「コンピテンシー面接」導入の必然性:自社で活躍できる人材だけを採用するために企業が取り組むべきこと

採用面接時に、候補者が自社で活躍できる人材かどうかを定量的に見極める方法として、「コンピテンシー面接」という方法が注目を集めています。

一般的な面接との違いには下記が上げられます。

  • 候補者の行動能力を正しく評価できる
  • 面接官の感覚による評価のバラつきを防げる
  • 離職率の低減や生産性の向上に繋がる
  • 候補者から信憑性の高い情報を得られる

これだけ多大なメリットを持つコンピテンシー面接ですが、「具体的なやり方がわからない」「難易度が高くなかなか取り組みが進まない」と導入したくてもできない企業も多いようです。

今回は、上記のお悩みを解消すべく、新卒採用アドバイザーの小野さんに「コンピテンシー面接」についてお話をお伺いしてきました。

労働力不足により「コンピテンシー面接」の必然性が高まった

人事ZINE編集部
――まずコンピテンシー面接とはどういうものかを簡単に教えてください。


小野さん
そもそも「コンピンテンシー」とは、自社の活躍人材が持つ行動特性のことを言います。自社の活躍人材に共通する行動特性が採用候補者にあるかどうかを見抜いていく面接手法がコンピテンシー面接ですね。

自社で高い業務遂行能力を発揮できるかどうかは、世間的にこの人が優秀かどうかや一般的な「頭の良さ」を表す指標よりも、その活躍人材に共通する「行動特性」に起因することがわかっているんです。

つまり、採用時にその候補者の「行動特性」を見抜くことができれば、将来的に自社で活躍する人材を獲得することができる。企業と候補者のミスマッチを低減して、企業が求める人材を獲得する精度向上が期待できるというわけですね。

 

――「コンピテンシー面接」という言葉を聞くようになったのはここ数年のことですが、面接手法としては比較的新しいものなんでしょうか?

コンピテンシーという概念自体はもっと前、1990年に日本に導入されていたようです。考え方自体は存在していて、人事評価や人材育成に活用されていました。

ただ「コンピテンシー面接」という言葉はまだ新しいと思います。コンピテンシーを採用に活用すれば、離職率も減るし企業の生産性も向上するのは当然のことなのですが、以前は「採用」の重要性が今ほど高くなかったのだと思います。

今は、労働人口が減ってきているので、「大勢採用した中から活躍人材が何人生まれるか?」という考え方はできないんですよね。採用した人には全員活躍してもらわないといけない。

ですので、新しい考え方というよりは、必然的にコンピテンシーを採用面接にも導入する重要性が高まったと言えます。

面接実施までの入念な準備と組織規模の取り組みが「コンピテンシー面接」導入の障壁に

人事ZINE編集部
――では実際にコンピテンシー面接を導入している企業は多いのでしょうか?


小野さん
実際うまく活用できている企業はまだ少ないですが、今徐々に増えてきてはいるところですね。少なくともコンピテンシー面接を知らないという企業はほとんど居ないと思います。

導入したくても実現できないという企業が多いです。良いとわかってはいるけど難易度が高くてうまくいかったり、中途半端に取り組んでなかなか導入計画が進まなかったり、という感じです。



――コンピテンシー面接の難易度の高さはどういったところに見られますか?

見極めたい行動特性に対して、どういう質問をするか、どう細かく掘り下げていくか、というのが企業が求める人材によって異なるので、こうすればうまくいくという「決まった型」が無いことだと思います。

成功した企業の質問事例集を活用したところでうまくはいかないんですね。仮に一定の行動特性を持つ人材を採用できたとしても、その行動特性は自社で業績を上げるために必要なものかどうかは別の話ですから。

面接官の感覚で進めてしまうと判断軸がぶれてしまうんです。面接官と候補者の間に共通の話題があると、お互いポジティブな印象を持ちやすいですよね。逆に候補者の経験談に対して面接官がネガティブなイメージを持つと、多少なりとも合否の判断材料に影響してしまうことが知られています。

誰が面接官であっても同一の結果になるように、評価基準は定量的でなければなりません。

コンピテンシー面接の成否は、実施するまでの「準備」でほぼ決まると思います。自社の人材判断軸をかなり細かく設計して、それを見極めるための質問もまた緻密な設計が必要になります。

事業部や職種によっても求められる行動特性やコンピテンシーレベルが異なりますし、採用担当者だけで取り組めるものではないんですね。そこがまたコンピテンシー面接を導入する障壁となっていると思います。

自社で活躍している人材のコンピテンシーは?1つの行動を徹底的に掘り下げる

人事ZINE編集部
――コンピテンシー面接を導入すると決まった場合、企業は何から手を付ければいいでしょうか?人材判断軸とはどのように決めるのでしょう?


小野さん
まずは事業ごと職種ごとに自社の活躍人材を分析するところからですね。

その人材の業務フローを細分化して、どんな状況でどんな行動を起こしたか、その行動の動機は何か、といった業務を達成するまでのプロセスを洗い出していきます。

さらに、自社で活躍できるかどうかを決定づけるような具体的な行動にフォーカスし、その行動を徹底的に掘り下げて分析します。

  • 具体的な現場状況でどのような行動をとったか
  • 工夫を加えたところはあるか
  • どんな困難に直面してどう解決したか
  • 解決するためにどんな行動をとったか
  • その行動はどのような思考から生まれたか、
  • その行動を起こすためにまたどんな行動が必要だったのか

と、1つの行動に対してこれ以上は無理というところまで深堀りを繰り返して言語化していきます。そして、その人のどういう能力がよく働いてハイパフォーマンスに繋がっているのかを整理していくわけですね。



――1つの行動だけでも整理するのが大変そうですね。これを活躍のキーポイント全てに行なって、さらに職種が違えばまた活躍人材のモデルも変わるわけですよね?

はい。営業職で活躍できているからと言って、その人材が必ずしもマーケティング部門で活躍できるわけではないですよね。もちろん共通する行動背景はあるかと思いますが、全く同じでは無いはずです。

この時点でコンピテンシー面接を諦めてしまう企業も少なくないんですよ。採用担当者や人事部だけでコンピテンシーモデルを設計できるわけではないので。

部署の業務を包括的に理解しているマネージャーが集まって「この過程でこの能力が必要だよね」「その分野ならハイパフォーマーはこの人」という話し合いが必要ですし、その活躍人材へのインタビューもしないといけない。さらに導き出したコンピテンシーモデルが組織の経営ビジョンと乖離していないかなどのチェックも入念に行ないます。

コンピテンシ―を面接に活用する前に必要なこと「行動特性の言語化」と「評価項目の数値化」

人事ZINE編集部
――必要な行動特性を言語化したあとは、どうやって面接の質問項目に落とし込んでいくのですか?


小野さん
まず、導き出した行動能力に数値化できる指標を入れていきます。起こした行動や行動量を5段階でレベル分けしたりといったことですね。適性検査結果と照合したり、外部ツールを使っている企業もあります。

ここまで到達して初めて、各項目に対してどういう質問をすればいいのかを決めていきます。見極めたい項目に対して、質問と回答の組合せや進め方を全てマニュアル化します。

  1. A系統の答えが返ってきたらこの項目は×
  2. B系統なら答えのこの部分を深堀りする
  3. その答えをまた査定して、この系統の答えなら△で終了、○なら次の深堀り

みたいな感じですね。



――そこまで細かく決まっているのですね!

せっかく活躍人材の判断軸を緻密に設計したのに、肝心の面接で軸ブレを起こしてしまってはコンピテンシー面接を導入した意味がないというか、コンピテンシーを最大限活用しきれてないことになりますよね。

評価基準の統一性、活躍人材の再現性、評価結果の信憑性を高めるためにも必要です。



――コンピテンシー面接を導入する難易度が高いと言われる理由がよくわかりました。しかしどの企業においても覚悟を決めて取り組めば決して不可能な施策ではないですよね?

はい。行動特性を徹底的に分析するのは確かに労力がかかり一筋縄ではいかないこともありますが、ベースは「自社の活躍人材」です。つまり会社の中に必ず答えがあるはずなんです。

採用面接だけでなく、自社のハイパフォーマーや目指すべき人材の行動特性を探るきっかけにもなりますので、コンピテンシーの概念に則って着実に取り組みを進めて頂ければと思います。

最後に

今回は、新卒採用アドバイザーの小野さんに、コンピテンシーの考え方や重要性、また採用面接への活用の仕方についてお話しいただきました。

今の時代はどこの企業も人材不足で、自社に必要な人材を獲得する精度を高めていくことが大きな課題となっていますが、コンピテンシー面接はその課題解決に最も近い施策の1つだと言えます。

自社で活躍している人材の行動特性を探ったり社員の行動規範を見直したりするきっかけとして、また人材確保の最適化を図る施策として、コンピテンシー面接の導入を本格的に検討してみてはいかがでしょうか。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部