオノギテクノアドバンスリサーチ株式会社

同社は、医薬品等の研究支援業務を営んでいる実験系研究企業で、女性が様々なライブイベントを迎えても、仕事を続けられる職場を目指すために取り組んだ事例です。

【課題】

  • 課長級の少人数の部下を持つ女性管理職は比較的高いが、女性の部長などの上位管理職の割合が低い。

【取り組み】

  • 管理職の長期的な育成方針を定め、ロールモデルを作るべく女性課長職のなかから上位管理職を積極的に登用を始めた。
  • 女性にとって、上位管理職への障壁となり得るライフイベントの不安を解消するため、福利厚生の充実を図るほか、ライフイベントによる休暇や休業を認めることで助け合う風土の醸成を目指した。

【取り組みの効果】

  • 女性活躍の取り組み推進により、ライフイベントに対する不安が解消された。
  • 互いに助け合う風土が醸成され、制度が活かされるようになった。

女性を上位管理職として育成していなかったとを重要課題とし、ライフイベントに対する不安解消のための環境整備を行った事例ですが、同社が目指した「助け合う風土」が醸成されないとマタハラなどの問題が生じ、育児を行う女性の活躍は困難になります。

ぜひ、女性活躍の環境整備に向けて事例を参考にしてください。

「女性活躍推進の取り組み好事例集」参考

女性活躍推進法の制度を理解し、自社の課題解決に向かって、女性活躍推進を加速化させましょう!

女性活躍推進法の概要や目的、法改正のポイント、行動計画の策定方法など具体的な対応を解説しました。

労働人口の減少により、人材確保が困難になっているなか、女性活躍の推進は、各企業にとって重要な経営課題となっています。

そのためには、推進体制を整えることがポイントであることを伝えましたが、行動計画策定にあたっては、各労働局の雇用環境均等部(室)に個別に相談することも可能です。

本記事を参考に、自社の解決すべき課題に向かって、女性活躍推進を加速化させましよう!

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部