【面接の合格を伝える】求職者に自社を選んでもらうための電話の仕方:温度感を正確に把握することの大切さ

採用面接で内定を出すときに、「電話」で求職者に合格のお知らせをすることが多いと思います。

採用担当者になったばかりの方の中には、「今の求職者に電話連絡って古いんじゃないの?」と疑問に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

  • 現在、合格を伝える一般的な連絡手段としてはどのようなものがあるのか?
  • 採用率を高める電話の仕方はあるのか?
  • 合格の電話をするのに適した時間・時期はあるのか?
  • 選考辞退・内定辞退を防止するためのテクニックはあるのか?
  • 不採用、不合格のお知らせ時に気を付けるポイントはあるのか?

今回は、上記のような「面接の合格通知の電話」に関する疑問を、新卒採用アドバイザーの谷間さんにお答えいただきます。

面接の合格を伝える「手段」は王道の「電話」が現在も主流

人事ZINE編集部
――現在の採用活動において、合格の連絡手段としては一般的にどのようなものがありますか?メールや郵送による連絡は行なうのでしょうか?


谷間さん
電話もしくは最終面接の場で直接伝えるのが中心で、メールや郵送での連絡は基本的には使わないですね。「求職者の入社への温度感」「現在選考中の他社の状況がどのようなものか」を把握して、求職者さん一人一人に寄り添って柔軟に動く必要があるためです。

採用側の温度感が非常に高い場合、面接のその場で内定を出させていただくこともあります。欲しい、という熱量によって行動を変えていますね。

つまり、電話連絡のミッションは「求職者の入社への温度感を知ること」「他社選考のスケジュールを知ること」「入社を決めていただくためのあとひと押しをすること」となります。

今の時代の求職者さんは、いろいろなITツールを使って就職活動をしていますが、内定の連絡が後日になる場合は主に電話、というところは特に新卒採用の世界では根強くあります。




――現在活動されている求職者は面接の合格を伝える電話をしたときに、どのようなリアクションをとられますか?

谷間さん
やはり「うれしい」という素直な気持ちを言われることが一番多いですね。

ただ、当然ですがその時に求職者さんから他社の状況や自社への温度感を言葉で表現されることはほぼありません。ですので、「採用担当から他社の選考状況や自社への入社意欲を聞き出す」という作業が必要になります。

例えば、その求職者さんが自社以外にもA社の選考が進んでいるとしますよね。その場合には「A社さんはどうなってる?」と私はストレートに聞いていました。直球で聞くことで、そのときの反応で自社への入社意欲がわかるんです。

言葉選び1つ1つにも「感謝の気持ち」を確実に表現する大切さ:目線も「上から」にならないように

人事ZINE編集部
――電話連絡時に気を付ける基本的なポイントを教えてください。


谷間さん
まず基本中の基本なのですが、「社名と要件をしっかりと伝えること」ですね。TVの演出のように電話の始めから「合格です!」っていきなり言うのは論外です。

あと、採用業務に慣れてくると忘れがちなのですが、「応募してくれたお礼」をしっかりと確実に伝えることも忘れないようにしてください。これは合格者への電話連絡に限ったことではないのですが、すべての求職者さんに対して「自分の会社に魅力を感じて受けてくれた」ことに対する感謝の気持ちを忘れないように一つ一つの行動をすることが大切になってきます。

ですので、私は合格の電話をすることが全採用業務の中で一番緊張する業務でした。電話口の求職者さんは、手放しで喜んだり、感情がわかりにくいフラットな対応だったり、「ありがとうございます」と言いながらもテンションがすごく低かったり、実に色々な反応をされますので、そこから入社を決めてもらうようにどういう会話をしていけばいいのか、と電話のたびに慎重に言葉を運んでいました。




――電話の仕方で本人の入社の意欲が変わるのですね。会話のトーンなどで気を付けていたことはありますか?

谷間さん
私は、「上から目線にならないようにフラットなコミュニケーションをする」ことを特に気をつけていました。今の求職者さんは、そのあたりの「企業の上から目線感」に非常に敏感です。現代の採用業務は、この「企業の上から目線感への敏感さ」へのトレンドを把握しておくことが最も大切ですね。

少しでも電話の印象が悪いと、学生同士の就職の情報交換サイト、一般的な就職口コミサイトなどのSNSに書き込まれてしまうリスクも非常に高いので、電話中の会話のトーンや目線には細心の注意をはらったほうがいいと思います。




――コミュニケーションのトーンや目線に気を付けることで、他に防げることはございますでしょうか?

谷間さん
そうですね・・俗に言う「オワハラ※」のような感覚を求職者さんに持たれることを防ぐことができますね。他の会社の内定状況を聞くときも、「求職者の就職活動を全体的に応援している」というトーンで話すようにします。自社に決めてもらいたい、クロージングしたい、という気持ちをグッと抑えつつ、求職者の気持ちを尊重しながらお話をするようにしています。

ただ、採用側にも採用計画や人員の数値目標があります。あまりにも内定から承諾までの時間が空きすぎると、他の方に内定を出して枠を埋めていく必要があります。「A社(他社の選考)も頑張ってほしいけど、うちも内定を出して待ってるよ、ただ、あまり時間が経つと枠が埋まってしまう可能性もある」といった現実的なコミュニケーションも時には必要になってきます。

※「オワハラ」・・「就活終われハラスメント」の略。企業が求職者に対して就職活動を終わらせることを強要すること。

合格の電話連絡のタイミングは何時ごろにすればいいのか?理想の時間・時期

人事ZINE編集部
――合格の電話連絡をするにあたって、理想的な時間・時期はあるのでしょうか?


谷間さん
「午前中が承諾してくれやすい」とか、「午後や夜のほうがいい」といった、「電話連絡のタイミングの時間的な正解」はない、というのが正直なところです。

ただ、夜21時や土日に電話してしまうと、求職者さんに、「21時まで残業している会社なのかな」「休日出勤をする会社なのかな」という印象を持たれてしまう可能性があるので、あくまでも電話をするタイミングは営業時間内にすることが大切だと思います。

不採用の電話連絡のときにこそ「人事」の姿勢が問われる:「サイレントお祈り」は会社の評判にも影響する

人事ZINE編集部
――また、不合格を伝えるときは電話連絡が必要でしょうか?また、その適切なタイミングはありますでしょうか?


谷間さん
不合格を伝えるときには、コミュニケーションを取って情報を得る必要はないので、基本的に電話連絡では伝えず、メールでの連絡をしていますね。

ただ、一部の会社で「1週間何も連絡がなかったら不合格だと思ってください」といった、不合格であることに対して何の連絡もしないところ(サイレントお祈り)がありますが、それはやらない方がいいと思いますね。

なぜなら、その求職者さんは、選考活動の後には会社のお客様になる可能性もあるわけです。悪い対応をして心象を悪くしてその後会社への悪い評判を書き込まれてしまったり、商品やサービスを使ってもらえなくなったりするリスクもありますので、不合格であってもしっかりと採用側の意思表示の時期を伝えた上で、そのタイミングでメール連絡をするのが大切です。

私の経験談なのですが、一度不採用になった求職者さんが入社に至ったケースがあります。その求職者さんからは「不合格になったことで、どれだけこの会社に入りたかったのかがわかりました」というメールをいただいて、入社に至る、みたいなケースもめちゃめちゃレアですがあるんですよ。そのようなコミュニケーションも、不合格のメールを送ることで発生しますので、不合格であってもきちんとメールでお伝えするのが大切だと思います。

電話での合格連絡に必要な取り組み=採用担当者の基本的な心構え:変化があってもブレないこと

人事ZINE編集部
――ここまで、合格の電話連絡の目的は、「求職者の入社への温度感を知ること」、「他社選考のスケジュールを知ること」、「入社を決めていただくためのあとひと押しをすること」、電話連絡の心構えとして「上から目線にならないようにフラットなコミュニケーションをする」、「自分の会社に魅力を感じて受けてくれたことに対する感謝の気持ちを伝える」というお話をうかがってまいりました。

この他にも、採用活動を成功させるポイントはございますでしょうか?


谷間さん
採用担当としては、今まで言ってきたことの他にも、「状況に対する臨機応変さ」が必要になってきます。毎年採用市場も生き物のように変化をするので、状況を見極めて適切な行動をするのが大切になってきます。例えば、今新型コロナウイルスの流行でリアルでの採用活動が行なえず、オンライン面接で選考を進めている会社も少なくありません。

内定合格通知の電話のときに「求職者の自社への入社の温度感を確認することが重要」と申しましたが、これは電話をするときにだけ気を付ければいいわけではなく、選考過程全体で候補者の温度感を感じる必要があります。

今までは会社でのリアルな空間の中で面接を行なう、または懇親会などを開いてフォローすることで把握できていた「候補者の入社への温度感・志望度」ですが、オンライン面接が主流になってくると把握しにくい、といった不具合が出てまいります。

そのような状況でも、電話、動画オンラインツールを活用して、候補者となるべくコミュニケーションを細やかに多くとることが重要になってくるのではないでしょうか。

コロナウイルスが収束する局面になっても、採用活動は引き続き「オンライン」が主体になってくる時代が来る可能性は低くはありません。リアルでもオンラインでも、求職者にしっかりと寄り添って、コミュニケーションをとり採用計画に反映していく、また、そのような求職者とのコミュニケーション基準を採用チームでしっかりと共有することが重要になってくるのではないでしょうか。

社内の採用や選考に関わる全員で、求職者に対する心構え、コミュニケーション方法を統一し、採用活動の取り組みをしていただければ、と思います。

最後に

今回は、新卒採用アドバイザーの谷間さんに、採用選考の最後の要となる「面接の合格を知らせる電話連絡」についてお話しいただきました。

「他の会社と迷っている」とは、ほとんどの求職者は電話中には言いません。ちょっとした声色の変化など、細かいシグナルを感じながら、求職者の温度感を把握していくのが大切です。

また、必要な人材を確保する上で「内定が出ている複数の会社で自社を選んでもらう」ということは採用人事にとって大変重要な行動になります。

1本の電話ですが、非常に大切なコミュニケーションになります。この記事で書かれている話術や心構えをしっかりとおさえていただいて、内定を出した一人でも多くの求職者に自社への入社を決めてもらいましょう。