新卒採用の面接で学生に聞くべき、”究極”の5つの質問

新卒採用をしている企業では、ほとんどが面接選考を実施していると思います。しかし、テンプレートのような一般的な質問には学生もテンプレートのような答えを返し、かといって行き当たりばったりで思いつきの質問をすると肝心な部分を聞きそびれてしまう…。そんなジレンマを感じている採用担当や面接官の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

では、どういう質問をして、その回答から何を評価すれば良いのか?面接には必須の「深掘り質問」も添えて、解説していきます。

目次

これを聞けば面接の質が上がる、5つの質問をご紹介!

それではいよいよ、新卒採用面接で聞くべき質問《5問》をご紹介します。

それぞれに対する回答の評価ポイントと、深掘り質問なども合わせてご紹介しますので、ぜひ一度質問してみてください。

分類質問評価のポイント
自己PR編自己PRにあった◯◯で、苦労した点や、失敗した経験はありますか?自分なりに工夫する人材・成功しても失敗しても成長できる人材か
志望動機編当社で働くことが、あなたの人生をどんなものにすると思いますか?企業理念への共感、事業理解の深さ、長期的に働くイメージがある人材か
短所編短所と、それをカバーするための心がけを教えてください短所を認められる謙虚さを持っている人材か
キャラクター編あなたは、親しい人からどんな人だと言われますか?組織内での立ち位置や得意な役割、自社に必要なポジションかどうか
逆境力編自分の希望や意見が通らなかった経験を教えてください。そのとき、どう行動しましたか?逆境においても工夫や切り替えによって精神の安定を保つことができるか

1.自己PR編「自己PRにあった◯◯で、苦労した点や、失敗した経験はありますか?」

一般的に自己PRは、書類選考の中でも書かれていたり、面接の最初に自己紹介として軽く話してもらうことがあるかと思います。そのあとで、自己PRについてより深く聞くために、この質問をします。

自分なりに工夫する人材・成功しても失敗しても成長できる人材を評価する

学生の多くが話す自己PRの流れは、

  1. 私は◯◯という強みをもっています(長所を一言で)
  2. 学生時代、〜〜の活動においてそれを発揮しました。このような経緯で、最終的にこういう結果を出しました(長所を実証するエピソード)
  3. 御社においてもこれを活かして貢献できます(企業での有用性アピール)

というふうになっています。

この流れの中では「あれができる」「これができた」の話のみに終始することも多くなってしまいます。そこで上記の質問「自己PRにあった◯◯で、苦労した点や、失敗した経験はありますか?」を聞くことで、達成のためにどのくらい努力をしたか、うまくいかなかったときにどう乗り越えたか、を知ることができます。

自己PRの裏付けエピソードは、学生が一番自信を持って出せる「良い結果が伴った成功体験」であることが多いのですが、その成功が偶然や他者のみの力によるものでないか、見極める必要もあります。

「居酒屋のアルバイトで、笑顔でお客様のニーズを掴んだ接客をしました。結果、売り上げが前月比の300%になりました!」と、このエピソードが事実だったとしても、その「前月」が11月という居酒屋における閑散期で、翌月の12月は忘年会シーズンの最繁忙期となれば、売り上げは何もしなくてもアップして当然と考えられるでしょう。

こうした場合にこの質問をすることで、例えば「居酒屋のドリンクの作り方が非効率的だったため、お客様とコミュニケーションを取る時間がないと気づき、効率化の仕組みを作りました」など、結果に至るプロセスでの工夫や、バイタリティを知ることができるかもしれません。

深掘り質問:「そのできごとで自分がどう変わったと思いますか?」

学生の価値基準や志向などは、学生時代の経験からある程度形作られています。「大人になったら人はそう簡単に変われない」と言われるように、そこから大きく変わることはあまりないと考えられます。

自己PRになっているエピソードが学生にとって本当に重要な、自分自身の強みを象徴するようなエピソードであれば、そのエピソードの前と後で、何か「気づき」や「反省」があって、考え方が変わっている可能性が高いと言えます。

この深掘り質問をすることで、そうした自己PR内容の人生における重要度が分かると同時に、柔軟に学び続けて変化できる人物かどうかも見ることができます。

2.志望動機編「当社で働くことが、あなたの人生をどんなものにすると思いますか?」

企業理解の深さ(事業内容や長期計画、企業理念などを理解し共感しているか)を知ることができる質問です。

企業理念への共感、事業理解の深さ、長期的に働くイメージがある人材を評価する

採用売り手市場であり、かつ終身雇用はもう存在しないだろうと考えている今の就活生世代にとって、就職は「通過点」です。入社した後も、どのようにキャリアを選択していくか考えて行動を選択していかないと、AIに奪われる仕事や消えてしまう産業があることをよく知っているからです。

そんな世代の自社への志望動機がどの程度強いか、本当に自社に入社してコミットしてくれるかどうかを確認するには、「この会社で働くこと」が「人生において実現したいこと」と密接に関係しているか、を聞くのが良いと思います。

これまでの志望動機の聞き方は「なぜ当社に入社したいのですか?」「入社して何がしたいですか?」といったものでした。しかし、産業や仕事内容も年々変化が早くなっている現代には、

  • 企業理念に共感し、そこに示される社会を作りたい
  • 特定のスキルや経験を身につけてキャリアアップしたい

など、長期的な人生の目標(生きがい)に繋がる志望動機を持っている人材を見極めたほうが、入社の確率だけでなく入社後のモチベーションという面でも、良い採用になると思います。

来たがっている人材かどうかより、来てほしい人材かどうかが大切

「会社に骨を埋める」という言葉のように、上の世代の方ほど「会社のために尽くすべき」という考え方が強いかもしれません。しかし一方で「自分たちの時代は志望動機なんてないまま入社先を決めた」という就職活動方法の違いもあり、学生の志望動機をどう評価したら良いか分からない部分もあるのではないでしょうか。

このように志望動機の評価軸がわからないと、「志望度が強ければ強い人材ほど活躍するはずだ」と誤解してしまう可能性があります。一方で学生は、内定を獲得しないと安心できない状況に置かれ、複数の会社に「第一志望です」と言うこともあり、そもそも志望度が強いかどうかも正確には把握しづらいものです。

志望度やエンゲージメントは、後からでも高めることができます。しかし価値観を変えたり、持っていない資質やスキルを研修などによって習得させることは、容易ではありません。重要なのはその人材が「来たがっているかどうか」よりも、その人材に「来てほしいかどうか」です。

3.短所編「短所と、それをカバーするための心がけを教えてください」

「短所」に関する質問は面接マニュアルにもあり、学生が回答を用意していることも多いです。しかし、「短所は◯◯です。しかしこれは裏返せば〜〜という長所にもなり…」と長所にこじつけて話すケースも少なくありません。短所をさらけ出してマイナス評価になることを恐れるあまり、学生も守りに入るのです。

短所を認められる謙虚さを持っている人材を評価する

学生は短所を率直に伝えることをとても恐れています。しかし、短所は誰にでもあるものですよね。

厄介なのは、「短所を認識していないこと」、「認識しているのに対策をとらないこと」です。

この質問からは、本人が短所を短所として認めているかどうか、そして具体的な対策をとっているかどうかを聞くことができます。仕事をする上で重大なミスなどに繋がらないよう、日常的に意識をしている人材を評価しましょう。

例えば、

・短所:忘れっぽい

 → 対策:カレンダーで予定とTODOを一限管理し、1日の最初と最後に見直す習慣にしている

・短所:人を褒めるのが苦手

 → 対策:面と向かっては言えないが、手紙やメールで節目節目に伝えるようにしている

など、より具体的かつ習慣化された対策を取れていると良いでしょう。

4.キャラクター編「あなたは、親しい人からどんな人(キャラ)だと言われますか?」

「キャラ」という言葉は、学生の素顔にぐっと近づきやすい言葉でもあります。

「『みんなのお母さん』ってよく言われます」「『意外といいやつ』って言われます」などと聞くと、その一言で普段の生活や友人間での様子がイメージできるのではないでしょうか。また、それまで面接で見せてきたのとは違った一面が覗けることもあります。

組織内での立ち位置や得意な役割から、自社に必要なポジションの人材を選ぶ

親しい友人に見せる顔(キャラ)は、学生が得意な役割であるとも言えます。そして会社の中でも、長く働いているうちに同様のキャラクターに落ち着くことが多いでしょう。新入社員のうちは緊張したり恐縮したりしていても、やはり長時間・長期間を過ごす会社ではだんだんと素の顔になってしまうものです。

キャラがわかれば、面倒見の良い人材をバックオフィスに配属したり、嘘をつかない堅実な人材に営業を任せたり、あるいはタイプの違う上司の補佐役にしたりと、ポジションによって適材適所の配置を考えることができます。

また例えば、自分がフロントに立ってストイックに目標を追いたいタイプの人材をバックオフィスなどのサポート部門に配属すると、モチベーション低下や離職の危険性もあります。

組織はチームですので、個々の能力だけでなく、チームとして関わりあったときの「相乗効果」が重要です。業務内容やメンバー構成を考えて、自社に必要な人材を見極めましょう

深掘り質問:「自分ではどう思いますか?」

周囲から言われるキャラクター(表の顔)と、自分自身が思っているキャラクター(素顔)にギャップを感じているケースもあります。友人間での顔が必ずしも本人にとって楽な顔・なりたい顔ではない可能性も考えて、この質問をしてみると良いでしょう。他人とどのようにコミュニケーションをとっているか、形式張った質問よりもぐっと見えやすくなる質問だと思います。

また、自分自身がどう見られているか、を認識できることは、ものごとを俯瞰的に見ることができる能力でもあります。

5.逆境力編「自分の希望や意見が通らなかった経験を教えてください。そのとき、どう行動しましたか?」

最後に、少し前から企業内研修などでもよく聞かれるようになった「逆境力(レジリエンス力)」について確認する質問です。

なお、レジリエンス(力)とは、「レジリエンス(resilience)」という言葉の意味の通り、「跳ね返り」「弾力」「回復力」を指します。組織開発などにおいては「環境やストレスによる逆境にも適応し、心身の健康を保つことができる力」といった意味で使われます。

ストレスの多い現代社会において、レジリエンス力への注目は年々高まっています。

逆境においても工夫や切り替えによって精神の安定を保つことができる人材か(レジリエンス力)

自己PRの苦労や工夫とはまた別に、自分の意見が通らず悔しい思いをした経験を聞くことで、逆境においても前向きでいられる逆境力(レジリエンス力)を持っているかが分かります。

ここでも、実際のエピソードを聞いて深掘りをすることが重要です。曖昧な例え話にしてしまうと、よくわからないままイメージで答えることになってしまうので、実際その状況になった時の行動と乖離する可能性が高くなります(例:「仕事において上司と意見が違ったらどうしますか?」など)。

あくまでも実体験を聞き、なぜそう判断したか、結果どうなったか、どう感じたかなどを深掘りしましょう。

エピソードひとつで判断せず、「今のあなたならどうしますか?」と聞くのも◎

どの質問にも共通しますが、この質問に対してこういうエピソードを話した、という回答からだけでは、学生が「これからどうありたいと思っているか」が見えづらくなります。

人は学び成長することができる生き物でもあるので、「今のあなたならどうしますか?」と「やり直すチャンス」を与えるような質問もしてみましょう。

「あのときは未熟でそう判断してしまったが、今ならもっとこうできる」という学生の前向きな気持ちを尊重してあげられると良いと思います。

「なんとなく」ではない、公明正大な新卒採用面接を

面接で何を聞くべきか、5つの質問をご紹介しました。これらの質問への回答をさらに深掘りしていくことで、学生の素質が見えてくるのではないかと思います。

また、このように5問程度の共通質問を設け、どの候補者にも同じように一通りの質問すれば、評価のコツも掴めますし、より公平な面接選考に繋がります。

「なんとなく」の雰囲気ではなく、根拠を持って公平に学生を採点・評価することは、学生に対する親切というわけではなく、企業の発展に必要な「戦略」と言えます。入社後は長きにわたって企業を支えてくれる「人財」であることを意識して、一人一人の良さを引き出すような質問が面接でなされることを願います。

おまけ:元人事担当のおすすめ質問

わたしも、マニュアル本を読んで用意してきた回答ではなく、学生の素顔が見たくてさまざまな質問をしてみていました。これを聞くと学生の表情がちょっとゆるんだり、飾らない答えが聞けたりして、「素」に近づけたかな、という質問をいくつかご紹介します。

※どう回答したら高評価になる、といった「正解」はもちろん存在しません。

  • 人生で叶えたい夢はありますか?

「キャリアプランは?」と聞くと、自社で定年まで働くことを前提にした回答が多くなります。学生の大半が転職は「あり」と考え、終身雇用も制度崩壊と言われる今、その答えが本心かどうか、正直なところ知る由がありません。

そうではなく、もっとフランクに「自分の店を持ちたい」「子育てしながら働いて、生活を充実させたい」などを語ってもらうことで、学生の価値観や大事にしているものが見えて、面白い質問だと思っています。

  • どんな人が好きですか?

「例えばわたしは、中学校や高校のときの『そうじの時間』に遊ばないでちゃんとそうじをする人が好きです」と添えて聞いていました。これも、学生が大事にしていることの根幹が現れたり、あるいは優等生のようだった子にも素が垣間見えたりします。

  • 《中小企業/ベンチャー企業/大手企業》への就職は考えていないのですか?

※《》内は何でもよいのですが、自社と正反対にあたる選択肢を提示します。

「なぜ、そちらの選択肢ではダメなのか」を聞くことで、「なぜ、自社がいいのか」(あるいは自社でなくても良いのか)の新しい側面が見えることがあります。

以上、個人的おすすめ質問のおまけでした。ぜひ、質問が思いつかなくなったときにでも聞いてみてください。

米田 彩香

新卒で入社した前職の老舗中小企業にて人事・採用を5年間担当。紋切り型の就活スタイルに疑問を持ち、OfferBoxの理念に共感したため2019年3月に株式会社i-plug入社、インサイドセールスチームに所属。夢は子供が独立したあとに学生街で食堂を開くこと。