キャリア面談の意義とは?成功に必要な準備内容と留意ポイントを解説

社内の生産活動を活性化させるために、「キャリア面談」を導入する企業も増えてきており、すでに自社での導入を検討している人事担当者も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、「キャリア面談」の目的や得られるメリットを再確認しながら、適切な手法と面談前の準備などについて解説していきます。さらに、キャリアシートの作成方法や、面談後のフォローについても紹介します。

どのような面談方法が自社に合っているのかを見極める参考になれば幸いです。

キャリア面談の目的と得られる効果とは

はじめに、キャリア面談が必要とされる背景や、目的と効果について理解しておきましょう。

キャリア面談が必要とされる背景

かつての日本企業は、終身雇用と年功序列を前提としたマネジメントを行なっていました。社員にとってのキャリアとは自社内のより上位のポストに就くことであり、自ら開発していくものではなかったのです。

しかし、1990年代半ば以降から顕著になった雇用形態の大きな変化に伴い、キャリアの意味は大きく変わっていきます。

また、多くの企業で行なわれたリストラや組織のスリム化が従来の雇用制度を変化させ、成果主義を軸とする人事制度の導入を促進しました。

そのため現在では、社員ひとりひとりに高い専門性とスキルが求められるようになり、企業のキャリア開発といえば、多様な能力や経験のある人材の育成と支援が常識になったのです。

働き方や価値観の多様化も一般的になった今、社員には自らのエンプロイアビリティ(労働市場価値を含んだ就業能力)を高めるための努力が、そして企業側には社員が能力を発揮できるシステムづくりをすることが求められるでしょう。

キャリア面談の3つの目的

キャリア面談が求められるようになった背景について紹介してきましたが、導入の目的を整理すると以下の3点になります。

目的①社員が抱える課題や悩みを明確にし共有する

課題や悩みを明確にして共有することによって、社員ひとりひとりのスキルアップやキャリアアップへの道が見えてきます。

目的②社員の理想や叶えたい目標を引き出し、達成へのステップを明確にする

それぞれの社員が持つキャリアについての意向や理想を把握することで、達成までに必要なステップを明らかにし、モチベーションアップに繋げます。

目的③社員のロイヤリティを向上させ、継続した成長を促す

キャリア面談を定期的に実施することで、社員の希望に沿った業務の展開や能力開発ができるため、社員の成長を促進することができます。

キャリア面談で得られる3つの効果

キャリア面談を実施することで、社員と悩みや目標などに関する建設的なコミュニケーションを定期的に交わすことができるため、以下のような効果が期待できます。

効果①社員の自律が促されるため社内に活力がうまれる

キャリア面談を通じて社員が自らの強みや能力を自覚できれば、社内の活性化が期待できます。終身雇用の崩壊と価値観の多様化が進む中で、企業に求められているのは「時代に即した変革を続けること」ですが、そこに必要とされるのは上からの指示を待つだけの人材ではありません。

求められるのは、仕事に対して責任を持ちながらも自律した人材です。キャリア面談を通じて自分の強みを知り、発揮できる人材は社内に活力を呼び、企業を成長へと導いてくれるでしょう。

効果②積極的なキャリア支援で離職率の低下に繋がる

キャリア支援を積極的に行なっている企業は、社員にとっても魅力的です。「社員のことをこんなに考えてくれるなら頑張ろう」という意欲にも繋がるため、離職率も下がります。

また、他社に属している成長意欲の高い人材が自社に興味を持ってくれる可能性もあるでしょう。

効果③生産性が向上し、業績アップに繋がる

組織の活性化と優秀な人材の定着を実現すれば、社員が主体的に行動し、それによって生産性の向上が期待できます。

生産性が向上すれば、時代の変化を見据えた事業の展開や、新規事業への挑戦をも可能にするため、企業の成長も加速し、業績アップも期待できます。

キャリア面談の準備と実施上の留意点

続いてキャリア面談を実施する際に必要な準備と留意点を解説します。

キャリア面談を活性化させる準備とは

キャリア面談の前に、面談テーマを分類化して部下に伝えておくと、具体的な意見を引き出しやすくなります。

具体的なテーマとしては、以下のようなものが考えられるでしょう。

  • スキル・キャリアアップの計画
  • 業務の改善案
  • 希望年収や役職など将来のなりたい姿

事前に「改善案」や「スキルアップ後のイメージ」などのアンケートを用意しておけば、面談当日のディスカッションもスムーズに進みます。

また、面談の内容が他の社員に漏れないように個室などを用意することや、朝一番といった業務の忙しい時間帯を避けるなど、社員が緊張せずに本音を聞き出せるよう、場所や時間にも配慮しましょう。

ただの聞き取り調査で終わらせないために、面談者は着地点も想定しておきましょう。「年収・役職の希望」や「取得したいと思っている資格」など事前アンケートでヒアリングしたことに対し、具体的なステップアップの道筋を社員に伝えることができれば、面談後の気づきにも繋がります。

キャリア面談シートのメリットと作成すべき項目

キャリア面談をするときに「面談シート」を用意して面談対象者に記入してもらうと、各人の考え方や仕事に対する向き合い方を窺い知ることができます。

面談シートには、以下のような項目を含めておくといいでしょう。

普段の仕事に関する内容

普段の仕事に関する内容や、評価などを入れることにより、業務への現時点での考え方や取り組み方だけではなく、面談対象者の人生観や将来の希望なども読み取れます。

給与や業務成果状況

給与や業務成果状況などについてディスカッションすれば、面談の対象者が現在の待遇に対してどのように感じているのかを察することができます。

社内での人間関係

キャリア面談では、面談対象者の人間関係にも触れる必要があります。そのため、上司や同僚との関係や協調性に関する項目を設けて、コミュニケーション能力を判断する材料に役立てましょう。

部署内での人間関係だけではなく、他部署との人間関係も配慮すれば、面談対象者の適性や適切なポジションの把握もできるはずです。

面談を実施するときに留意したい4つのポイント

キャリア面談を実施するときに留意したいポイントは、主に以下の4つです。

社員の意見にじっくり耳を傾ける

キャリア面談では「傾聴の姿勢」を忘れないようにしましょう。自分の目標や本音を他人に話すのは難しいものです。しかし、傾聴の姿勢で対応すれば、面談対象者も本音を話しやすくなります。

じっくりと話を聞きながら適度に相槌を打つなどして、面談対象者が話しやすいような雰囲気を作るように心がけましょう。

実績や長所に焦点をあてて面談を活性化させる

面談時に社員が達成できなかったことや失敗に焦点を当てて話を進めてしまうと、自信喪失を招き将来についての前向きな話が十分に出来ない可能性があります。

本来の面談の目的を見失わないように、面談時は本人が自覚していない実績や長所を挙げながら、現在考えていることや将来への考えを引き出すように努めましょう。

課題を明確にし具体的なアドバイスをする

社員の向上心を高めるためには、目標達成への課題を明確にして共有したうえで、具体的なアドバイスをすることが大切です。

キャリア面談で企業側から課題やテーマを出す場合も、思いつきで課題を出すのではなく、連続性があり、課題を乗り越えることで成長を実感できるような内容にしてください。

社員の目標達成に向けたアフターフォローをする

面談はあくまでも過程でありゴールまでの手段のひとつに過ぎません。面談の内容を今後にどう活かすのかについては、長いスパンで考えることが重要です。

キャリアの形成や仕事との向き合い方を見直すことは、社員ひとりひとりにとっては大きな問題です。

そのため、一度面談をして終了ではなく、定期的に面談を実施し面談者への理解を深め、キャリアアップに関して適切なアドバイスを続けられるような関係を築くことこそ重要です。

定期的なキャリア面談で強いチームをつくろう

今回の記事では、雇用形態の変化に伴い注目されている「キャリア面談」の目的や効果について、面談時の留意点なども交えてお伝えしました。

キャリア面談を定期的に実施することで、文中でも紹介した以下3つの効果を引き出すことができます。

  • 社内の活力向上
  • 離職率低下
  • 生産性向上・業績アップ

キャリア面談を導入する際は、本記事で紹介したポイントに沿って準備を進め、実際に面談を進める中でプロセスやドキュメントを改善し、自社なりの効果的な面談スタイルを作り上げて頂けたらと思います。

人事ZINE 編集部

人事ZINE 編集部