ミレニアルの次、“Z世代”な新入社員の転職理由と人事にできる予防策

「新入社員が辞めてしまったが原因がわからない」「上層部からは『対策しろ』と言われるが何をすればいいかわからない」というお悩みを持つ人事の方のために、その原因と対策のヒントをお伝えします。

イマドキの若者は根性がない、と切り捨てるのは簡単ですが、「最近の若いやつは…」という言葉は、古代エジプトの壁画や平安時代の文書からも見つかったと言われています。

会社の10年後20年後を担っていくのは他でもない、その若い世代です。若い世代の価値観は、ある意味「時代の最先端」と言えますし、会社にとって今後の「お客様」でもあります。なぜ、イマドキの新入社員はその行動をとるのか、どんな理由がその価値観を育てたのかを知ることは、ビジネスにおいても非常に重要です。

新入社員の転職や退職を防ぐだけでなく、幅広くお役立ていただける情報になればと思います。

調査から見た「新入社員が転職する理由」とは

株式会社マイナビによる「2019年新入社員1か月後の意識調査」では、以下ようなの結果が出ています。

・今の会社でずっと働きたくないと思わない理由

  1位:ライフステージに合わせて働き方を変えたいから(44.4%)
  2位:転職でキャリアアップしていきたいから(29.7%)
  3位:色々な会社で経験を積んでいきたいから(28.9%)

・もしも、もう一度就活時代に戻れるならば「就活をやりなおしたい」が過半数

・今の会社で「対人関係に悩みがある」が全体の31.9%

理由:
苦手な人がいる(40%)、同年代が少ない(22.7%)、会話・話が難しい(22.7%)、仲がいい同僚がいない(21.2%)など

また、株式会社i-plugの調査でも、「将来的に転職もありだと思いますか?」という質問に71.8%が「あり」と回答(※19年卒より10ポイント増加)。就活生の7割は、転職の可能性も視野に入れて就職先を選択しているのです。
(「【2020年卒版】就活生の『働き方』に関する意識調査アンケート」より)

以上の調査から、働き方(ワークライフバランス)やキャリアを自分自身で選択したいと考える学生が多いことがわかります。

今は労働力人口の減少などもあり人手不足が続いているため、「転職しようと思えばすぐに転職できる」といった感覚も持たれているのかもしれません。

新入社員が転職を考える理由トップ5

株式会社アデコの調査では、新卒者が初めての勤務先を3年以内に離職した理由として次のものが挙がっています。

1位:自身の希望と業務内容のミスマッチ(37.9%)
2位:待遇や福利厚生に対する不満(33.0%) 
3位:キャリア形成が望めないため(31.5%)
4位:長時間労働のため(31.2%)
5位:上司や同僚との人間関係によるストレス(25.8%)

1位・3位の理由からも、今の若い世代は、ただ会社から与えられた仕事をこなすのではなく、自身が描くキャリアの実現を重視して働いていることが分かります。

また、2位「待遇や福利厚生」・4位「長時間労働」・5位「人間関係によるストレス」などが挙がっているところにも、仕事はあくまでも生きるための「手段」であり「目的」ではない、心身を犠牲にしてまでお金を稼ぐ必要はない、という価値観が見られます。

新入社員の離職率は20年間「3割」で横ばい…。ゼロにできる?

実は、「最近の新入社員はすぐ辞める」のかというと、そうは言えません。厚生労働省の調査では、大卒新卒者が3年以内に離職する割合は3割という「3年3割」の状況は、ここ20年、ほとんど変わっていないのです。

また、一度採用した社員はよほどの理由がなければ解雇しづらいのが、日本の法律です。新入社員が「こんな会社だと思わなかった!」とミスマッチに気づくように、企業も「こんな人だとは思わなかった」というミスマッチはありますよね。

万が一、ミスマッチがあった場合には自然に“退出”していってくれるのも決して悪いことではないと思います。新入社員の3割くらいが3年で辞めていくのは、もう数十年続く“自然なこと”だと割り切っても良いかもしれません。

入社してからでは遅い!内定“前”からの《相互理解》がカギです。

3年以内など早期に新入社員が転職してしまう理由は、先ほどもご紹介しました。トップ5は以下の通りです。

1位:自身の希望と業務内容のミスマッチ(37.9%)
2位:待遇や福利厚生に対する不満(33.0%)
3位:キャリア形成が望めないため(31.5%)
4位:長時間労働のため(31.2%)
5位:上司や同僚との人間関係によるストレス(25.8%)

中でも1位〜4位は、労働条件として会社が内定時にしっかりと伝えているはずの内容です。それなのになぜミスマッチが起きてしまうのかというと、「伝えたつもり」「知ったつもり」になり、お互いが正しく深い理解をできていないからに他なりません。

例えば、長時間労働と知られている業界や職種を、自ら希望する学生もいます。長時間労働にやりがいを感じられる人材もいれば、できれば残業せずに自己研鑽の時間を持ちたいと考える人材もいます。

トップの「自身の希望と業務内容のミスマッチ」を見ても、選考中は「本人の希望と適性を見て配属します」と言われて希望を伝えていたにも関わらず、全く違う部門に配属された、といった経緯から、入社後すぐにモチベーションを落としてしまったり、将来のキャリアビジョンを持てなくなるケースが多くあります。

このミスマッチ=「思っていたのと違う!」を減らせば、入社後の転職(離職)も減らすことができます。

イマドキ新入社員=「Z世代」の特徴を知りましょう

2019年卒以降の就活生は、ちょうど1996年以降生まれの「Z世代※」と呼ばれる世代で、“ゆとり世代”や“さとり世代”を含む「ミレニアル世代」よりも後の世代です。

世代分類がここで分かれているということは、単に生まれた年が違うだけでなく、「価値観」や「消費行動」において明らかな違いが見られるということです。

そんな「Z世代」の特徴を理解することが、これからの新入社員の転職・離職を防ぐことに繋がるでしょう。

(※アメリカではミレニアル世代のことを「ジェネレーションY(Y世代)」と呼ぶため、その次の世代は「ジェネレーションZ(Z世代)」と呼ばれます)

Z世代(1996-)の特徴 〜ミレニアル世代(1981-1995前後)との違い〜


「Z世代会議「若年層の価値観・ライフスタイルに関する調査「Z世代レポート 2018」調査結果ダイジェスト」」より

Z世代が「仕事」に求めることとは

20年卒学生を対象に実施した調査において、「どのような企業に魅力を感じるか」という設問には、「社内の雰囲気が良い」がトップに。また、3位「成長できる環境がある」・4位「やりがいがある」といった「働きがい」につながる項目もランクインしています。

会社への帰属意識は薄まり、将来的に転職も「あり」とする学生の増加に加えて、仕事に求めるものには「貢献できること」や「自身の成長」が挙げられています。これらも、「将来」と「社会貢献」を重視して「現実的に」考える、「Z世代」の傾向の表れと言えます。(「【2020年卒版】就活生の『働き方』に関する意識調査アンケート」)

「失われた20年」に育ち、大量生産・大量消費、ブラック企業、終わらない不景気を見てきた結果、働くこと・稼ぐことに希望を持てなかったのが「ゆとり世代」や「Z世代」です。

また一方では、クラウドファンディングやエシカル消費など、価値を感じるものにお金を「払う」豊かさがトレンドにもなっています。

「Z世代」にとって仕事とは、上記のような価値観を実現するための手段であり、心身を犠牲にしてまで働く仕事には就きたがらない傾向にあると考えられます。

Z世代の求める「理想」と「現実」のギャップが早期離職を生む

こうした「Z世代」に対し、少し前の「ミレニアル世代」と同じ方法で、ましてやミドル層の若い頃と同じ感覚でマネジメントしようとすると、そこにギャップが生まれるのは当然です。

先ほどの転職理由トップ5について、理想と現実の例を表にまとめました。

つまり、新入社員の早期離職は「入社前に聞いていた情報」と「入社後に知った情報」にミスマッチがあった場合に起こると言えます。

新入社員の転職(離職)を防ぐために人事にできること

採用のミスマッチが起こらないためには、認識の「ギャップ」をなくすことが重要です。

そのためには、入社よりも内定承諾よりも前、内定を出す前の時点での「相互理解」がカギになります。内定承諾後は、よほどの理由がない限り企業側からの内定取り消しは難しいからです(最近ではSNSの炎上案件にもなりかねません)。

また、「自社にマッチするかどうか入社してみないとわからない人材」のまま、個別対応をしたり懇親会に呼んだりと口説き続けるのは、非効率かつリスキーです。

ここからは、より具体的な対策方法をご紹介します。

学生に「甘い言葉」を伝えてしまっていませんか?

新卒採用において、学生に少しでも自社を良く見せようとしていませんか。実態と違う、きれいに飾った情報を伝えてしまっていませんか。

例えば「残業はどれくらいありますか?」と聞かれ、「そんなに多くないですよ〜」などと曖昧に答えていないでしょうか。「普段は月10時間程度ですが、繁忙気の4月は30時間くらいになります」と正確に伝えるほうが、入社後のギャップが少なくなります。さらに言えば、学生は社会人の常識や“相場感”を知りません。残業や給与、休日数なども、多い・少ないと曖昧な基準で伝えず、「この業界の平均はこれくらいで、うちはこれくらい」といった比較や、「年間休日125日=土日・祝日は全て休み」など、具体的にイメージできるように伝えてあげましょう。

一つ冷静になっていただきたいのは、例えば「残業が少なければ少ないほど良い学生を採用できるとは限らない」ということ。「残業はそれなりに多い」と伝えても、入社したい学生は一定数います。重要なのは、お互いの認識に「ギャップ」を作らないことです。また、残業が多いことを理由に「欲しい人材」から辞退されてしまうのなら、「残業は今は多いが、今後こういう働き方改革を進めていく」といった改善策を伝え、その努力をしていく必要もあるでしょう。

このように、まずは「情報を正しく伝える」ことが基本です。そして、「欲しい人材が来てくれる会社になる(変わる)」ことも大切です。その場しのぎで情報を偽ると、結局は早期離職や、逆に優秀でない社員の居座りなど、コストばかりがかかってしまいます。

<採用選考中>にすべき Z世代とのミスマッチ対策〜入社してからでは遅い!選考中からミスマッチをなくしましょう〜

上の表で挙げたような一つ一つの施策に加え、例えばリファラル・リクルーティングやダイレクト・リクルーティングといった採用手法も、マッチングの高さを目的とした手法と言えるでしょう。

ただ応募を待つのではなく、「自社にマッチしそうな人材を定義し、ピンポイントで採りに行く」ほうが、「(求人広告などで)大勢の応募を集めて結局ほとんどは落とすやり方」より効率が良く、実際に入社後の定着にも寄与することから、急激に市場を伸ばし普及している採用手法です。

<入社後>にすべき Z世代とのミスマッチ対策〜早期離職防止には必須!採用担当の新入社員フォロー〜

キーワードは「1to1コミュニケーション」

「相互理解の手段」は、基本的に「1to1コミュニケーション」、つまり大勢:大勢ではなく、一人:一人によるコミュニケーションです(懇親会など一部例外もありますが)。

会話は、3人いれば、「1人:1人」と「1人」になる時間が必ず生まれます。2人しかいなければ、ずっと「1人:1人」です。お互いが相手とだけ向き合う時間を100%担保できるのが、「1to1コミュニケーション」なのです。お互いを深く知る近道は、きちんと時間をかけ、1to1で丁寧にコミュニケーションを取ることです。

就活生・新入社員が「Z世代」という全く新しい価値観をもつ世代であることを念頭におきつつ、また大前提として誰しもが一人一人異なる考えをもっていること、「自分の常識が他人の常識ではない可能性」を踏まえた上で、相互理解を図りましょう。

新入社員にも会社にも不幸な「早期の転職(離職)」を防ぐのは、 内定“前”からの《相互理解》、キーワードは「1to1コミュニケーション」

新入社員が転職してしまうのを防ぐには、その主な原因である「採用のミスマッチ」「入社前後の情報のギャップ」を解消することです。そのためには、入社後ではなく内定“前”、つまりエントリー〜選考中からの《相互理解》が重要になります。

入社後に「こんなのは思っていたのと違う!」と早期離職されてしまわないように、丁寧なコミュニケーションを取っていただきたいと思います。

〜おわりに〜

新入社員の転職理由1位「自身の希望と業務内容のミスマッチ」に関しては、少し前までの世代にとっては「希望通りの部署に行きたいなんてわがままは言えない。働けるだけありがたい」「仕事は会社から与えられ、それを一生懸命こなすもの」という感覚が強いと思います。

しかし最近の研究では、もはや若い世代だけでなく全ての人々にとって、「自己決定権を持てること(選択できること)」が仕事の生産性に大きく影響すると知られています。

長時間労働に関しても同様で、最近では「1日の労働時間を適正に抑えきちんと休むことで、ストレスが減り健康になり、インプットの時間も増え、結果として生産性が高まる」というのは先進国の常識です。

残業している時間は、酒に酔った状態にも匹敵する生産性の低さと言われ、そんな残業に対して1.25倍〜1.5倍の給与を払うというのは、企業経営としても非効率です。

このように、若い世代の価値観は「時代の最先端」が表れたものなのです。

つまり、「Z世代」が仕事に求めることは、そのまま「今の顧客」が商品やサービスに求めることでもあるのです。

「イマドキの新入社員は劣っていて、こちらが合わせてやらないといけない」という感覚ではなく、「これからの時代の価値観はこんな風に変化しているのか」と学ぶ気持ちで接すると、新入社員からも尊敬される良い年長者となれるかもしれません。

米田 彩香

新卒で入社した前職の老舗中小企業にて人事・採用を5年間担当。紋切り型の就活スタイルに疑問を持ち、OfferBoxの理念に共感したため2019年3月に株式会社i-plug入社、インサイドセールスチームに所属。夢は子供が独立したあとに学生街で食堂を開くこと。