地方企業の新卒採用課題の突破口となるダイレクトリクルーティング|必要なものは「学生を思う気持ち」

近年、新卒採用市場において比較的新しい採用手法である「ダイレクトリクルーティングサービス」を利用する企業や学生の登録者数が増加してきています。

「ダイレクトリクルーティング」とは、企業自らが主体となって学生を探し出し、欲しい人材に直接オファーをかける新しい採用手法です。

「ダイレクトリクルーティングって大手企業同士が人材の争奪戦で使ってるのかと思ってたけど、中小企業でも利用する価値はある?」
「地方の企業で知名度が低くて新卒採用に苦戦しているから、もし効果があるなら導入を検討したい」
「でも大手企業を差し置いて、地方に就職してくれる学生ってそもそも存在してるの?」

本記事では、「”中小企業・地方の企業” × “ダイレクトリクルーティング”」に関する上記のような疑問を解消いたします!

今回、人事ZINE編集部は、中小企業での新卒採用人事の経歴を持ち、現在は地方の企業を中心に新卒採用アドバイザーとして活躍されている谷間さんにインタビューをしてきました。

中小企業や地方の企業でダイレクトリクルーティングサービスの導入を検討されている採用担当者の方は必見です。

中小・地方企業の課題「認知の壁」の突破口となるダイレクトリクルーティング

人事ZINE編集部
ーダイレクトリクルーティングと言えば、企業から学生や求職者を積極的に探してアプローチをかけることができるのが特長ですが、実際に認知度が低い中小企業や地方の企業でも有効に活用されているのでしょうか?

谷間さん:
はい。今の時代、色々なパターンの採用手法を使わないと学生が集まらない、採用まで至らない、ということを理解されている企業さんは、ダイリク(ダイレクトリクルーティング)に対して結構前向きな印象を持って実際にご利用さてれています。

地方でかつ初めて新卒採用をするというケースでも、積極的に学生に会って1人1人に向き合おうとする気持ちが強ければ、導入初年度でもうまく活用できます。




ーダイレクトリクルーティングを利用される前、地方の企業や学生からの認知度が低い中小企業、スタートアップ企業はどのような採用課題に悩まれていましたか?

まず地方かどうかに関わらず多くの中小企業のお悩みとして多かったのは、「同じ業界の大手企業に学生を取られてしまう」というところです。

合同説明会でも学生は自分がよく知る名前の大手企業に流れていく、インターンシップを実施しても応募の段階で同様のことが起こります。

選考辞退や内定辞退もそうですね。大手の採用競合と比較されたときに負けてしまうというフェーズが採用活動の中で何度もあるんです。




ー中小企業の内定まで進んでくれた学生が最終的に大手企業を選んでいた理由は何だったんでしょうか?

学生は中小企業との選考を進めていく中で「絶対ここだ!」という決定的なポイントがないと、「やっぱり大手企業の方が良いんじゃないか」と”なんとなく”の気持ちで流れていく傾向があります。

内定をもらったときは「行きたい!」と思っていても、その気持ちを裏付ける確固たる理由が見つからないと、時間が経って冷静に大手企業との内定を並べて考えた時に「ここで大手を選ばないのはもったいないかな…」と大手企業に気持ちが傾いてしまうようです。

新卒の場合は、学生本人もそうですが周りに就労経験のある人がいないので、どうしても企業や業界の情報が断片的で偏りがちになってしまいます。

親御さんに相談して、「大手を強く勧められた」「中小・ベンチャー企業を反対された」という理由で大手企業を選択したという学生もいます。

選択肢の多さ(企業の数)に対して学生が得られる情報があまりにも少なすぎるというのが原因だと思います。




ー中小企業でもさらに地方となるとまた違った課題も出てきますよね?

地方の場合は、学生との接触を図る最初の集客のハードルがさらに高くなります。

単純なところで言うと、最寄り駅がなくて車通勤が必須とか、その市に住んでいる学生が数十人しかいないとか、こういった地方企業ならではのことが学生を集める際に結構なビハインドになるんです。

土地柄や生活環境が都市部とは違うので、その地方出身の学生やその地方の大学にいる学生といった、その土地に馴染みのある人材であるかどうかもマッチングの要素に入ってくることもあります。

ただ、地方の大学でもその地方出身の学生が多いとは限らず、学生たちは都市部の企業や別の地方の企業も視野に入れています。

というのも、以前は各企業の各イベントで都市部に足を運ばなければいけないから地方学生の就活は大変と言われていましたが、企業説明会や面談をオンラインで実施する企業も増えてきましたから。

逆に都市部の大学で「いい企業があれば地方で働きたい!」と思っている学生や、Uターン就職を考えている地方出身の学生もいるんですが、じゃあ企業側はその学生をどうやって探せばいいのか?学生は自社の存在を知っているのか?という壁にぶつかってしまうんですよね。

私たちはよく「認知の壁」という言葉で表現しているんですけど、学生は企業の存在を知っていればその企業に興味を持ってくれる可能性があり、存在を知らなければそのまま就活を終えてしまうんです。

※認知の壁とは
学生は企業を認知していれば興味を持ち、エントリーするが、そうでなければ興味もエントリーも発生しない(発生しにくい)。これを認知の壁と呼び、この壁があると学生は企業を発見することができないため、企業はこの認知の壁を越えて学生にアプローチをかけることが必要になる。




ーその「認知の壁」を打開する採用手法の1つに「ダイレクトリクルーティング」があるというわけですね。

学生との接触をはかること自体は他の手法も考えられますが、企業側から学生を検索して、個々の狙った学生に接触するチャンスを企業自らが作ることができるのはダイリクならではだと思います。

企業からすると自社に気づいてもらうことが目的になるかと思いますが、実は学生に”気づかせてあげる”という観点も大事だと思うんです。

やはり学生が自分1人でできる業界研究や企業分析には限界があります。例え大手企業であっても、その業界では名が知れたBtoB企業であっても、新卒市場においては無名ということはよくあることです。

自分の特性を活かせる業界や企業があるのに、それに気づかないまま就活を終えてしまうのはもったいないですよね。

色々な業界や企業があるのは学生もわかってはいると思うのですが、まずは自分が知っている企業から情報を集めるでしょうし、自分が知らない企業を自分で探し出す術がないので、認知の低い企業は企業から学生を見つけていくしかないんです。

ダイレクトリクルーティングの活用が、企業を知る機会を学生に与えることにも繋がる

人事ZINE編集部:
ー企業から声をかけてもらうと、学生側も「こんな会社があるんだ!」と気づくきっかけにもなりますね。

谷間さん:
私は「もし自分が新卒でダイレクトリクルーティング を使ってたら、他の仕事をしてたかもしれない。」と思ってるんですよ。もちろん新卒で入社した会社が嫌だったとか、別のことがやりたかったとかいうわけではありません。

ただ、「もし知っていたら全く別のキャリアを歩んでた可能性もあるなぁ」とは思いますね。自分の基準で候補を絞り込んで、その周辺の情報しか集めていなかったので。

 


ー確かに。私も学生の頃はむしろまず業界を絞らないと!!って思ってました。

そうですよね。銀行で働きたいと思ったら銀行ばかり調べる、といった感じで。

就活の期間も限られていますし、何百社も1社ずつ詳細に調べることもできないので、学生がまずは何らかの条件で企業数を絞らなきゃ!となってしまうのも当然のことなんです。

それに業界で絞ると言っても、その業界の選び方も「友達から聞いた」とか「土日が絶対休み」「楽しそう」といった断片的なイメージで決めてしまいがちです。

入社前後でイメージと現実のギャップが大きかったり、他に適性のある企業があったかもしれないのに知らないまま就活を終えてしまったりすると、もし自分の第一志望の企業から内定をもらえたとしても、それは結果として就活に成功しているとは言えないですよね。

 


ー実際に自分が全く知らない企業からオファーが届いたときの学生の反応はいかがですか?

本当に全く興味が無かったらスルーされるかもしれませんが、少なくとも「まずは一度話を聞いてみよう」という前向きな反応が多いですね。

オファーをかける時のメッセージが重要になるのですが、ただ自社の魅力を提示するだけでなく、学生のプロフィールを見て自社がその学生に対して魅力的に感じているところを言及することが大事です。

要するに「数十万人いる新卒の中でなぜ自社はあなたを選んだのか?」を学生にしっかりと明示してメッセージを送るということです。

学生って本当にピュアなんですよ。企業からのメッセージを見て「自分のことを見てくれている!」という印象を受けた学生は、企業のこともちゃんと知ろうとしてくれます。

なので、企業のことを知るチャンスをもっと与えてあげて欲しいですね。




ー中小・地方の企業のもう1つの課題である「同じ業界の大手企業とのバッティング」についてはどうですか? 学生との接触のきっかけを作った後は、その学生に対してどのようなアプローチを続けていけばいいでしょうか?

そうですね。1回会っただけでは、その学生を見極めることも、学生に自社のことを十分に理解してもらうのも難しいはずです。ここから先は1人1人の学生に対してしっかりと時間を取って向き合うことが重要になってきます。

一般的に、「1人の学生に6回以上接触すると、企業に対する好感度が上がる」と言われているんですよ。もちろん回数だけが大事というわけではないのですが、単純に考えて接触頻度が多く交流時間が長い方がお互いのことを深く理解しやすいですよね。

特に学生と「個人対面」で話す時間をしっかり確保していただきたいと思います。




ー同じ対面形式でも「1対多」では得られないものがある?

例えば、採用担当1人が学生3人と同時に面談するとします。その場合、面談時間を60分取っていても学生1人あたりにかけられる時間は20分、さらに採用担当者と学生が交互に話すので、学生1人あたりが発言できる時間は単純計算でいくと10分程度。これはかなり少ないですよね。

学生からしても、周りに他の学生がいると内容によっては質問することを戸惑ったり、機会を逃したりしてしまうことがあります。

でも1対1で話すとそういったことがなくて、聞きづらかったことを聞いてくれたりとか、個人的に思っていることやプライベートなことを話してくれたりするので、個々の学生の「その人らしさ」を見出しやすいんです。

それに「学生はこんなことを考えているんだ」「こんな懸念があったんだ」ということに企業側が気づかされることもあります。

ダイレクトリクルーティングで一番重要なのは「学生を思う気持ち」

人事ZINE編集部:
ー実際に「ダイレクトリクルーティング」を活用している地方の企業の採用活動は今どのような状況でしょうか?

谷間さん:
地方の企業でも、特にうまく活用できているところは学生が住んでいる地方や出身地に関係なく採用できています。

初めは志望度が高くなくても、対話を重ねるごとに社風の理解や事業内容の魅力を感じることが増していき、最終的には大手企業を跳ねのけて第一志望になったというケースも結構多いんですよ。「最初に貰ったメッセージに縁を感じて…」と選考に進んでくれる学生もいるようです。

地方の企業でダイリクを利用している企業は、「こちらから学生に積極的に会おう」「個々の学生としっかり向き合って理解を深め合おう」という気持ちが強いので、そういう姿勢の採用活動がダイリクの特性にマッチしやすく、導入初年度から高い効果を得ている企業も少なくないです。




ーありがとうございました。最後にダイレクトリクルーティングの導入を検討している中小企業・地方の企業の採用担当の方々に向けてメッセージを頂けますか?

地方か都市部かに関わらず、また大手企業か中小企業かに関わらず、ダイリクを利用する上で一番大事なのは「学生を思う気持ち」だと思っています。




ー「学生を思う気持ち」があればうまくいく。

はい。そういう意味では新卒採用自体を初めて実施するという企業にもダイリクは有効な採用手法だと思います。

例えば、初めて合同説明会に参加するとなると、出展費もかかりますし、パンフレットやプレゼン資料の準備も必要ですよね? イベントによっては地方から都市部に足を運ばないといけない。

一方で、ダイリクは大勢の前で上手にプレゼンをする必要もなく、新卒採用のノウハウがなくても「学生を思う気持ち」さえあれば実行できるんです。

もちろん単純に「リソースを削減したい」「楽な方法で採用したい」という考え方ではダメですけど。しっかりと学生と向き合って相互理解を深めていただければと思います。

最後に

企業と学生の間に立ちはだかる「認知の壁」を越える採用手法であるダイレクトリクルーティング。

谷間さんにはダイレクトリクルーティングを実施するにあたって何より大事なことは「学生を思う気持ち」であるとお答えいただきました。

学生からの認知度が低い中小企業であっても、地方企業であっても、新卒採用をするのが初めてであっても、企業が自ら行動して学生を探し出し、しっかりと時間をかけて学生と向き合い互いの理解を深める意思があれば、その企業にとってダイレクトリクルーティングは最適な採用手法の1つとなるでしょう。

大手の採用競合にどうしても勝てない、学生からの知名度が低くて応募が来ない、と頭を抱えているのであれば、是非ダイレクトリクルーティングを一度検討されてみてはいかがでしょうか。