求人広告の応募率が改善するキャッチコピー(見出し)の作り方

正社員やアルバイトの募集などを求人広告媒体に掲載する際、見出しとなる「キャッチコピー」の部分に頭を悩ませる採用担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか?

キャッチコピー(見出し)は、数多く掲載された求人広告の中で求職者の目を引くためにとても重要なものです。

求職者にとっての入り口であるキャッチコピーを改善することは、求人広告のクリック率や応募率(エントリー率)、選考通過率、内定承諾率などの「求職者と仕事・会社のマッチング」全体の改善にも繋がります。

プロが作った有名企業のキャッチコピーのようなものでなくても、コツを抑えてちょっとした工夫をすることで改善は可能です。その具体的な方法、コツをお伝えします。

一般的なキャッチコピーと求人広告におけるキャッチコピーの違い

まずキャッチコピーと聞いて思い浮かぶのは、話題になった有名企業のキャッチコピーや、炎上したテレビCMのキャッチコピー、有名なコピーライターの方の作品などかもしれません。

しかし、求人広告におけるキャッチコピーは、一般に「キャッチコピー」と聞いて浮かぶものとは異なる目的や性質を持っています。もちろん作り方やコツも変わってくるため、ここでその違いをご説明します。

「選ばせるため」という目的は同じ

一般的なキャッチコピーは、商品などをPRするために作られます。キャッチコピーがついた商品の大半は日用品などの「モノ」であったり、映画・ドラマなどの娯楽作品、商業施設、日常的に利用するサービスであったりします。

キャッチコピーにより人々の注目を集め、記憶に残ることができたほうが、購入の際に選ばれる確率が高くなるからです。

求人におけるキャッチコピーも同様に、求職者の目にとまること、そして記憶に残ることで、応募してもらえる確率や入社してもらえる確率が高まることを目的として作られます。

職業の選択は日用品の購入よりも遥かに慎重

しかし、求人広告で人々が選択するものは、日用品ではなく職業です。職業の選択は、自分自身の生活や将来に大きく影響します。

日用品や娯楽作品などのキャッチコピーでは、話題性のある尖った言葉や内容により話題になること(バズること)が成功を収める場合も多々あります。キャッチコピーはパッケージやポスター、チラシなどのビジュアルと合わせて展開され、目を引き、共感を得ることや記憶に残ることで販売に繋がります。

一方、求人広告では、キャッチコピーが話題になったからといって日本中から一気に応募が来るなどということは考えにくいと思われます。

キャッチコピーはあくまで、求人広告の「見出し」にすぎず、まずここに目がとまったら求人の詳細を読み、待遇や仕事内容などの諸条件を確認した上で、応募を検討する、非常に慎重なプロセスを踏むからです。

抑えるべきコツの違い

一般的なキャッチコピーでは、優れたコピーの作り方・コツとして

  • ちょっと違和感を覚える表現にすること
  • ヒトが一度に知覚できる文字数(13文字以内)に収めること

などが言われています。ポスターなどのビジュアルとセットで展開されることもあって、「文字を読もうと思っていない人」へのアプローチになるため、一瞬で内容が頭に入り、かつ、興味を持たせるためのコツが必要だからです。

しかし求人広告の場合、それを見ている求職者は、最初から求人広告という文字・文章を読むつもりで臨んでいるため、過度に短くする必要がありません。また、職業を選択するという、いたって真剣な場面なので、過激な言葉選びや違和感を覚えさせる表現などの「バズらせる工夫」に寄りすぎると、求人の信頼性を損ねる危険性もあります。


また、商品などを購入してくれる顧客は、企業側から選別する必要もさほどないと思いますが、求人の場合は、応募してきた求職者を企業が選考し、「自社に必要な人材」を見極めて採用しなければなりません。

求人の良い面ばかりをアピールして応募数が増えたとしても、仕事を誤解していたり自社が求めていない人材ばかりから応募が来れば、その対応に時間を取られてしまいます。

求人のキャッチコピーの場合には、なるべく多くの応募を獲得するだけではなく、「求めていない人材を遠ざける」ことも非常に重要になります。

ゴールは「求職者が仕事に求めるもの」と「自社が従業員に求めるもの」をマッチングさせること

求人広告におけるキャッチコピーのゴールは、「求職者が仕事に求めるもの」と「自社が従業員に求めるもの」をマッチングさせることです。つまり、単にキャッチコピーで有名になることや、全ての人に応募したいと思わせることとは、少し異なることがイメージできるかと思います。

理想的な順序としては、次のようになります。

  1. 数多ある求人広告の中で、キャッチコピーが求職者の興味を引く。
  2. 自社が求めている人材がキャッチコピーの内容に興味を持ち、求人の詳細を読む。 一方、求めていない人材は、キャッチコピーを見て自分の志望先ではないと感じて離脱する。
  3. 自社が求めている人材が求人に応募する。
  4. 選考を経て入社した人材が自社で活躍する。

社員の求人とアルバイトの求人では訴求ポイントも違う

また、正社員・契約社員などを募集する場合と、アルバイト・パートタイマーなどを募集する場合では訴求するポイントも異なります。

社員の求人となると、求職者はある程度長期的に、安定的な収入を求めて求人広告に目を通すことが多いのに対し、アルバイトの求人では時給の高さや仕事内容の気軽さ、入社までのスピード感などを重視する求職者が多いと考えられます。

                           
訴求ポイント 社員求人 アルバイト求人
会社

成長性・将来性

なし(会社への帰属意識は薄め)

給与・待遇

賞与・想定年収・安定性・昇給

時給の高さ・社会保険加入

仕事内容

スキルアップ・専門性の高さ

簡単・未経験可・「就職に有利」

働き方

残業時間の少なさ・テレワーク等の多様な働き方

シフトの自由度

※共通
勤務地/通勤(駅近、マイカーOKなど)・社風の良さ・企業ブランド・福利厚生(従業員販売やまかない)

求職者が「自社で働くメリットをすぐイメージできる」ことを意識する

求人広告の見出しであるキャッチコピーでは、それを目にした瞬間に「その会社で働くことのメリット」をイメージできるものが望ましいと思われます。キャッチコピーを見た時点で求人そのものに興味を持ってもらえなければ、求人の詳細まで読んでもらうことや、応募してもらうことも難しくなるからです。

求職者、もっと言えば「自社が求める人材」にとって、自社で働くことがどんなメリットやベネフィットをもたらすかをキャッチコピーに込めることを意識しましょう。

「この訴求ポイントが響くような人材こそが自社にマッチングする」という要素を見つけ、キャッチコピーで端的に表現することができたら、満点です。

求人広告の応募率を改善するキャッチコピーの作り方

それでは、求人広告の応募率を改善するキャッチコピーの具体的な作り方をご紹介していきます。

「キャッチコピーなんて一流のコピーライターでないと書けないのでは…」とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、求人キャッチコピーでは、そんなことはありません。実際には自社の仕事の魅力を洗い出す作業が中心ですので、一度この手順に沿って考えてみていただければ、きっと良いキャッチコピーが作れると思います。社員を複数人集めて、付箋などを使ったグループワーク形式で実施してみても良いでしょう。

1.キャッチコピーに含める要素を絞り込む

まず、キャッチコピーに含める要素を洗い出し、その中でどれを優先的に使用するかを絞り込んで行きます。次の分類に沿ってそれぞれ付箋などに書き出し、似たものをグルーピングした上で、優先的に使用したい要素(またはグループ)を3つ程度にまで絞り込むとやりやすいと思います。(人間の脳が一度に処理できるのは「3つ」までと言われているため、キャッチコピーにあれこれ要素を詰め込みすぎるより、3つまでに抑えたほうが効果的と考えられます。)

求職者が応募したくなる要素

求職者が重視する会社の魅力・仕事の魅力・待遇の魅力などのうち、自社の求人で叶えられるポイントを訴求することで、応募意欲を上げることができます。例えば、給与や待遇が良いこと、残業が少ないこと、風通しの良い社風であること…といった要素です。

<再掲>雇用形態によって違う訴求ポイントの例

                           
訴求ポイント 社員求人 アルバイト求人
会社

成長性・将来性

なし(会社への帰属意識は薄め)

給与・待遇

賞与・想定年収・安定性・昇給

時給の高さ・社会保険加入

仕事内容

スキルアップ・専門性の高さ

簡単・未経験可・「就職に有利」

働き方

残業時間の少なさ・テレワーク等の多様な働き方

シフトの自由度

※共通
勤務地/通勤(駅近、マイカーOKなど)・社風の良さ・企業ブランド・福利厚生(従業員販売やまかない)

こうした「求職者が重視するポイント」は、各所が出しているアンケート調査のレポートからも知ることができます。例えば、エン転職による「転職者心理」に関する調査では、下記のような結果が出ています。

  • 転職を考えたきっかけは「給与の低さ」「やりがい・達成感のなさ」「業界・企業の将来性への不安」。
  • 若手社会人が、転職先を選ぶ際に重視するのは「仕事内容」「勤務地」「事業内容」。
  • 20代が考える理想の働き方、キーワードは「プライベート」「評価」「両立」が上位に。

キャリア採用の求人であればこういった転職者のアンケート調査を、新卒採用であれば就活生アンケート、アルバイト採用であれば若者や学生へのアンケートなどを参考にすることで、「一般的に求職者が重視しているポイントはどこか」を抑えることができます。

求める人材を惹きつける要素

次に、自社が採用したいと思う人材(求める人材像)を惹きつけることができそうな要素を洗い出します。これは前の「求職者が応募したくなる要素」と重複しても、異なっても構いません(重複したものは最終的にグルーピングします)。

例えば、バイタリティ高く意欲的に営業職として働く人材を採用したい場合には、歩合給やインセンティブ給など個人の成果が報酬に反映される仕組みなどと相性が良いことが考えられます。

反対に、カスタマーサクセスなどの顧客フォロー中心の営業職として採用したい場合には、待遇よりも「お客様に喜んでいただけるサービスです」などといった貢献のイメージを打ち出すほうが良いかもしれません。

自社の仕事において、どの部分に喜びを感じてくれる人材がより活躍できるのかを考えましょう。また、普段から会社の経営方針・人事戦略として、求める人材像の要件定義をしっかりと定めておくことも重要です。

求めていない人材を遠ざける要素

次は反対に、自社とミスマッチになりそうな人材を「遠ざける」ための要素を考えます。

例えば、個人の目標数字よりも顧客満足を大切に行動することが重要な仕事であれば、「寄り添う」や「ご満足いただく」などのキーワードを含めることで、個人の成長・成功を追い求めたいタイプの人材に違和感を覚えさせることができるかもしれません。

人事や経理など社内の管理部門の求人の場合は、個人の成果を出したいタイプや、お客様や商材に直接接したいタイプの人材が応募してくるのを防ぐために、「バックオフィス」と明確に示したり「縁の下」「裏方」といったキーワードを含めることもできます。

ただし、「求める人材」も一緒に遠ざけてしまわないように注意が必要です。

例えば人事の求人に対して、「裏方」というキーワードに対して好意的に思ってくれる人材が応募してくれれば良いのか、それとも「裏方」に留まらず広範囲で積極的に行動する人材を採用したいのか、によって、「裏方」というキーワードをキャッチコピーに含めるべきかどうか変わってくるでしょう。

最終的に「要素」を3つまでに絞り込む

付箋などで洗い出した以上の要素を、類似のものはグルーピングし、ある程度のジャンル別(待遇面、社風面、キャリアパス面、など)で分類したら、いよいよキャッチコピーに使用する要素を絞り込みます。

先ほどもあったように、人間の脳が一度に処理できるのは「3つ」までと言われているため、3つ以内に収まるよう厳選してみましょう。3つに絞り込んだら、それを繋げて文章にしてキャッチコピーを作っていくことになります。

2.文章を短く、伝わりやすい言葉に整える

要素を3つに絞り込んだら、それをキャッチコピーに落とし込むため、なるべく短い文章と分かりやすい・誤解なく伝わる言葉に変換していきます。また、3つの要素に加えて、勤務地(〇〇駅、〇〇エリア)や仕事内容(居酒屋ホールスタッフ)なども必要な範囲で入れていきましょう。

過激な言葉よりも一般的な言葉を使う

求人広告は、求職者はしっかりと読むつもりで見ていることが前提ですので、過激な言葉や過度な装飾などで注意を引くよりも、わかりやすい言葉であることのほうが重要です。求職者は、「どんなキャッチコピーがあるかな?」と思いながら求人広告を眺めるわけではありません。

例えば「ワークライフバランスが整った働きやすい会社がいいな」と思いながら見ている場合は、「ワークライフバランス」「働やすい」といった言葉を拾うように斜め読みしている状態がイメージできると思います。

求職者の頭の中にある、職業選択において重視する「ポイント」に合致しているかどうかがすぐ理解できるよう、一般的で伝わりやすい言葉を選びましょう。

専門用語よりも普遍的な表現にする

仕事内容について、つい詳細に説明したくなってしまうこともあるかと思いますが、これはよほど人材の専門性にこだわる場合でない限り、普遍的な表現に変えたほうが良いと思われます。特にアルバイトなど、仕事内容の気軽さ・簡単さを求職者が求めているケースではその傾向が強くなります。


例えば、「医薬品の説明書封入作業スタッフ」という仕事の求人広告を出す場合、仕事内容が一目でわかった方がいいだろうとそのままキャッチコピーに「医薬品の説明書封入作業スタッフ」と入れることもあるかと思います。

しかし、求職者の中に「医薬品の説明書封入作業スタッフ」だけをやりたいと思って、求人広告サイトの検索キーワードに「医薬品の説明書」「封入作業」などと入力する人がどれだけいるかと考えると、ほとんどいないだろうと想像できるかと思います。

求人広告媒体のほとんどがWEBサイトに移行していることを考えると、この「検索されやすい条件に自社の求人がヒットする」ための工夫はとても重要です。

医薬品の説明書封入作業スタッフの求人のキャッチコピーでは、「軽作業」や「屋内」「作業」といったキーワードを入れておくにとどめたほうが、「あまり疲れずにできる簡単な作業のアルバイトをやりたいな」という求職者の幅広いニーズに応えることができるでしょう。

求人広告媒体の見出し欄に収まる文字数

また、キャッチコピーが求人広告媒体の見出し部分に収まる文字数であることも重要です。レイアウトなどは媒体によっても異なりますので、他社の求人広告なども見てみて、どのくらいの文字数が見やすいか参考にすると良いでしょう。一般的には、90文字くらいであれば2〜3行に収まりやすいかと思われます。

なお、パソコンから見るかスマートフォンから見るかによってもWEBサイトのレイアウトは変わるため、若年層へのアプローチであればスマートフォンからの見え方を優先したり、反対にシニア層の募集をしたい場合は紙媒体の求人広告の見出し文字数に合わせるなど、ターゲットに合わせた工夫も必要です。

3.PDCAを回して改善する

最後に、キャッチコピーが完成したあとはぜひ、テストなどで効果検証をしてPDCAを回して改善していくことをお勧めします。

WEBサイトであれば求人内容の編集も随時可能な場合が多いため、起用したキャッチコピーでの応募状況があまりよくない場合、修正して再度様子を見ることが容易になります。紙媒体であっても、発行は週ごとや月ごとに行われるため、そのタイミングで原稿を修正しましょう。

キャッチコピーのABテストをしてみる

テストの方法としては、ABテストがお勧めです。同時に別の求人広告媒体に掲載して、キャッチコピーのみを変え、他の求人内容詳細などは全て同じにしておきます。

これで、キャッチコピーAとキャッチコピーBでは、同内容の求人に対してどちらのほうが応募率が高くなるか、というテストができます。応募率は、WEBサイトであれば閲覧数に対する応募数から算出できます。

キャッチコピーの評価指標は応募率だけでなく、選考通過率(自社が求めている人材が応募してきたか)や、入社後の評価(自社が求めた人材要件の人材は本当に活躍する人材要件だったか)などを指標にすることもできます。

応募者・入社者の声をキャッチコピーに反映する

実際に応募してきた人や入社した人にヒアリングをして、その意見をキャッチコピーに反映することもできます。

例えば、求人広告の中のどの部分に興味を持ったか、入社してみてギャップを感じた部分はあるか、キャッチコピー案の中でどれが応募したいと思うかなどを聞きます。

応募してきた、あるいは入社までして働いているという時点で、その人材と自社の求人がある程度マッチしているという前提になるため、マッチングの改善に重要な意見が聞けるでしょう。

まとめ:求人の魅力を、求める人材に届けるためのキャッチコピー

プロのコピーライターではなくても、求人広告の見出しとしてのキャッチコピーとして効果的な作り方のコツをご紹介しました。

自社が本当に採用するべき人材、つまり実際に入社して活躍している人のような人材をどのように定義するか、そしてその人材にどう自社をアプローチするかという、採用マーケティングの視点も養われる取り組みになるかと思います。

ぜひ、社内でわいわいとワークショップをして、自社オリジナルのキャッチコピーを作ってみてください。

米田 彩香

新卒で入社した前職の老舗中小企業にて人事・採用を5年間担当。紋切り型の就活スタイルに疑問を持ち、OfferBoxの理念に共感したため2019年3月に株式会社i-plug入社、インサイドセールスチームに所属。夢は子供が独立したあとに学生街で食堂を開くこと。